イマナミ
2026-05-16 00:23:12
7403文字
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暖かな陽射しの中で 第10話 多忙

ぎゆしの小説 生存if
🌊🦋、🎴🌸ヲ、🐍🍡、ゆしたま前提

「姉さん、私、蝶屋敷をでようと思うの」
おどおどとカナヲが告げた。

「「え」」
しのぶもアオイも驚いてる。

「本当に急でごめんなさい。姉さん。
そのお腹に赤ちゃんがいて、この9月には産まれるの。
だから炭治郎ともう暮らそうと思って
11月に結婚する予定だったのに、こんなことになって。本当にごめんなさい
カナヲの大きな瞳は少し潤んでる。

冨岡さんといい、炭治郎くんといい、鱗滝一門は女性に手を出すのが早いんですね」
しのぶの表情は心ここにあらずだ。

「しのぶ様、驚きすぎてうっかりご自身と冨岡様の関係までおっしゃられてますよ」

「あら
「泣かないで、カナヲ体調は大丈夫?」
「はい、姉さん」

「ものすごくビックリしましたけど、喜ばしいことなので謝らないで。おめでとう、カナヲ。
幸い結婚する予定だったから諸々のことは決まってますし、また考えましょう。」
にっこりとしのぶは微笑んだ。

「はいでも、蝶屋敷が」
「私がなんとかしますから」

(カナヲが蝶屋敷からいなくなる。今、蝶屋敷で診察できるのはアオイだけ。二人でやってたものを一人は無理よね。
ちょっと考えなくてはいけませんね。)

「アオイ
「はい」

「アオイはいい人いないの?」
いますけど、今は結婚など考えられないので大丈夫です。」

「まあ、結婚する時は遠慮しないでね。私の今の仕事はもうじき終わりそうですからね。」
ありがとうございます。今のままで私は大丈夫です。
しのぶ様こそご無理をなさらないように。
それこそ冨岡様とそのようなご関係なら、ご結婚なさることなど視野に入れてくださいね」

「一応、結婚は視野に入れてますから」
「しのぶ様よかったです」

しのぶは、少しため息をついて外を見た。
梅の木が蕾をつけてる。

「はやいものね」と思わず呟いた。

✳︎
産屋敷邸で宇髄はここ最近大人しく仕事をしてる。
冨岡が前のように胡蝶のとこに頻繁に行かなくなったことで、どう慰めようかずっと静かに悩んでいた。

(女は星の数ほどいるとか言ってもな。胡蝶は一人だしな)

「最近、冨岡は胡蝶のとこいかないのか?」
宇髄はおそるおそる冨岡に聞いた。

「?え?行ってないか?」

「ああ、前のように頻繁に見に行ってないから、その、あきらめたのか?」

「あきらめてない交際してる」
「そっか交際

「おまえらできてるのか」
宇髄は驚いて椅子から落ちた。

「そんなに驚くことか?」
「そっか、上手く行ったから口説きに行くことがなくなったのかよてっきり押し倒して、胡蝶にブチギレられて駄目になったのかと」

「心外だ。俺ってそんな風に思われてるのか」

「おまえは極たまに妙な行動力があるから、いつか手のほうが先にでて大変なことになるんじゃねーかって伊黒と心配してたんだよ。杞憂でよかったよ

あながち間違ってないなと冨岡は思う。
我慢していた日々の長さに通じ合うより先に唇を奪ったし、気持ちが通じてからすぐ身体を重ねてる。

「祝言は?」
「6月まで研究が忙しいからそれが終わったら考えようって話しになった」

「胡蝶は研究しかみえてないから、冨岡も大変だな」
「研究が落ち着いたら心に余裕もできるかと待ってるとこだ」

「だといいけど、竈門に子どもできたの知ってる?」
「そうなのか?」

「昨日、うちの赤ん坊の健診に行ったら胡蝶の継子がいたんだ。腹に子がいるってさ。そうなったら流石に竈門と暮らすんじゃねーか?」

「炭治郎の子か楽しみだな」
ムフフと冨岡がにやける。

「おまえ子ども好きだもんな。俺んとこの子も可愛がってくれてるしな」

「胡蝶は蝶屋敷どうするんだろうか?」
冨岡はふと思う。栗花落がいないなら胡蝶が診察に行く気がする。

「聞きに行ったら?午後から休めよ。キリがいいし」

「うーん、嫌な予感しかしない」

✳︎
「患者、結構くるんですね」

「カナヲ目当てみたいなのは私がけちしらしたので、だいぶ減りましたけどね。今度はしのぶ様の美しさが知れ渡ってしまいそうですね」

「そういう輩は次回から全員愈史郎さんの日にまわします」

研究に入れないと困るので、火、金曜日は愈史郎にまかせることにしてる。

「有無を言わさずしのぶ様ならやってのけそうですね」
「また次の診察時間になったらよろしくね、アオイ」
しのぶは診察時間以外は蝶屋敷でも研究をする。
どうしても早く研究を終わらせたい。

