三毛田
2026-05-24 21:46:51
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67 【67/貴方を信じていいですか】

67日目
信じて欲しいと思う心

「お前を信じてもいいのか」
「信じてもらうしかないだろ。それ以外、今の俺に差し出せるものはないし」
「そうだな。だが、変な動きをしたら、刺す」
「はいはい」
 何ともまあ、物騒な男だ。
 とはいえ、彼がこちらを警戒する理由もわからなくはない。
 宇宙ステーションで拾ったとはいえ、素性などはっきりとわからない。更には、胸に星核を宿している人間なんて。
 なのとか他の人は、彼――丹恒ほど警戒していない。
 でも、これだけ警戒してくれている方が安心と言えば安心なのだろう。
「なんてことがあったよなぁ」
 隣に座る丹恒の頬をつつくと、指を掴まれ。
「痛い痛い!」
 逆方向へと曲げられる。何でそんなことするの!?
「人の頬をつつくな」
「だからって、曲がらない方向に曲げるなよ! 丹恒は力が強いんだから、俺の指が折れたらどうするんだよ!」
「骨が折れたくらいなら、きちんと処置をすれば元通りになる」
「だからって……
 なんていうか、なのと違う意味でズレている。俺が言っても説得力はないんだが。
「お前を信じた結果だ」
 そっと胸元に触れる。
 ベロブルグで、槍に貫かれたの目の前で見ていたから気になるのだろう。
「丹恒。不安なのか?」
「違う」
「てっ」
 強めに胸を押された。咳き込むほど強いわけじゃないけど、地味に痛む。
「じゃあ、なんなんだよ」
「俺だってよくわからない」
 珍しく、拗ねたような表情。
 自分の抱いている感情がよくわかっていない様子。
 とはいえ、俺だってよくわからない。何も覚えていないから。
 多分、丹恒は俺とは違う意味でよくわかっていない感じでもある。
「ほらほら」
 抱きしめると、素直に抱きしめ返してくれて。
「流石に痛い」
 段々抱きしめる力が強くなってきたので、軽く背を叩いて離してくれと告げる。けれど、放してくれない。
 今の彼が抱いているのは、どういう感情なのだろう。
「丹恒」
 頬ずりしてみると、噛みつかれた。
 何だよ、もう。
「丹恒。な?」
「お前が、好きだ」
「うん。え?」
 まさか彼の口からそんな言葉が出るとは思っていなかったので、唖然としてしまう。
「文句があるのか」
「ち、違います! ちょっと驚いただけ!」
 唖然としたけれど、同時に胸がドキドキとしてきて。
「丹恒も、好きだって思う気持ちがあるんだなって」
「俺を何だと思っているんだ」
「冷徹な蒼龍」
「それはやめろ」
 頭突きされた。悲しいというよりも地味に痛い。
「でも、嬉しいな」
 そう。丹恒に好きだと言われて、すごく嬉しいのだ。