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燈 ともしび
2026-05-18 22:37:08
3123文字
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リクエスト⑦:ぎゆさね【遠出/運転】その後
ぎゆさね版ドロライで書いたお話のその後、のリクエストでした。
この二人もめちゃくちゃ楽しいんですよね。
リクエストありがとうございました☺️
運転中の人間は普段よりも格好良く見えるらしい。いつだったかテレビで見たことがある。
前を向く真剣な眼差しとかシフトレバーやハンドルを握る手とか、思わず見つめてしまう場面が何回もあって確かにな、と思う。
でも、俺が思わず見てしまったのは格好良いからだけではないんだ。
『俺は不死川が好きだ』
いま隣でハンドルを握っている同僚からそんなことを言われたから、つい意識してしまっているんだ。
「冨岡ァ、どっちが良いか決まったか?」
「え?」
昼休み、いつも冨岡がぼっち飯をしている階段下まで探しに行って声を掛ける。
いきなり俺が現れたものだから冨岡はぶどうパンを噛んだまましばらく固まっていたけれど、状況が飲み込めたらものすごい勢いで立ち上がったので今度は俺が驚いて固まってしまった。
何やってんだ。二人してそう思ったのか同時に吹き出したから、ようやくその場の空気が柔らかくなる。
「だからァ!
……
その、この前の」
「この前の」
「繰り返すなってのォ! だから、その、さ。冨岡の服を選ぶのと、ドライブするのと、どっち行くかって、やつ」
「
……
本当に行ってくれるのか?」
「ば、ばか! 約束したろォが。俺は約束はちゃんと守るんだ」
「ありがとう。嬉しい」
「
……
うん」
この前の行事下見の時、冨岡は疲れているだろうに行きも帰りもどちらも長距離運転をしてくれて、おまけに帰り道には遠回りをしてまで綺麗な夕焼けを見せてくれた。
単なる同僚とはいえそんなことをして貰ったら手ぶらで帰せないと家に寄って貰ったんだ。
ら、俺のことが好きだと告白、された。
返事は急いでないと。ただ伝えたかっただけだと言われて俺は何も言えなかった。言えなかったが、嫌ではなかった。
俺がどんな顔をしたら良いのか悩んで、でもきっと硬い顔になっていたんだろう。嫌ではなかったのに、普段顰めっ面ばかりしているせいでそんな顔が癖になってしまっていただけだったのだが、冨岡は悩ませてごめんとすぐに謝って、それなら仲の良い同僚としての距離から始めたいと言ってくれた。
そこで俺が提案したのがドライブか冨岡の服を買うという選択肢だったのだ。
なのにそろそろお互いの休みになる週末が近くなってきたのに冨岡からは何の答えも無かったので痺れを切らして聞きに来たという訳で。
冨岡はめちゃくちゃ嬉しそうに笑うから俺までなんか嬉しくなってきてしまった。
だって、そんなにもかよって。
そんなにも俺と出かける約束を喜んでくれんのかって思うだろうが。
「不死川が良ければ俺の服を選んでくれないだろうか」
頬を赤くしてそんなことを言われたら即答で行こう! って返すしかないだろうが。
俺だって別に服の趣味が良い訳じゃねェけど、冨岡は俺と違って面が良いし、体育教師らしくバランスの良い綺麗に筋肉のついた身体付きしてるからなんでも似合いそうだなとか思ってしまって。
「じ、じゃあ買い物、行こうぜ」
って、ぎこちなく約束を取り付けた。
土曜日にまたうちまで冨岡が車で迎えにきてくれて、郊外のショッピングモールに俺が好きな店が入ってるからそこに行こうってなって。
で、今は運転中の冨岡に見惚れてる。
や、見惚れてない。嘘だ。見惚れてる。
一人で脳内でバカな葛藤して、もういいやって開き直って思いっきり隣をガン見してる。