ふとアオイは窓の外を見る。

「冨岡様じゃないですかね、こちらに向かってるの」

「アオイにも見えるならそうなんでしょうね」
「しのぶ様ったら何をおっしゃってお疲れですか?」

「会いたいと思ってたから、私だけに見えた幻かと思いました」
アオイの目が点になる。

「信じられないです。
しのぶ様が盛大に惚気る日がくるなんて。とてつもなく可愛いです」

やだわ、アオイったら。それにしても冨岡さんったらなんでしょうね、こんな時間に」

「とみおかさーん」
しのぶが窓から顔をだす。
冨岡と目があう。

「胡蝶、そっちに行く」

✳︎
「冨岡さん」
屋敷の廊下でしのぶが笑顔で冨岡の胸に飛び込んだ。
「胡蝶」
冨岡は片手でしのぶを簡単にささえた。

」アオイはしのぶの行動に驚き、あまりにも可愛くて思わず目に焼き付けておこうと思った。

「私は買い出しにいきますので、お二人でのんびりすごしてください」
アオイは笑顔でハキハキとしのぶに話しかけた。

「あ、あら」
しのぶは顔を赤らめた。

「冨岡様、しのぶ様が幻を見てしまいそうになるほど、会いたかったそうですよ」
「そうなのか?嬉しいことを教えてくれてありがとう。神崎」
冨岡はにこっとアオイに微笑んだ。

「すすみ達は3時には学校からかえってきますので、ちゃんと教育上考えて振る舞ってくださいね。それでは」
ガラっとドアをあけてアオイはでていった。

いやですね、そんなことしないですよ」
「でも、口付けくらいはしてから帰るよ」

冨岡さん何のご用ですか?お仕事は?」
「それが午後から休みをもらった」
「よくここだとわかりましたね」
「愈史郎から聞いたからな」

「私、蝶屋敷と研究を両立するので、今週末もまた会えそうにないですし、しばらく一緒にお出かけしたりできそうもないです」

「もう俺の家に帰ってきたらいいのに」
小さな子供のような瞳でしのぶをみてる。

「蝶屋敷での診察も引き受けるのでお泊まりだけもなかなか厳しいですね」
「辛い
「今は会えないですけど、研究はやく終わらせて、たくさん冨岡さんと過ごすために頑張りますね」

その言葉に嬉しくなり、ぎゅっと冨岡は思わず抱き寄せる。

「可愛いこんな可愛いことを言う胡蝶が本当に俺のものなのだろうか。夢だったりしないだろうか」
「落ち着いてください」
「頭を撫でたい」
「綺麗にしてるのでやめてください」
「髪をおろそう」
「今は駄目です。結構時間かかるんですから」

冨岡は少し哀しそうな顔でしのぶをみた。
「しばらく会えなくなるかもしれないのに
「おめでたいことなんですけどね。赤ちゃんが産まれるの楽しみです」

冨岡はしのぶの様子にほっとした。
「炭治郎が羨ましい。俺も胡蝶と夫婦になって暮らしたい。」
研究が終わるまでそれどころじゃないですから」
「独寝は寂しい」

「それは困った人ですね」

冨岡は首筋に唇を落とす。
「だめか?」

「可愛く言っても駄目です。離してください。もうじき3時ですよ」

「もう少し早く来れたらよかったな。宇髄と話さず」
しぶしぶ冨岡はしのぶから身体を離した。

「冨岡さん、そういえば、明日お誕生日ですね。あと三年で26歳
「そうだな、意外と早いな」

「薬、失敗してたらすみません」

「いいよ。胡蝶に抱かれながら逝くなら悪くない」
「なんかいやらしいですね、そんなに飢えてるんですか?」
「それはやらしく受け取ったおまえが悪い」

「まあ、私の薬は今のままでも飲み続ける限りはちゃんと効いてますからね実験済みですし。
でも、今の薬を私たちが作り続けるのは大変なので頑張ります」

「すごいよな、胡蝶は」
「ありがとうございます。じゃあ私はこれで」
冨岡はぐっとしのぶの腕を掴む。

口付けしてない」
「明日、お誕生日ですし診察だけで切り上げて冨岡さんのところに泊まりに行きますから、今はこれで満足してくださいよ」
そっとしのぶは唇を重ねた。

「ああ、待ってる。頑張って」
「仕事を明日にまわしてまで会いに行くのだから、今夜はたくさん可愛がってくださいね、義勇さん」
艶っぽくしのぶが微笑んだ。

そして、しのぶは冨岡のほうに振り向くこともなくいそいそと診察室に向かっていた。

(切り替えが早いな)冨岡はしのぶらしいなと思う。

共に暮らし、共に人生を歩みたい。

付き合うと決めた日から胡蝶は俺に他の誰かと結婚し、子を作れとは流石に言わなくなった。

忙しい今こそ日々の生活を支えてあげたいのに、落ち着いたら共に暮らすことは考えるといわれる。

今の生活に冨岡さんまではいってこられたらせっかくのペースが乱されますとハッキリ断られた。
この命は胡蝶たちの薬のおかげで長くなるのだから、胡蝶が忙しいならその分できることをしてあげたいと言ったら、その命のための研究です乱さないでくださいと叱られた。

