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meru2408
2026-05-23 20:04:24
4794文字
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モンギル
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クラベル(クラウド×ベルナ)
姫騎士を守るのは俺の役目
side:ベルナ
「少しだけでいいんですよぉ~。ちょっとそこでお茶などいたしませんか~?」
「もしお金に困っているならいいところ、ご紹介もいたしますよ~?」
「
………
はぁ」
深いため息をつく。
「君の村はすぐそこでしょ?大丈夫ですって!遅くなったらちゃんと宿へ送りますから
……
ねっ?」
「
………
いりませんって言ってるでしょ」
さっきから変な男二人組と押し問答をしている。依頼モンスター討伐の帰りにこいつらに出くわした。
…
山賊か何かかと思ったけど様子が違う。
クラウドとはさっきまで行動をともにしていたが、野生の小さいモンスターがお礼をしてくれるとか言いながら少し離れたところに出かけて行った。その後にこういう展開である。
……
全く、どっから湧いて出たんだか。
「あの。しつこいんですけど」
「本当に!本当に少しだけですから!ね!」
「
……
連れがいるので無理です。連れと一緒ならいいですけど」
「えぇ~?そんなぁ
…
ただスカウトするだけなのに~」
暗にクラウドが傍にいるということを伝えるとさも嫌そうに答えるそいつ。というか人に会ったら初めに自分の名前を名乗るのが礼儀でしょうよ。スカウトって
……
もしかして仕事の話をしてるの?
そういえばさっきからなんか変な
……
かすかに甘ったるい匂いがする。
「うーん
……
これは強行突破かなぁ~?」
「しっ
…
まだダメだって。もうちょっと警戒心解かないと
…
」
丸聞こえである。なに強行突破って。嫌な予感がし、一歩後ずさる。
「あ、そんな怖がらないでよー、大丈夫だから」
なにが?なにが大丈夫なの?
……
もう無視してクラウドのところへ急ごう。そう思って足を動かそうとした。
……
けれど、なぜか覚束なくなってふらりと体が傾く。
「
…
もういい頃合いかな?」
「ひ、」
がしっと手首を掴まれ、その男の方へと引っ張られる。抵抗しようにもなぜか手の力もなかなか入らない。精一杯手首の拘束を解こうと必死になる。
「くっ
……
この女異様に力が強いな。でもまあもう少しで落ち着くからな
……
ひひひっ」
「や、やめっ
……
」
ニヤニヤと下品な笑みをたたえながら私を捕まえようとする。
……
うぐ、どうしよう。このまま炎で燃やしてしまおうか。
ありったけの炎を出そうと体に力を入れるが、なかなか炎が出てこない。
……
あれ、なんで。
「君の属性はもう知っているからね~ちょーっとだけ、能力を抑える薬を使ったんだよね~」
こいつら
……
!
だからさっきから体に力が入らないのか。下衆なやつらめ。私を捕まえて一体何しようとしているんだ。
………
うぅ、助けて、クラウド
………
!
……
ヒュンッ
……
ドガッ!!
