望月 鏡翠
2026-05-21 08:42:50
868文字
Public 日課
 

#2089 にやりと相棒16

#毎日最低800文字のSSを書く/@tmysmst


  きっとこれが宝物に違いありません。これでスターはお家に帰ることができます。僕たちはスターにそれを手渡しました。
 スターはその上に腰を下ろして、茶色い缶の表面を水でびちょびちょにしました。それから僕たちを見て、何かいいたげにしました。
 缶の上でとんとんと跳ねます。中は空洞みたいです。いい音がします。
「大事なものが見つかってよかったですね」
 これにはイエスと答えます。
 でもどこにも行きません。
「どうしたのかなぁ」
 相棒が首を傾げます。
「もしかして、中身を確かめたいのかもしれません」
 イエスです。
 僕は缶を開けてあげようと思ったのですが、硬くて開きません。缶が茶色いのは錆びてしまっているからです。それが蓋を固めてしまっていて、全然開かないんです。
 指が赤茶色になりますが、開きはしません。
 困っていると、ここぞとばかりに相棒が僕の前に飛び出てきました。
「ここで有能な僕の手番なのさ〜」
「そうです。相棒の手を借りればいいんです」
 なんと言っても彼はなんでもできるんです。もちろん、缶切りもちょっとしたナイフも付いています。
 僕は缶切りを使って、錆びた缶を開いてしまうことにしました。
 これはテコの原理で開くんですが、テコの原理ってどうやって力を加えればいいのか難しいと思いませんか。僕にとっては、難しいです。手が動きにうまく慣れていないんです。
 でも、そこは相棒がうまく助けてくれました。相棒は自分の体の使い方をよくわかっているんです。錆びた缶に切れ込みが入って、金属のピカピカが見えます。錆びているのは外側だけで、中の方は無事みたいです。
「ほら、できたよ。僕って有能だからさ〜」
「本当にすごいです。僕の相棒はとっても有能です」
 縁で手を切らないように気をつけて、そおっと蓋を開きました。
 中には紙が何枚か入っていました。ポストカードでしょうか。手書きの絵見たいです。濡れてしまわないように、丁寧にビニール袋に入れてありました。
 僕はそれを取り出して、スターに見せてあげました。