77nairo
2026-05-23 23:00:00
301文字
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日だまり


 北国の春は短い。校庭の隅に積まれた雪の山がようやく溶けきったと思ったら、水仙とチューリップと菜の花と梅と桜がいっぺんに咲いて、それが散ったと思えばあちらこちらで田植えが始まり、そしていつの間にか日差しが強くなっている。
 その、ほんの一瞬の春の終わりとも夏の始まりともつかない季節が、松本は好きだった。
 防風林の松の枝葉を透かして、柔らかい光が差している。落ち葉の積もった遊歩道はふかふかと柔らかく、トレーニングにうってつけだ。
 ぽかりと落ちた日だまりの中を走る真っ白いTシャツの背中は自分よりも小さいはずなのに、いつだって頼もしい。
 それに追いつきたくて、松本はぐんと脚に力をこめた。