meru2408
2026-05-24 00:23:58
5726文字
Public モンギル
 

クラベル(クラウド×ベルナ)

大事なものは心だけじゃありません



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side:ベルナ


午後の暑い日。

「どうしてやってくれないんですか!」
なのでモンスターが落ち着いたものですから
「でも危ないじゃないですか!被害が出る前になんとかしてくださいよ!」
……分かりました。モンスターギラーズと連携して対応してみます

最近はこんな依頼ばっかりだ。連日どんどん暑くなっていく気候にモンスターも人間も苛立ちが募り始める。
ついさっきは暑さで暴れまわったモンスターを宥めて帰ってきたところだった。

「はぁ……

ため息が出る。でも依頼は依頼なので遂行しないと。お金も稼がないといけないし体も動かさないといけない。何より困っている人たちを放ってはおけない。

日差しが照り付ける中宿屋へ戻り、部屋まで歩き扉を開ける。

「ただいま
「おかえりー疲れてそうだね」
まあね」

椅子に座って本を読んでいたクラウドに出迎えられる。……またこないだの本じゃないわよね。

「ふぅ……

大きく息を吐き、自分の私物置き場に武器を置き、しゃがみ込んで荷物を整理する。
さっきの依頼と、昨日と一昨日の依頼と……また明日の討伐依頼。ニシキヘビに報告することが山ほどある。

疲れてる時は休憩も大事だよ」
「分かってるわよそんなこと。でもやることがたくさんあるの」

さっきの人との言葉の応酬の名残が残ってしまったのか、ちょっと苛立ちを混ぜてしまった。
手帳とペンを用意し、テーブルに向かおうと立ったところで、ぐらり、と部屋が回った。
しっかり立とうとするも足がおぼつかない。
ぽすり。何かに支えられる。顔を上げると私を抱きかかえたクラウドと目が合った。

………
………

ムスッとした顔で見つめられるとなんとも言えない感情が出てくる。

……ありがと。大丈夫よ、離していいわ」
「どこが大丈夫なんだ?」
……っ、」

ちょっと語気を強めた言い方をされてびくりとした。……なんであんたが怒ってるのよ。

ちょっと立ち眩みがしただけよ。別にそんな具合悪いわけじゃないわ」
……

無言が怖い。本当に立ち眩みのようで、もう目が回るような感覚は治まっている。
そっと体を離される。……良かった。
顔を見ないようにしてテーブルの方へ歩こうとすると、

………ん、?」

なんだか胸がざわつくような……音がする。思わず胸の方に手をやる。心臓がバクバクと鳴っている。
あとなんか息が詰まる感じがするまた目が回りだす。……なんで?治ったんじゃ、

「はぁ……はぁ……、」

カラン、バサッ。何か軽い音がした。手からペンと手帳が滑り落ちたのか。思わず床にへたり込んでしまった。

「ベルナ!」
「はぁ……クラウド……、」

なぜか体が震える。一体自分の身に何が起きているのか。さっきまで全然平気だったじゃない……どうして。

ベッドに行くぞ」

そう言われ、ふわりと体を抱きかかえられる。思うのだけど、こいついつも軽々と私を抱えるわよね
ぼーっとした頭でそんなことを考えていると、ベッドにゆっくり寝かされる。

「はふ……、」
「だいじょう……ぶじゃないよな、フランシス呼んでくる」
……大丈夫……
「大丈夫じゃない。絶対ベッドから降りるなよ?」

また語気強めに言われて仕方なく頷く。すぐさまパタンと扉の音がした。




10分後。

コンコンとノックの音がする。

「はぁーいベルナ。診察に来たわよ~」
「フランシス……、」
「いいのいいの、そのまま寝ていて~?」

起き上がろうとするとやんわりと止められる。これ前もなかったっけ。デジャヴ。

………

……フランシスの後ろにいるクラウドからの視線がとても痛い。

「え~と……クラウドの話では、さっき、ふらつきがあって~?それから急に息切れが起きたのね~?ちょっと顔を見せてちょうだいね~。……ふんふん、なるほど……
………
………

フランシスに匂いを嗅がれ、もとい診察されている間、怖いくらい静かにしているクラウド。
なんか私も静かにしてなきゃいけないような感じがして、じっとフランシスに身を任せる。

