meru2408
2026-05-20 18:09:26
3442文字
Public モンギル
 

クラベル(クラウド×ベルナ)

きみの専属按摩師




side:ベルナ


「うぅ………
「大丈夫か……?」
「大丈夫じゃないに決まってんでしょうが……
だろうな

部屋に戻りベッドに突っ伏して呻くと、心配そうな声が上から降ってくる。連日頼み事や依頼をこなし、ずっと体を動かし続けていたせいで体が筋肉痛になっていた。

「あー……だるい……

この前まで若干の、そう本当に若干体調が悪いことが続き、クラウドやフランシスに安静という名の拷問を受け続けていたため、本当に体がなまっていたのである。
久しぶりに体を動かせる!!と意気込んで大量の依頼などを受けたのち、今まさにこれである。

「やっぱり無理するんだな?ベルナは」
別に無理なんかしてないわよ」

ため息とともにそう言われ、思わず意気地になって返答してしまう。

ぼすっ。一人分の重みがベッドにのしかかる。幾分沈んだ場所の方を見ると、ベッドの端に腰かけたクラウドと目が合う。

疲れた顔してるな」
「見れば分かるでしょ
「明日の予定は?」
……ある」
「どのくらい?」
……一日」

心配性が板についたそいつは迷うことなく次の言葉を紡いだ。

「じゃあ明日は予定全消ししようか」
あんたは耳が節穴なわけ?動かないと体がなまるって言ってんでしょうが」
「お前の体調管理の方が先だ」
……はぁ……あんたねぇ……

今日はクラウドと一緒に行動していたが、昨日は別行動だった。急に体を動かしたもんだから昨日も筋肉痛はあったが、かろうじて我慢していたため特に何も言われなかったけど。
……今日はさすがに体が軋む。
そのまましばらくぼーっとしていると。

……じゃあ、ちょっとだけでも体を労わる時間を持つべきだな」

そう言ってクラウドはベッドの上に上がりこみ、うつ伏せになっている私の腰を親指で軽く押さえてきた。

……何する気」
「マッサージ」

……マッサージか。それならまだいい……いや、マッサージは触りながら体をほぐすものでしょ?こいつの自制心が外れるなんてことがあったら、また………

別に下心はないよ。そんなに怖がらないで」
……それならいいけど」

別に怖がっているわけではない。むしろ……いや、まあそれは置いといて。

早速ぐーっとちょっと強めに背中を押してくる。そして力を抜かれる。また押される、その繰り返し。

「はぁ………

割といい感じのマッサージに体の力が抜ける。こいつって意外とこういうことも出来るのね。

「んー気持ちいい……

クラウドの手が肩甲骨の上をすべり、次に肩の近くをほぐしてくれる。

「結構凝ってるね」
「そんなに?」
「うん、割とかたい」

本当に下心は無いらしい。真剣であろうその顔はうつ伏せのままなので見えない。

「あー……
「ベルナ、ちょっとおっさん臭いよ?」
「誰に向かって言ってんの?私は女よ」

気持ちよさに思わず声が出て突っ込まれてしまった。誰がおっさんだ。こんなに美人なのに、失礼な。
今度は首の後ろと肩を揉まれる。大きくて温かい指にぐっと押さえられる。