今日は俺が持ち込んだジャズのCDを流してて、なのに信号待ちでの冨岡の指先がリズムを音楽に合わせて取っていたりするからちょっと嬉しくなったりして。周りにあんまりジャズ好きな奴がいないから、今度一緒に聴きに行かねェかって誘ってみようかなとか考えた。
「不死川」
「なんだよ」
「その、あんまりこっちを見つめられていると、運転に集中出来そうにない」
青信号に変わる前にそんな申告をされたから、大笑いしながら横顔に指を突っ込んでみたりもした。
なんかいちいち冨岡の反応がツボに入って笑えた。ちょっと可愛いとか思ってしまった。
朝早めに出たからか渋滞に巻き込まれずにショッピングモールに到着出来たし、停めやすい場所に駐車出来た。
店に行く前から楽しくて仕方ない俺と、嬉しそうに引っ張られる冨岡の構図は側から見たら変なのかもしれないけれど、やたらとテンションが上がる。
そのテンションのまま店に着いて、冨岡のサイズを聞いてあれこれと奴の腕に載せていく。あっという間に服まみれにされてしまい、冨岡はちょっと困った顔をしていたが、
「絶対似合う」
と試着室へと押し込んだ。
だって俺に選んで欲しいって言ったの冨岡だし。なら、俺好みの服を着せたいって思っても許されるかなってなるだろ。
で、カーテンが開くたびにあれこれと着方を直したり、色を変えたり。やっぱり冨岡は何を着せても似合ったから普段ジャージなの勿体ねぇなってなって。でもやっぱりこいつか格好良いのは俺だけが知ってれば良いかって変な気持ちになったりして。
二人であれこれ悩んで。それで最後は気回しやすそうなのを二パターン組んでやったら冨岡は嫌がることもなく、逆に嬉しそうに全部買ってたからなんかものすごい達成感だった。
「この薄手のニット、見たことがある」
支払いを終えた後に冨岡がこっそり言ってくるのは脇腹に一発入れておく。
いーんだよ。気付くなよ。それが俺と色違いとか。
「嬉しい」
「うん」
大切そうにぎゅっと抱え込んでるから、来て良かったって思えた。
買い物が思っていたよりも早く終わってしまったので混む前に昼飯にすることにした。ボリュームのある定食屋。にしたのは鮭大根があったからとかも内緒。
端っこの席に座って食べながらこの後どうするって話していたら、スマホで館内案内を見ていた冨岡がここに行きたいって言い出した。
「良いよ」
即答で返す。
土曜日に男二人で行くところじゃねェけど、良いよって。だって嬉しそうだったから。冨岡が。だから良いって。
その後、冨岡の希望通り二人でプラネタリウムを見た。
悲恋のお話の回で、自分でも信じられないけど最後にちょっと泣いてしまった。隣の奴がそっと指先だけを繋いできたから握り返しておいた。
終わったら渋滞が始まる前にとそのまま車に戻る。
なんでだか車に乗るまで指先は繋がったままだ。冨岡は何も言わないし俺も何も言わない。だからそのままでいた。
「帰るか」
「寝てて良いぞ」
「そんな訳にいくか、ばーか」
軽口を叩いていても、繋いでいた。
帰りは高速に乗って帰る。
冨岡の運転はやっぱり上手くて安定してたから眠くなる。
「寝て良いよ」
そんな優しくて甘い声にも抗えない。
コイツさ、コイツは。声も良いんだ。クソッタレ。
高速を使ったから早く家に帰れて、でも相変わらず冨岡は笑って俺だけを降ろそうとするから今度は手をしっかり繋いで車から引き摺り降ろした。
「同僚の距離から外れてしまうから」
とかなんとかほざいていたけど知らねェ。
だって、もうとっくに同僚の距離じゃねェんだもん。
「メシ、準備してあるから食ってけよ」
「
……
不死川」
「あんだよ」
「もう、無理でも良いか?」
「なにが」
「同僚とか、もう無理なんだ」
「ばか。良いって言ってんだよ」
そう言ったら、今日一番の笑顔で微笑まれてしまったから心臓が止まるかと思った。
リクエスト:キ学軸同僚な二人のお話の続きでGWらしくドライブデートもしくはジャージ以外の服を一緒に買いに行き🌊の顔面の良さに悶える🍃
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