三毛田
2026-05-17 13:54:59
1062文字
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60 【60/三度目の正直】

60日目
君への想いを受け取って!

「あの~」
「なんだ」
「いえ」
 振り返った丹恒は、彼にしては珍しく不機嫌を表に出しており。
「えーと。パムから、準備は出来ているから手が空いたら来てくれてって伝言」
「わかった」
 頷くと作業を止め、資料室を出ていく。
「こわ」
「そう? 慣れると、あれでも愛想がいいってわかるけど」
 ちょっとビビり散らかしたので、資料室を出て隣のなのの部屋へ行くとそう返され。
「なのを筆頭に、姫子もヨウおじちゃんもパムも、結構明るくて積極的に話しかけてくるだろ?」
「うん。でも、丹恒は必要なこと以外は自分から話すような人じゃないからね」
「それでいいのか?」
「仕事さえちゃんとすれば、それでいい。って感じだからねぇ。ある程度のコミュニケーションは必要だけど、他人との関わりを持ちたくないっていうなら放っておいていいって思うかな」
「うーん……
 彼女の言いたいことはわかるけれど、納得できるかどうかはまた別。っていうやつ。
「もう少し仲良くなったら、心を開いてくれるはず!」
「はずかよ」
 呆れた声が出てしまったが、なのは気にする様子もなく。
 ただ、彼女の言っていたことが正しいということを、しばらくしてから感じた。
「穹。今から時間平気だろうか」
「大丈夫! どうしたんだ?」
 それからしばらくして。出会った頃から比べたら心を開いてくれた丹恒は、用があると俺を呼び止めたり俺の部屋を訪ねてきたりするようになって。
「すぐに戻るから、飲み物は不要だ」
「いいから、いいから!」
 ダイニングテーブルに案内して、座ってもらう。今までであれば一方的に用件を告げて差っていっただろう。
「ん~。可愛い。好き!」
「急に何だ。頭は打って……いないな」
「当たり前だろ~?」
 はい、どうぞ。と、キンキンに冷えたカフェオレを渡す。
「ありがとう」
「好き」
「またそれか」
「だって。お前のことが好きだからさ。好きだって伝えないとこの気持ちが溢れて止まらなくなりそうなんだよ」
 うん。そうなのだ。
 丹恒が俺に対して心を開いてきてくれたことに気づき、そこから好きって気持ちを抱くようになっていき。
 好きで好きで仕方なくなってきた。
「お前は俺にそうやって好きだと伝え、どうしたいんだ」
「伝えるだけっていうのは、駄目なのか?」
「駄目、というわけではないが」
「今はそれで納得してよ」
……わかった」
 今はそれでいい。
 その後、自分の好きが変わったことに気づいて突撃し、三度目で恋人になったのは遠くない未来の話。