そんなデカい音が風の轟音とともに鳴りながら目の前を鋭い何かが飛んできた。横にあったであろう木を見てみると
……
縦に大きく穴が開いていて、そこから一本の矢が奥深くまで突き刺さっている。周りにはパキパキ音を鳴らしながら氷が形成されていた。
「
……
えっ???」
あまりの急な出来事に私を掴んでいる手を離す男。すかさず言うことを聞かない体に鞭をうち、なんとか距離を取る。
私と手を掴んでいた下衆な男たちの真ん中を突っ切るように射られた矢。その矢には冷たい冷気が纏っている。
「
…
俺の連れに何か用ですか」
弓を射った張本人の方を振り向くと、少し遠くから感情のない顔でそう男たちに話しかけるクラウドが立っていた。
「ひ、ひぃ
……
!」
「い、いやそんな、お、俺たちはただ道を聞いてただけですよ
……
へへ
…
」
さっきお茶しようとかスカウトとか抜かしてたのに
…
その口はお飾りじゃないってことか。
「く、クラウド」
「ベルナ!」
さっきの無の表情はどこへやら、慌てたような顔をして私の方へ駆け寄ってくる。その間二人の男たちは腰を抜かしていた。
「ベルナ、大丈夫か?!」
「
……
ちょっと、薬盛られたかも
……
」
「な、」
「
……
別に飲まされたとかじゃないわ。ずっと甘い香りがしてたの。
…
それのせいで抵抗が出来なかったのよ」
「
……
」
地面に倒れそうになる私を抱きしめたまま、無言になる。
「
……
こいつに何かしたんですか」
「ひぃ、」
「何か、したんですか」
クラウドは男たちの方を振り向き、そう静かに問う。
……
横顔だけど、また無表情。これは、こいつが。
「
……
何もしてませんよ!ほんとに!でも
……
香は焚いてました
………
ひっこれです!これ!!」
「
……
消して」
「え?」
「消さないと
…………
今度は外さないようにしてやる」
「ひぃぃ!!消してます!!消してますから命だけは!!」
私を優しく地面に座らせ、また弓を構えだすと、人を射るような目でぎりりと力を込める。
……
キレている証拠だ。優しさの塊の人間をこんなにキレらせるなんて。
私のために、怒ってくれている。
「クラウド
……
大丈夫だから。ダメ、弓を降ろしなさい」
「
…………
ベルナ」
しばらく弓を構えていたが、私の言葉が効いたのかやっと降ろしてくれ、そっと私に向き直る。
「帰ろう。
…
ニシキヘビには俺が報告しておくから。そいつらのことも。だから部屋で絶対安静な?」
「
……
分かったわ」
私の言葉にようやっと元の心配した表情を見せてくれて、とりあえず私もほっとした。
「うぅ
……
逃げるぞ兄貴!」
「くそ、まさかこんな奴に
…
」
どたばたと腰を抜かした状態で逃げ出そうとする男二人組に、今度はにっこりと笑いかけるクラウド。
「なんで逃げようとしてるんだ?」
男達は簀巻きにされてハナイスのニシキヘビまで連行された。
ーーーーーーーー
「うん、なるほど
…
能力抑制と筋肉弛緩剤が入った香でそうなったのねぇ~。一応検査はしてみたけどとりあえず体に異常は無かったわ。他に気になるところはない?吐き気がするとか、眩暈がするとか、はたまた
……
体が熱くなっちゃうとか~♡」
「んもう
……
ちゃんと診察してよねフランシス。吐き気も眩暈も何もないわ。
…
まだ体はだるいけど」
「そう~良かったわ。じゃあ何かの症状が出たら報告してちょうだいな?一応お薬は無くても大丈夫そうだけど
……
」
「
…
こういう時のための薬ってあるの?」
「あるわよ~。でもちょっと刺激♡が強いものだから今のベルナが服用したら
……
大変なことになっちゃうかもね~♡」
「あーはいはい。じゃあ無くて大丈夫です。ありがとうフランシス」
「じゃあ、他の子の診察、行ってくるわね~」
フランシスからの往診が終わり、ふぅ、とため息を吐く。
あの後クラウドに支えられハナイスまで戻り、速攻男達をニシキヘビに投げ込んで報告した後、宿屋まで戻り言われた通りに安静していた。
フランシスには側で静かに聞いていたクラウドが状況を説明してくれていたのである。
「
…
クラウド。そんなに見つめられると
……
ちょっと困るんだけど」
ベッドに横になりながらクラウドを見る。
…
じっと観察されていて落ち着かない。
「
…
あいつらはどこからやってきたんだ?」
「分からないわ。なんか急に現れて
…
って感じだったの。あんたがどっか行った直後よ」
「
…
もしかして俺がいなくなった隙に襲おうとしてたのか」
「
……
嫌な想像やめてちょうだい
…
」
