seiroryuki
2026-05-17 15:57:58
1303文字
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エジリディ小話



一好きな人が出来たの

 一瞬、言われた言葉の意味が分からずに、エッジは数秒程固まってしまった。
息もその間止まったのではないかと思うほどの無の時間。
 何を言われたか理解した時は、ブラスターを受けた時のように頭の中を揺さぶられる、そんな感覚で思わずよろけそうになったが力を込めて踏ん張って、そこは耐えた。
黙ったのは一瞬だし流石に少し目が開いてしまったけれど。細かい表情の機徴は口当に吸い取られる。
あぁ忍者で良かったな。
「そうか」
 何とか務めて平静に。
「リディアもなぁ、大人になったんだなぁ」
 しみじみと感心した風の軽口で何とかエッジは平静を保つ。
うんうん、とうなずいていると、もう!と怒ったような声を出しながらちょっとだけ睨まれはしたが、リディアの表情は幸せそうに輝いている。
 いつかは来ると思っていた。
リディアは、人の世界とは違う場所で特殊な時間を過ごした上、元々の故郷も特殊な村だった。
他所からの繋がりを拒んで小さな村の中だけで、召喚士の血筋だけを重んじて。
故郷で変わらず平穏に暮らしていても彼女は、恋とか愛とか気付く前に血筋で決められた者と家族になって血を継いでいくことになっていたのかもしれない。
勿論、家族になれば、それなりの情も沸いて共に支え合う関係にもなり得ることもあるだろう。
 リディアと初めて出会ってから十数年。
長いようで振り返れば、あっという間だったと思う。
国も民も守る、そしてリディアの事だって守りきってみせる。
リディアを泣かせたくない。
 でも王として国を民を見ていて。あの時の辛さ、悲しみはもう誰にもさせたくないとエッジは思うようになった。その為に自分はどこまでも民達を一番に考えねばならない。
そうは分かってはいるが。

「リディアに想ってもらえるとは幸せな奴もいるもんだ」
「そうなのかな」
「そうだろ」
 そっかとふふ、とどこか遠くを見るように笑う彼女の顔を横目に見てやっぱり綺麗だなと思う。
最初に出会った時、なんて綺麗な姉ちゃんだと思ったのもよく覚えているし、その綺麗な子がポロポロと子供の様に泣く姿に心を惹かれた。
見知らぬ自分に対して、もう誰も死んでほしくないと泣いてくれる純粋さがあまりにも眩しくて。
本来だったらリディアは7歳だと知ったのはその後だ。
 驚いたし、少々ショックも受けたが、だからなんだなとエッジは納得したものだった。
大人の姿に子供のままの心を持ったりリディアもすっかり大人になった。
それだけの時間が過ぎたという事か。

「ねぇエッジは、好きな人と一緒に居たい?」
「そりゃな、ずっと隣に居たいだろ。一番近くに居て見ていたいもんだぜ」
 リディアが安心して人間界に居られるようにミストの村の復興にも手を出していた。
だから、幸せになるならそれでいいんだよな
いつかそんな日が来るのではとどこか思っていたし、覚悟してたつもりでもいざ、となったらなかなかなぁ。あぁ全く分かっていただろう、情けねぇなとエッジが負の感情に囚われていると。

「私が隣に居たらエッジは幸せと思ってくれる?」「・・・・・・へ?」