(研究だけでも大変そうだったのに、更に蝶屋敷の診察か。研究が落ちつくまでは何もこちらからしないほうがいいかな)

6月には落ち着くと頑張ってるのだから信じよう。



✳︎
暗闇にほんのりとした灯りの中、しのぶは髪をふわっとおろす。
冨岡は布団の中で少しまどろんでいる。

「なんかここのお風呂、落ち着きますね。今日も気持ちよかったです」

一緒に入りたいといつも言ってるのに」
冨岡が拗ねたこどものような声をだすので、しのぶはふーっとため息をつく。

「絶対無理です」
「なんで?」

襲われるので

「あり得ないな」

しのぶは無理でしょと表情であらわす。
「一緒にいるときは離れたくない」
「冨岡さんがこんな甘えん坊だなんて」


「冨岡さん、今度、ゆっくり会えるの、3月の終わりくらいになりますね」

「え?ほぼ2ヶ月会えないのか?」

「薬がもうじきできるんです。集中したいので」

「そうか」
あきらかにしゅんとなっている。

「でも桜は見に行きましょうね。任務でもよく一緒にみましたよね」

「ああ、何故か桜の季節は何度か任務が一緒だったな。
桜を一緒に見たというか共に通りすがったというか」

「そんなことでも、私には嬉しかったんですからね」
頬を少し赤らめながらしのぶは冨岡をみてる。

「?いつから俺のこと?」

「秘密です」
しのぶは失言したなと思いながらにこっと微笑んだ。

「はやく、おいで、もう寝よう」

もう少し話したかったなと思いつつ、眠そうな冨岡を無理矢理つきあわせるのもなと思う。

「胡蝶、もしかして足りなかったか?とりあえず一回寝て朝に

「もう、充分ですよ二回もお相手しましたよ。帰ってからと、食後と」

初めてのような戸惑いはなくなって、長年、お互いにお互いをよく見ていたせいか、何を求めてるのかよくわかる。かなりの身体の相性のよさにしのぶは少し戸惑ってる。

「次は2ヶ月後かもしれないと思ったら、俺は足りない」

それは申し訳ないと思ってるんですから」
ごそごそとしのぶが布団に入ると、冨岡の胸の中に迎えられた。
冨岡はしのぶの頭を撫でるのが落ち着くのか寝る時はひたすらしのぶの頭を撫ではじめる。

「冨岡さんのその驚くほどつきない性欲が心配なんですけど。浮気したらだめですからね」
しのぶは布団の中で冨岡の足を足でついた。

性欲はしのぶのほうがと冨岡は思った。
でも、どう考えても忙しそうでそんな気がなさそうなので言わないでおこうと思う。

「性欲もないしな。浮気なんて有り得ない」

「ふーん、抱いてくださいとか言われたらどうします?」

「心に決めた人がいるからと断るだろ」

「なんとなく押しに弱い気がします。
胸の大きな人に抱いてと頼まれたら?」

「え?胸?なんで?」

「冨岡さん、胸好きですよね」
「そうか?」

「最近、口付けもほどほどに胸にいきますし」
いや、そのそうなのか?」

「情事の間、ほとんどずっと触ったり、吸ったりしてますし」
冨岡はその手の話題が得意じゃないので勘弁してほしいし、そういう話は情事のときに言ってほしいなと思いながら、なんなくしのぶに背を向ける。

「口付けを増やすからこの話しは勘弁してほしい俺は、ただ、しのぶが好きなんだ」
「あら」

「未だに、目を合わせるだけでもおかしくなりそうなくらい好きだもう寝る」

冨岡はしのぶに背を向けたままでいる。
しのぶは上体をおこし冨岡を覗き込む。

「あらお顔が真っ赤」
可愛いなとしのぶは胸がきゅんとする。

「もう寝よう早く寝ないと朝できない

「どの口が性欲ないなんて言うのかしら

すーすーとすぐに寝息が聞こえてきた。
しのぶは冨岡の髪をそっと撫でる。

「いつもたくさん頭撫でてくるからこっそりおかえししますね」

(可愛い寝顔なんですよね)

