三毛田
2026-05-27 22:03:43
1069文字
Public 1000字7
 

70 【70/争奪戦開始】

70日目
君に味方をしてもらうことを含む

「今日こそ勝つ」
「ウチだって負けないんだから」
「他の人に迷惑は掛けるなよ」
 なのと睨み合っていると、まるで他人事のように淡々と告げる丹恒。
「他人事!」
「丹恒、味方になって!」
「断わる」
「「ケチ!」」
 なのと声が揃う。
 それでも、丹恒はこちらに構うことはなく。静かに本のページをめくるだけ。
「んぐぐぐぐ……丹恒は俺の!」
「今日はウチの!」
 彼の両隣に座り、腕に抱き着く。
 面倒くさそうにため息をつき、立ち上がる。と、腕に抱き着いているため持ち上げられて。
「丹恒力持ち~!」
「流石丹恒先生!」
 さっきまで睨み合っていたのを忘れ、なのと二人キャッキャとはしゃぐ。
「お前たち……
 デザート権を巡った睨み合いから、丹恒に味方してもらうためにまた睨み合い。
 でも、いざとなるとそんなことを忘れて二人ではしゃぐ。
「三月。お前は離れろ」
「何で!?」
「お前はもっと落ち着きを持って行動しろ。級にも言えることだが」
 そっとソファーに戻され、二人そろって頬を膨らませ。
「もしかして、ウチに抱き着かれてドキドキしちゃった?」
「そういう問題じゃない。お前は、ヴェルトさんにも同じことが出来るのか」
……出来ません」
 シュンとした表情で、俯くなの。
「分かればいい。必要以上に距離を詰めるのはやめろ。俺たち以外にはやるな」
「ふ、二人以外にはやらないもん!」
 心外! と叫び、丹恒をポカポカ叩く。なのの攻撃力じゃ、丹恒にはあまりダメージは入っていないようだ。
「俺のデザートを半分ずつ渡すから、これ以上はくだらないいさかいはするな」
「くだらない!?」
「こちらは真剣なんですよ!?」
「そ、そうか」
 俺たちの剣幕に、ちょっと引いている。
 こっちは常に真剣なんですよ。パムの美味しいデザートの試食権はもちろん、余った次の食事には回せないご飯を貰える権利。
「丹恒だって、その恩恵にあずかってるんだからそういうこと言わない!」
「わ、わかった」
 ビシッと指を向けると、俺の勢いにちょっとだけたじたじになりながら頷く。
「分かればよろしい」
 俺が言うと、なのも腕を組んで頷く。
「次は俺を巻き込むな」
「確約は出来ませーん」
「出来ませーん」
 キャッキャと二人で手を取り合って笑い合うと、丹恒は深いため息。
「はあ……お前たちの言い分は分かった」
 そこで喜ぼうとするなのだが、この言い方をする時はあんまりいいことがなさそう。
「だが、そう言うことであれば俺も自分の用事でお前たちを巻き込むぞ?」