三毛田
2026-05-26 14:57:06
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69 【69/昔話の姫は】

69日目
まるで景品のようだ

「英雄譚であり、嫁取り物語だからな」
 何故昔話の最後には、姫が出てくるのか。疑問に思って零したら、隣からそんな言葉が投げられる。
「英雄譚……
「伝記や神話の英雄の偉業、物語のことだ。お前が疑問を持った、桃太郎が一番わかり易いだろう」
 そう告げられ、手元の絵本に視線を戻す。
「童話とはまた違うんだな」
「ああ。グリム童話だと、継子譚、継子いじめ譚や因果応報、反面教師な話が多いだろう」
「継子譚? 継子いじめ譚?」
「シンデレラや白雪姫が有名だ。実の子供ではない相手をいじめ、その相手から報復される物が多い」
「あー……
 焼けた鉄の靴を履かされたり、靴のサイズが合わなくて指を切ったりとかグロテスクな結末だもんな。
「ホレのおばさんも継子いじめ譚だが、どちらかといえば働かざる者食うべからずだな。働き者の継子は、井戸に落ちた紬糸を追いかけてたどり着いた世界できちんと働いたから、金銀財宝をホレのおばさんより授かりそれを身に着けて帰り、怠け者の実子は死ぬまでとれないコールタールを身に着けて戻ってくる」
「うわ」
 思わず顔をしかめてしまう。
 死ぬまでとれないとか、どんな服を着ても無駄ってことじゃん。
「キャベツロバという話は、ある狩人が老婆へ食べ物を渡し、魔法のマントと魔法の鳥の心臓を手に入れる。旅の途中でたどり着いた城で、その二つを魔女に奪われる」
「何となく話が読めてきた」
 まだキャベツとロバは出てきてないけど、この後登場するというのが話の流れ的に読めてしまう。
「そうだろうな。復讐するためというよりは、持ち物を取り返すために城を出た後見つけたロバになるキャベツと人間に戻れるキャベツを手に魔女の元を再び訪れる」「魔女以外にも人がいるのか?」「本や訳者によるが、女中と若い娘がいる」
「じゃあ、魔女はロバに変えられた後餌をもらえなくて死んじゃう?」
「ああ」
 うーん。これぞ因果応報だ。
「丹恒。丹恒は、俺のこと見捨てないよな?」
「今後のお前次第だな」
「うわぁん」
 絵本を抱きしめながら嘘泣きをする。チラッチラッと見てみると、呆れた表情。
 これは誤魔化せなさそうなので、大人しく。
「ごめんなさい」
 と謝る。
「謝るということは、やましいことでも考えていたのか」
 逆効果! さっきと違って冷たい視線を向けられてしまう。
「お前は……
「痛い痛い! 丹恒、痛い痛!」
 こめかみを、両の拳でグリグリとされる。これが地味に痛いんだ。
「あうあう……
 悲しい。