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cute one is you
マスコットシリーズのフルルパーカーネタ
照れ隠しにパーカーを使ってフルルの真似するロウが思い浮かんだので
「か、可愛すぎる~!!
鏡の前でクルクルと身体を回転させながら自身が着ているパーカーを嬉しそうに眺めるリンウェルの様子に釣られてロウの口許にも笑みが浮かぶ。
一見、真っ白でシンプルなパーカーを着ているように思えるが実はフードの部分に見覚えのある顔がプリントされている。
まん丸な瞳に何度この鋭利に突かれたかも覚えていない嘴、そして水色のー
……
なんだこれ。そういえばあいつのこれってなんなんだ?羽?触角?つーか、ダナフクロウって触角あんの?
まぁよく分かんねーけど、水色の触角みたいのが左右にぴょんっと跳ねている。”触角”という言葉だけだとあれだが、それがパーカーとなると丁度ウサギの耳みたいに見えてそれなりに可愛らしい形になっているとは思う。
真っ白な色合いにまん丸な瞳と嘴、そして水色の触角(という事にしておく)のようなもの。これだけの特徴が揃えばおのずと思い浮かぶ奴は一人
……
いや、一羽だけだろう。
嬉しそうなリンウェルの肩にちょこんと居座り、同じように嬉しそうな様子を見せているダナフクロウのフルルだ。
リンウェルが今、ご満悦な様子で着用しているパーカーはフルルをデザインとしたオリジナルパーカーでリンウェルがオーダーしたものらしい。
【オリジナルデザインパーカーで”お揃い”してみませんか?】
そんな謳い文句を掲げたお店をリンウェルが見つけたのは月に二回ほど、全国の行商人がヴィスキントに集って開催されている大市場での事。オリジナルデザインパーカーとの言葉通り、自身で好きなようにデザインしたパーカーを作成できるというお店らしく、お店の見本にはヴィスキントの風景を描いたイラストを正面にプリントしたパーカーやフードの部分が猫耳みたいになっている猫パーカーなどが展示されていた。そしてそんな中、リンウェルが目に留まったのは猫パーカーなど動物をモチーフにしたパーカー達。
リンウェルの脳内にすぐさま思い浮かんだイメージデザイン。気付いた時には店主にオーダーをしていた。
こうして出来上がったのが現在リンウェルが着用しているフルルとお揃いになれるフルルパーカーという訳だ。
鏡に映るフルルパーカーを着用したリンウェル
……
と俺。
そう。同じく鏡に映し出されている俺もリンウェルと同じようにフルルパーカーに身を包んでいる。
何故そうなったか。答えは簡単。リンウェルが俺の分まで用意していたからだ。
それに理由も簡単。
”ロウともお揃いしたかったから”
と恥ずかしそうに告げられたーー訳でもなく、実際はペアルック割引と一着だけより二着まとめてオーダーした方が安く出来ると店主におすすめされたから、らしい。早い話、割引利用で出来たおまけをお裾分けしてもらったという話だ。
……
良いけどな!!その相手に誰でもない俺を選んでもらえたという点だけでも御の字なもんよ!!
「見てみて!こうして並んでるとフルルがいっぱいで可愛い~!ロウフルもそう思わない?」
「なんだよ、ロウフルって」
「ロウフルルだからロウフル、んで私はリンフル~!フルッフ!ってね!ねぇねぇ、可愛くない?」
「俺はそんなお前の方が可愛く見えるけどな」
鏡越しにバチリと視線が合う。リンウェルはぽかんと口を開け、先程言われた言葉に驚きを隠せない様子だ。その表情を見た瞬間、自分が何を言ってしまったのかすぐさま理解する。
「あ、いや
……
えっと
……
」
今までの俺なら咄嗟に違うんだ!間違えた!と言い訳をしていただろう。だがこういう時、下手な言い訳をするより素直になった方が良いという事を今までの経験で学んだ。それに自然と零れ出たあの言葉は紛れもない俺自身の本心だから嘘だと誤魔化したくもない。だから言い訳を募ろうとした口を噤む。
ただ鏡越しで交じり合う視線は居た堪れなくてそっと外す。暫くの沈黙が続いた頃、クイッと控えめにパーカーの袖を引っ張られた。
「さっきの
……
もう
……
一回言って
……
」
ほんのりと頬を色づかせ、恥ずかしそうに上目遣いでとんでもないおねだりをしてくるリンウェルに思わずゴクリと唾を飲み込む。
……
おい、フルル!なんでお前こういう時は邪魔しないんだよ!!