「うーん……これは眩暈と動悸の症状ねぇ~
「「動悸??」」

クラウドと私の声が重なる。眩暈はともかく動悸ってなんだ。……老人じゃあるまいし。

「そう、動悸。ベルナ、倒れる前に何か違和感はなかったかしら~?」
「違和感……
「例えば、胸がドキドキ♡するとか~?」
「胸…………あっ

フランシスの言い方はともかく、確かに心臓がバクバク鳴っていた。

「それと体が震えたり、冷や汗が出るのもあるかもしれないわね~」
「冷や汗……はかいてたかもしれない……震えもあったわね……
「やっぱり思い当たる節はあるのね~。……クラウド、そんな心配しないで大丈夫よ。少し休んだら回復するわ」
……ほんとに大丈夫なのか?」
「ええ。多分、ストレスが原因だと思うから~」
「「ストレス?!」」

またクラウドと声が重なった。いやストレスって。

「ベルナ、最近疲れることはないかしら?嫌なことがあったり~、周りから急かされたりするのも結構しんどいものよ~?」
「あ……
「あるのね?」
あるのか?」

二人に問い詰められ、仕方なく白状する。

……さっきまで村の人と話し込んでたのよ。モンスターのことで……
「そうだったの~。最近は特に暑いものね~」

フランシスが私の言葉を汲んで付け加えてくれた。

「昨日も一昨日も……依頼のことでちょっと揉めてたの。……それが原因なの?」

まさか連日の忙しさが体にきているとは思わなかった。

「そうねぇ、直接原因になるわけではないけれど、それを毎日やっていたら……知らないうちに体に悪いものを溜め込んでしまうわね~。苛立ちとか、悲しみとか、我慢し続けるとね」
「そう、なの……
………

フランシスの説明を聞いた限りではあんまりそういうのを意識したことはなかった。でも本当に我慢をし続けてたのかもしれない。現に体調が悪くなっているんだから。

「さっきも言ったように、少し休んでれば治るわ。でもね、無理は禁物よ?あまり自分の荷物を多くさせないで、クラウドと分担したらいいじゃない~」
「そ、それは……
「ね?」
「うぅ……

黙って聞いているクラウドも怖いが、医者としての立場から注意をしてくるフランシスも結構、オーラがあってちょっと怖い。

……じゃあ私はこれで失礼するわね~。何かあったらまた呼んでちょうだいな。薬も無くて大丈夫。……しっかりクラウドの言うことを聞くのよ?」

帰り際にフランシスに釘を刺され、思わず呻いてしまった。



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side:クラウド


フランシスが帰っていった後、俺はさっきベルナが落とした手帳とペンを拾いに行った。…………我慢か。
フランシスが言っていた悪いことの我慢。それをベルナは無意識にやっていたのだろう。

……はぁ」

ベルナのため息が聞こえ振り返ると、フランシスの言った言葉が頭に入っていないのか、上半身を起こしていた。

「ベルナ、寝てろってば」
……別にもう治まったから」
「ベルナ」

ちょっと強めに言ってしまったのは許してほしい。俺も俺だがベルナもベルナで無理をすることが最近本当に多い。
手帳とペンをベルナの鞄にしまい込み、ベッドの側に行く。まだ顔色が悪い。

なんでそんなに怒ってるのよ」
「怒りもするだろ。なんで俺に言わないんだ?揉め事とかも」
………
「ベルナ、こっち向け」

そっぽ向いていたベルナだったが、おずおずと俺の方に顔を向けた。

これからはちゃんと俺に相談すること。分かった?」
………

不貞腐れているのか返事はない。こっちを向いているが顔は下を向いたままだ。

「ベルナ!」

つい大声を上げてしまった。縮こまった体がびくりと反応する。

「いい加減にしろよ、俺もフランシスも心配してるんだぞ?」
「う……
「大体、一人で出かける日が多すぎる。なんで俺を誘わないんだ?そんなに俺は頼りないのか?」

思ってた以上に俺も我慢していたみたいだ。口からどんどん矢継ぎ早に言葉が出てくる。

「思うけどベルナはいつだって自分一人で解決しようとするよな?俺もいるのに。これじゃあ恋人になった意味ないじゃないか!」

そこまで言ってはっとした。しまった、これ以上は。……下を向いたベルナの顔からぽたりと雫が落ちる。

「あ………ベル、」

我に返り名前を呼ぼうとしたところでがばりと布団を蹴りだし、ベッドから跳ね起き、そのまま扉へ向かう。

「ごめんベルナ!!待って!!」

思い切り扉が開いて外に飛び出してしまった。



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side:ベルナ



「はぁ……、はぁ

全速力で走ったからなのか、まだ体調が万全じゃないのか、息切れとも動悸ともつかないものが口から吐き出る。
目からぼたぼたと雫が落ちる。あまりに泣いたせいで周りがよく見えていないし今どこを走っているのかも分からない。
とりあえず外に出たことだけは分かった。
村の郊外まで来ると息を整える。……もう休むもへったくれもなかった。さっきのクラウドの言葉を反芻してしまう。