「もっと本当は一緒にいてあげたいんですけどね」
しのぶにはどうしても研究をはやく終わらせたい理由がある。
冨岡の背中に抱きついてしのぶも目を閉じた。



朝はなんて寒いのだろう。このところの寒さは異常だなとしのぶは思いながら、研究室に向かう。

こんな早いのに既にあかりがついている。
時計をみてもまだ6時だ。

「これは失敗かもな」

「愈史郎さん、日曜日なのに朝早いですね、まだ6時ですよ」
研究棟は今は休みを設けることもない。

「結果が気になって寝れん。
痣状態の実験動物がそろそろ人間でいう25を超えるだろ?なんか急に弱ってきた気がする。仕方ないから弱った状態で今の薬飲まして効くのかもとりあえず、みてる」
「何回ですか?」

「予定通り2打った」

うまくいきそうなんですけどね。駄目でしたか」
しのぶはため息をつく。

「これ、悲鳴嶼の細胞の研究結果。これに近づいたらいいんだよなと思うが何というか

「うーん、そうなんですよね。悲鳴嶼さん本当に何も問題ない普通の人なんですよね」

「あのデカさで盲目なのに機敏なことが、普通のほうが異常だ」

「いいたいことはわかります」

「珠世様は今日、悲鳴嶼のとこに行く予定だ。
過去にも痣でで普通に生きてたやつがいたらしいから、悲鳴嶼はそいつに近いのか、住んでる場所の影響かどんなものを食って生活をしてるのかも知りたいらしい」

「何かわかるといいんですけど、私の知る限り、悲鳴嶼さんはやはり普通の人ですから」

「その可能性高そうだよな。最近、俺らが人間になるの、早まったかなとよく珠世様と話してる」

「そんなこと

「このままだと俺ら三人が寿命をむかえたら、柱も薬がなくて死ぬからな。」

「そうですね」
シーンと研究室が静かになる。

「でも、この世界で珠世様と昼間に出かけたり、美味いものを食ったり、陽の光におびえなくていい生活を迎えられて、俺は幸せだ。
だからこそ、鬼殺隊には感謝してもしきれない。研究は放り出さないから安心しろ」
愈史郎さん

なんとなくあの戦いを思い出すと暗い気持ちになる。
一度確実に私は死んだ。
なのにそのおかげで無惨を倒した瞬間に、逆に無限城に入る前の身体に戻ってるのだから、無限城という空間は不思議だ。

「そういや、胡蝶、冨岡はいいのか?会う余裕なんてなくなってきただろ?蝶屋敷もあるしな。
俺も珠世様暮らしていても前より語らう時間が減り、いっぱいいっぱいだ」

「大丈夫です。一応休憩時間に少しお話ししたりしてますから。六月までに終わらせましょう。愈史郎さんは軽井沢が待ってますよ」

「そうだな、軽井沢、夏は軽井沢で珠世様と過ごす」
「その意気です。愈史郎さん。珠世様が待ってますよ」
「よし、次のこっちの新薬を試そう」
「頑張りましょう」

愈史郎さんは薬を注射器に入れる。

「俺らよりも負い目を感じて死ぬほど働いてる柱もいるしな。頑張るしかない」

「そんな柱の方々にはこの一年はなるべく無理はしないように言ってますけど」

言いつけをやぶり誰かが無茶をしてるのかしら?としのぶはちょっとイラっとする。

「宇髄だよ。あいつの態度がくそ軽いのも大変なことをしてるのことを誤魔化してるんだろ?宇髄のやつこそほぼ休んでないな。なんなら夜も情報収集してるな」

「宇髄さん?」

「青い彼岸花が俺らの研究にも役に立つかと思って、産屋敷にきいてみたら既に宇髄を使って捜索中だった。まあ嫁を使ってるのだろうけど、あの報告書読んだらわかる。もはやあれは執念の塊だな

「青い彼岸花鬼になると言われてるあの?」

「まあ、知ってるのは俺ら三人と産屋敷と宇髄だけだからな」

「宇髄さんって本当にすごい忍びだったんですね。最近、何かの冗談なんじゃないかと思い始めてたとこでした」
俺と同じ感想か」

青い彼岸花が鬼を産む。
珠世さんも鬼舞辻無惨の支配下だった頃、青い彼岸花の捜索と太陽克服のための研究をしてたとは聞いたけど

珠世さんの言うとおり陽射しを好む植物ならなんとかなる気がする。日輪刀が鬼を倒せることを先人がみつけたように、この植物達で完全に痣の寿命を乗りこえれたらいい。

太陽の力を信じて薬を開発する。
どんな無理をしてでも一刻もはやく薬を作りたい。

しのぶは一層研究にのめり込んだ。




10話 多忙