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望月 鏡翠
2026-05-25 01:00:36
1015文字
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日課
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#2093 にやりと相棒20
#毎日最低800文字のSSを書く/@tmysmst
相棒に腕を引かれて、僕は小屋の残骸の側に座り込みました。海の近くよりは少しだけマシです。でも、きっと凍えてしまいます。
「焚き火をするのはどうかなぁ。きっと温まるよ」
相棒は、倒れた木を引っ張りました。これを燃やしたらいいというのは、わかります。でも僕は火をつけるものを何も持っていないんです。
「火がないです。できないことを言わないでください!」
僕はもう、相棒を無視してうずくまりました。
「泣かないでよ相棒」
「泣いていません」
このまま僕は、うちに帰れないんだという暗い気持ちになっていました。森に入らないといけないんでしょうか。あの暗くて何かの声がする森の中です。海に入るのと、どっちがマシでしょうか。
「ナイフを岩でごちんてしたら火花が出るよ。それで焚き火をつくろうよ」
相棒がナイフの部分を出して、僕に差し出します。
「駄目です。無理です。できないですよ」
「やってみなくちゃわかんないよ。だってこのままだと凍えちゃうよ」
相棒がどうしてもというので、僕は岩を手に取りました。そして、相棒にごちんとやりました。火花がパッと散りました。でも、それだけです。それ以上火は広がらないんです。火を大きくできませんでした。
やっぱり無理なんです。
「やっぱり駄目じゃないですか。僕は無理って言ったのに!」
岩でごちんとされた相棒は、痛くて悲しくてメソメソしていました。僕は相棒をぶってしまったことが凄く凄く嫌で、そして勝手なことばかりいう相棒に怒ってもいました。できないし、無理だってって言いました。
「だって、だって、このままじゃ相棒、死んじゃうよぉ。森にいくか、火を起こすかしないと駄目だよ」
「あっち行ってください!」
僕は石を投げつけました。
相棒は怒って怒鳴りつける僕が怖かったのか、メソメソと泣きながらどこかに離れていきました。相棒の泣き声が聞こえなくなると、僕はいよいよ一人になりました。波の音と、風の音と、森から聞こえなくなることしか聞こえなくなりました。
僕は本当に一人ぼっちになりました。
相棒の姿が見えなくなってしまった後で、僕は心細くなりました。
怒らなければよかったって思いました。僕は怖くてイライラしていたんです。でも、もうその姿はありません。
どこかに行ってしまったんです。
僕の相棒が、いなくなってしまいました。
悲しくて僕は声を上げてわあわあ泣きました。
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