襲われるだなんて。この私が。あの怪しげな香さえ無かったら炎でメッタ斬りにしていたのに。
「でも、ありがと。本当に助かったわ
……
」
「
…
襲われている恋人なんて一瞬でも見たくないからな」
「
……
」
ちょっと気持ちが分からなくもない。大切な人を傷つけられたりするのは誰にとっても嫌なものなのだ。
体の力が戻ってきたかなと思い、上半身を起こしてみる。
「ベルナ。寝てろって言っただろ」
「ん、クラウド」
とりあえず体は起こせる。寝かせようと側に来て肩に手をやるクラウドに、ベッドに腰かけるよう促す。
「
…
なんだよ」
「
…
ぎゅってして」
「寝てろって」
「いや。
………
ぎゅってしてほしいの」
ちょっと俯きながら話しているのでクラウドの表情は分からなかった。どんな顔をしているのだろう。
「
…
まだ力、入らない?」
そっと腰に腕を回される。その胸のなかにぽすりと入れられる。うん
…………
落ち着く。
「まだちょっと
……
無理かな」
「そうか」
優しい手が背中を撫でてくれる。ちょっと泣きそうになってきた。
…
さっきはピリついた雰囲気で男二人と対峙していたのだけど、改めて自分が何か変なことをされるんじゃないかという状況だったことに、今更ながら気づいて不安になってしまった。
クラウドの体が傍にあると安心する。こうやって抱きしめられていると
………
守ってくれているんだと実感する。
「
……
ふ、」
「ベルナ?」
「うぅ
………
ぐす、」
目に涙が溢れてきた。一粒流れればとめどなく次から次へと溢れてくるその涙を止める術はなかった。
「
…
ベルナ
……
、」
「や!もっとぎゅってして!!」
顔を見ようと上半身を少し離そうとするクラウドに、私はかぶりを振る。いやだ、もっと抱きしめていてほしい。
「
……
、」
「ふ、
……
うぅー
……
」
またしっかりと抱き寄せられ、頭も撫でられる。こんなことで、どれだけ安心感が得られるのか。
「
…
怖かったよな。よしよし、俺が傍にいるから」
「ぅ、っく
……
」
そのひどく優しい声に嗚咽を漏らしてしまう。いつもの私なら、こんなことあるはずがないのに。
こんな安心させることを平気でやってのけるんだから、だから私は
………
甘えてしまう。
でも、甘えてもいいんだ。クラウドだから。クラウドもそう思っているはず。これは嘘なんかじゃない。
今までのクラウドの私への言動や触れ合いからそう感じていた。
「
……
落ち着いたか?」
「
…
うん、ありがと
…
」
やっと涙が止まり、そっと上半身を離される。でもまだその腕は腰に回ったままだ。
「
……
はぁ
……
お腹空いた
…
」
「え?急に?」
「泣いたってお腹空くものよ
…
っていうかあんまり顔見ないでちょうだい」
顔を覗き込まれ、そっぽを向く。泣き腫らした顔はさすがに見られたくない
……
がいかんせん抱きしめられたままなので顔の距離が近いため、否応なく観察される。
「だから見ないでってば」
「
…
泣いた顔も可愛いんだな」
「
……
あんたってなんか変な趣味でも持ってるわけ?」
この世界のどこに泣いた後のくしゃくしゃな顔を興味津々に見るやつがいるというのか。
…
いたわここに。
「
……
もう大丈夫だから離していいわ。ありがと」
「うーん
……
」
私から抱きしめてって言った手前、ずっと拘束されているとちょっとむず痒い気がして離れようとするが、何故かクラウドはがっちり腰に腕を回したまま離さない。
「ちょっと
…
もう大丈夫だってば」
「いや、もうちょっとこうしていよう」
「いやなんでよ!」
「俺がこうしていたい」
「う
……
、」
優しい顔で覗き込まれ、何も言えなくなる。
「
……
俺も、ベルナが何かされてるんじゃないかって不安だったんだ。だからお前の気持ちがよく分かる」
「
……
」
そう言って、私の頭に頬ずりをすると、腰に回している手に力を込められ、ぐっと胸に体を抱き寄せられる。
……
やっぱり安心する。
「そうね、あんたは心配性だものね」
そう言うと、頭にコツッと軽く何かが当たる。
……
多分クラウドの拳。
…
こいつから攻撃されるなんて初めてじゃない?
「それもあるけど
……
お前が恋人だからなんだよ?」
ちょっと怒ったように言われてむすっとなる。
「分かってるわよ
……
じゃあちゃんと大事に守ってよね」
そう言うと、すぐに機嫌を直した恋人が笑う気配がした。
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