「あーいいわねこれ。毎日やってちょうだい」
「いや毎日はちょっと……俺も疲れてるし」
「関係ない。やって」
「えぇ……関係なくないよ……

そんなことを言いあいながらマッサージされること数分。体の痛みが和らいできた。

ん、なんか楽になってきたわありがと」
「いいえーどういたしまして。……ここもマッサージする?」
「どこ?」

私の上半身から足の方へと移動するクラウド。……ついー、と太ももの内側を撫でられた。

……いい。やらないで」
「ちっ、ダメか」

下心無いんじゃなかったの???というか今の何?こいつ舌打ちした?
珍しい行動にちょっとびっくりしていると、腕を軽く引っ張られ、体を起こされる。

「ん、顔色も良くなってきたね」
………どうもおかげさまで」

優しく顔を覗かれ、ちょっと気恥ずかしくなり目を逸らしてお礼を言う。……なんか最近、クラウドにいろいろしてもらってばっかりね。

………ん?どうしたの?」

クラウドの方を向き、じーっと見つめる。不思議そうな顔をされる。

「あんたもやってあげようか?」
「え?」
「マッサージ。疲れてるんでしょ?はい横になって」
「え?えぇ?」
「ほら早く」

困惑する男をせっつき、ベッドにうつ伏せにさせる。こうやって見てると本当に図体がでかいわね

「やってくれるの?ベルナが?」
「やるって言ってんでしょーが。文句ある?」
「ない!お願いします!」

そんなお調子者の腰あたりに体を置き、そこに指をぐっと押し込む。

「んー。ベルナがマッサージしてくれるなんて
「どこほぐしてほしいのか言ってちょうだい」

浮ついている男にかまわずマッサージを始める。大きい背中が嬉しそうによじる。

「体動かすな」
「だってー」

本当に嬉しそうな声を出しているからちょっとやりづらい。ちゃんと気持ちいいのかしら。

「もうちょっと強くしていいよ」
「痛くないの?」
「ううん、そのくらいが丁度いい」
「ふーん

もう少し強めに指を押し付ける。やっぱり男なんだな。ちょっとした痛みもそんなに大したことないってか……女と違って。
いやまぁ逆の場合もあるだろうけど。

「んー

気持ちよさそうな声を出してリラックスしているクラウド。……良かった。
次に肩甲骨の上をマッサージ。改めて見ると男らしい体格をしていて………かっこいい。
………顔を見られない姿勢で良かった。今ちょっと変な顔をしているのかもしれないから。

……

しばらく無言でマッサージをする。最後に首の後ろと肩を揉む。

「ん、ベルナの手、気持ちいい
……あっそ」

なんかちょっと変な気分になっちゃうじゃない。いつもそんな際どいことを言うんだから。

……ん、ありがとうベルナ」
「もういいの?」
「?うん気持ちよかったよ?」

割と早めに終わってしまったので手持無沙汰になってしまう。こいつ私より動いてないからなのか、それともそういう体質なのか、体調が悪くなることがあんまりない。
……現にこの前風邪ひいて口移しとかされた時も、移らなかったしな

「んー?何考え事してるの?」
「別に。何も考えてない」
「うっそだぁ」

体を起こしたクラウドが私の方に向き直り、両手を掴んでくる。

……もうちょっとマッサージしなくていいの?」
……してくれるの?」
………

しまった。手持無沙汰なせいか余計な一言を言ってしまった。案の定目をぎらつかせている。……久しぶりに見たわねその目。

「やっぱりやめた。もうすぐお風呂だし………って、わ!」

掴まれた両手を引っ張られ抱き込まれてしまう。

「しよっかー、マッサージの続き?」
「しないったら!」

腕の中でもがこうとするがいかんせん腕の力が強い。全然びくともしない。

………ぅうー!クラウドのえっち!」
「まだ何もしてないけど。……っていうかえっちなこと想像してたんだ?」

バンッと背中を叩き、抗議する。

「してない!」
「してたんだぁー?」

上半身を軽く離され顔を覗き込まれると一気に顔が熱くなる。

「じゃあ顔のマッサージだけでもする?」
「顔のマッサージって何、っんぅ、」

言うが早いか唇を塞がれた。最近最後まで喋らせてくれないことが多い。多すぎる。

「んっ、………ぷは、」
「ん……、こういうマッサージだけど」

唇を離されると悪戯っぽく笑われる。

……うぅー!」
「どうする?どっちでもいいよ?」

こいつ、私の表情を読んでこう言ってるのか。それともただ悪戯をしたいだけなのか。

………マッサージがエスカレートしないわよね?」
「さあね」
……っじゃあしない!」

私を抱きしめる腕を外そうとするが、やっぱり外れない。燃やしたい。

「ほんとに?本当にしない?」

やっぱり心を読んでる。私は魔術師に掌握されてしまったらしい。……悔しい。にやにやと下衆な笑みを浮かべるクラウド。

………顔だけならね」
「じゃあ続きやるか!」
「本当にキスだ、んっ」

だから最後まで喋らせてほしい。



お風呂まで濃厚なマッサージタイムは続いた。