いつもならそういう良い感じの雰囲気になった瞬間、うざいほどに邪魔してくるくせに!今はリンウェルの肩の上からジッとロウを見つめている。その目には”男だろ、いけ”と言わんばかりの念が込められているようにも感じる。どうやら今回はリンウェルからのお願いという事でフルルは完全応援スタイルらしい。
あの言葉は嘘偽りのない本心なのは間違いないけど、無意識に零れ出てしまったのと改めて意識的に言うのとではハードルが全然違う。けどきっとここで誤魔化してしまうのは得策じゃない事だけは分かってる。それに俺はさっき自分で言ってたじゃねーか。俺自身の本心だから誤魔化したくねぇって。
「お、俺は
……
」
「
……
」
「そんなお前の方が
……
」
「
……
」
「か、可愛く見える
……
フルゥ」
フードの部分をガッと深く被り、恐らく凄い視線を向けているであろう奴の鳴き声を語尾に添える。フード部分に奴の顔がプリントされている事でまるでフルルが言ったかのように見えるだろう。
……
やっぱ無理!恥ずいって!!誤魔化したくはないけどさ!!それを実際に行動に移せるかは話が別じゃん?今の俺にはこれが限界。
「
……
ぷっ、あはははは!」
一瞬の静寂が流れた後、直ぐにリンウェルの可笑しそうな笑い声が部屋に響く。フードの裾を少しだけ上げ、様子を確認しようとした瞬間ーー。
「フボオオオオ!!!」
「いててててっ!?」
身に覚えがありすぎるチクチクとした痛みが額の辺りを目掛けて集中攻撃を繰り返してくる。こいつ
……
!髪の毛でカバーされる頭じゃなくて皮膚が露出してる額をわざと狙ってるな!?
バサリと勢いよくフードを脱ぎ去れば、予想通り攻撃の主は先程まで大人しく応援スタイルに徹していたはずのフルルだった。
「フルゥ!!フルルッフ!!フル!!」
「いやいや!あれでも俺頑張ったんですけど!?」
「フボボボオオオオオ!!」
「全然似てない!駄目、だってさ」
「え?に、似てない?」
「うん。さっき真似してたでしょ?それをフルルが全然似てないって怒ってる」
きっとそれだけの理由という訳ではなさそうだけど
……
。その証拠に「フルゥ
……
」と他にも何か言いたげな眼差しを向けてきているもんな
……
。
それにリンウェルはどう思ったんだろうか。笑ってはいたけど茶化されたと思っちまったかな
……
。
「あ、あのさ、リンウェル
……
さっきのは」
「フルルッフ~!」
誤解されてしまっていたら誤解を解こうと声を掛けたと同時にリンウェルは先程のロウを真似るようにフードを深く被った状態で普段より高い声は発し、自身の相棒の鳴き声を真似る。
「どう?フルル、似てた?」
「フルッフッフフ~♪」
ロウの時の反応とは打って変わってフルルは満足そうにうんうんと頷いている。俺の時との対応の差、えげつなくね?そんな変わんねーじゃん。いや、まぁ
……
あれはそれ以外の意味が含んでいただろうからあれだけどさ。
気付けば先程の事なんてすっかりなかった様子でリンウェルはフルルと一緒に「フルッフ!」「フルルッフ!」なんて鳴き声を真似て楽しそうに会話をしている。
そんなリンウェルの姿を見つめながらロウは先程ちゃんと言えなかった言葉を小さく呟いた。
「やっぱお前が一番可愛いって」
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