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ortensia
2026-05-24 13:59:32
813文字
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傭リ
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謎時空の初対面傭リ
ナワーブは傭兵だ。当然人を脅かすこともあるが、逆から見れば人を助けていることにもなる。
ナワーブは幾度も戦場を駆けた。その中で幾度も人に手を差し伸べた。そして助けた手をあっさり手放した。その場限りで、二度と出会うことのなかった手の方が多い。みかたの兵でもない上、助けた見返りを期待しているわけでもなし、そこになんの執着もないのだ。
だがその時は違った。
「ああ、すみません。花束を投げ付けるなんて、元気な女性でしたね。」
その時、その男は知り合いだろう女に、顔に向かって花束を投げ付けられていた。真っ赤な花だった。はらはらと花びらが散り、劇場か何かの演出のようだった。ナワーブにはそこに一筋の光、スポットライトが見えていた。照らされているのは、花を引っ被った長身痩躯の男だ。
どう見ても現場は痴情の絡れだった。男は女に花束を渡したが、何か女を怒らせるようなことをして、突っ返された。そんなところだろう。
男女の問題だ。外野がとやかく言うことではない。命に関わる危険性もない。充分双方の問題の範囲内だ。
しかしナワーブはライトに照らされた男に歩み寄り、明かりの外に転がってしまった花束を拾い上げ、男に差し出した。
おそらく投げ返される前、男が立ち去ったあの女にそうしたように。
男は気さくに礼を言いながら、細い腕でナワーブから花束を受け取ろうとした。
「良いのか?」
「はい?」
「おれの手助けの手を取れば、おれはおまえを手放してやれないぞ。」
男が花束を受け取ろうとする手を、ひとたび止めた。
しかしそのナワーブより大きな手で、ナワーブの手ごと花束を取った。
「そもそもこれはわたしの花です。そちらこそ、拾った時点で逃げ道は塞がってしまったのでは。」
男はいやらしく品のある笑みで告げた。
どちらもその手を離す様子はない。
ただ花びらだけが、未だにはらはらと落ち続けている。もう助けは来ない。
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いつもリアクション絵文字等ありがとうございます。
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