……う、」

あんなに怒るなんて。私が自分一人で動いているのがいけなかったのかしら。それとも大事なことを言わなかったから?
回らない頭で考える。……もううんざりしてるのかもしれない。
そう思うとまた目から涙がこぼれる。人の体ってこんなにも液体が出るものなのね。
もう少し移動しないと。また何を言われるか分かったもんじゃない。
……なんで私がこんな思いをしないといけないの。
ふらふらと歩きだす。もうちょっと早く。見つからないように………と思ったけど。

「ベルナ!」
「あぅ、」

見つかってしまったらしい。少し遠くから聞こえるその声がどんどん近くなってくる。

来ないで!」
「ごめん、待って!悪かった!もう怒ってないから!だから戻って
「来ないでって言ってるでしょ!」

いやだ。もうききたくない。そんな意気地になった私に追いつきお腹に手を回され抱きしめられた。

「本当にごめん!ベルナ許してお前も辛かったんだよなごめん」
……うぅ、」

さっきとは違い、優しく声をかけられる。ぎゅうっと後ろから抱きしめられるその暖かさについ体の力を緩めてしまう。

……帰ろう、ベルナ。俺と一緒に休もう?」
「うぅ、ふぇ……
「ごめんな

泣き出す私に終始謝るクラウド。……良かった。嫌われてなくて。



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side:クラウド



本当に言いすぎてしまった。……恋人を泣かすなんて、度を越えている。
泣きじゃくるベルナを支えながら宿屋に戻り、部屋に帰ってベッドに座らせる。
途中通行人がびっくりしたようにこちらを見るのでいたたまれなかった。

「ん、ベルナ……ほら」
……ぐす」

俯いたままのベルナの横に座り、また抱きしめる。頭を撫でてやると、ちょっと落ち着いたのか俺の胸に顔をうずめた。
そのまま背中や頭を撫で続ける。これは完全に俺が悪い。
体調不良なのに大きな声で一喝した上にまたベルナに無理をさせてしまった。これじゃあ無理をさせているのは俺なのかベルナ自身なのか分からない。

……ベルナ」

さすがにこれ以上はもう怒れない。というかもう怒りたくない。こんな姿のベルナはあまりにも可哀想だ。

……クラウドが……怒った……

すん、と鼻を鳴らしベルナが小さい声で呟く。

もう怒ってないよ。というか本当にごめんあんなこと言って。ベルナだって辛いのに」
………

さっきは一喝してしまったが今のベルナにはさすがにもう何も言えない。でも。

「でも、辛かったりしたらさ、俺に言ってよ。……お前は無意識だろうから分かんないだろうけど。何か困りごとがあったらさ、一緒に考えるから」

やさしく頭を撫で続ける。

………ん」

かすかに頭が上下に動いた。今度はちゃんと話を聞いてくれたようだ。

「眩暈とか動悸はない?……さっきすごい勢いで走ってたけど」
……今はない」

”今は”ってことはさっきまではまだあったようだ。申し訳なさが募る。

「そっか。……とりあえず一緒に寝よう?」

抱きかかえたまま靴を脱ぎ一緒になってベッドへ横たわる。ちゃんと布団も掛けて。
ベルナの顔を覗くと、だいぶ目が腫れて赤くなっている。……こんなに泣かせて俺は。

……何」
いや、本当に悪かったなと思って
……、」
「うっ」

拳で軽く腹を小突かれた。調子がちょっと戻ってきたようだ。良かった本当に。

お腹空いた」
……早くないか?」
「お腹空いたの!」
「分かった分かった。じゃあなんか取りに行ってくるな?」
「嫌」
「えぇ
「もうちょっと……ここにいて」
「ベルナ

ようやっと出てきたベルナの我儘三昧に思わず苦笑してしまった。やっぱりこういう感じのベルナが一番好きなんだよなあ。
甘えてくるベルナにしっかりと腕を回し、抱きしめる。……おっと、

「ベルナ、こっち向いて」
………

さっきのことを想像したのか顔を向かない。でも、

……仲直りのキス、しよう?」
………ん」

良かったこっちを向いてくれた。泣き腫らした目が痛々しい。その目元を軽く拭うと、その愛おしい唇にそっとキスをする。

……ん、ぅ」

今は舌を捻じ込むのはやめておこう。

……ん、はい、これで仲直り」
……子供みたい」

そう言うとちょっとだけ笑ってくれた。



ベルナのこまごまとした予定は半分は俺と一緒にやるようにしなきゃな。