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遊音。(ゆね)
2026-05-15 23:27:57
3888文字
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約束シリーズ。
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たんじょうび。
kbkがtgsの誕生日を祝うtgkb(トガカバ)。付き合ってる二人です(『約束。』の二人ですが、これだけで読めます)。
当社比だいぶ甘めです。
「誕生日おめでとうございます」
カバキの家に着くと、いつもの様子のカバキがそう言って出迎えてくれたので、トガシはほっとした。
「よかった
……
自分がはいった誕生日ボックスとか、リボンまかれたカバキ君が出てきたらどうしようかと思ってた
……
」
トガシの誕生日。カバキの家に招かれて時間通りに来たトガシだが、内心でドキドキしていた。恋人の愛情は疑うべくもないがその方向性をまだ計りかねているトガシは、自分の誕生日を初めて祝ってくれるカバキがどのくらい張り切るか少し怖かった。ドアをあけて予想外のカバキが出てきたら、どうリアクションするべきかこの数日悩み続けていたのだ
「それも考えました」
「考えてたんだ
……
」
「トガシさんがそういうのして欲しいなら来年考えますけど」
「いや、そういうのはいいよ
……
」
「いいんですか? 俺はトガシさんにこそ、そういうのしてくれたら嬉しいですけど」
「えぇ
……
嬉しいの? そっか
……
」
前向きに検討しないといけないだろうか、と思いながらトガシはカバキの家にあがる。
手を洗い荷物をおくと、ワンルームの中央にはローテーブルが置いてある。ベッドとローテーブルの合間に座ったカバキが待ち構える。
なんだか緊張するのは特別な日だからか。
見上げてきたカバキが自分の左隣にすわるように、とクッションをぽんぽんと叩いてアクションで示す。
「はいはい、まってね」
隣に座ろうと膝を下ろすと、座りきる前にシャツを引っ張られて膝立ちになる。見下ろすと何か言いたげにカバキが見上げてくる。
そういえば、まだしてなかったな、と思ってトガシはカバキの頭を撫でると後頭部に手を添えてそのままカバキの唇を軽く食む。
「正解?」
「正解です」
カバキが小さく微笑んだのに安堵して、トガシは腰を下ろすと横に座るカバキの腰に手を回して、引き寄せようとした。しかし、カバキが口元を何かで塞いできたので動きを止める。紙のようだった。口元に押し付けられたそれをトガシは手に取る。
「手紙?」
「違います」
手の中には小さな封筒がある。何かとトガシはカバキとカードを交互に見る。
「誕生日プレゼントです」
「
……
開けていい?」
カバキが頷くので、トガシは封筒を開けた。
予想と違っていたシンプルなプレゼントに、トガシは安堵する。ギフトカードか何かだろうか。
封をあけて中から出てきたのは、シンプルだが模様がはいった綺麗なカードで、何か書いてあるのでトガシはそのまま読み上げる。
「
……
なんでもしてあげる券
……
」
ふと小学校の頃に学校の行事で作らされた『お手伝い券』を、親に渡さないまま机にしまい込んだ過去をトガシは思い出した。
「トガシさん
……
俺めっちゃ悩んだんですよ」
カードから視線をあげてカバキを見ると、カバキは立てた膝に肘をおいて、頬杖をつきながらこちらを見上げてくる。
「欲しいものなんてないでしょ、トガシさん」
「
……
そう、かも?」
確かに、言われて何かほしいかと言われたら特に答えはない。
「スポーツ用品はこだわりあるでしょうし、口出すつもりありません。服は一緒に買いに行かないと意味ないですし、あげたところで着るかもわからないですし、どうせいつも同じようなTシャツとかになるんでしょうし。あの部屋見てたら何か使いそうなものなんて思いつかないですし、一番使いそうなのプロテインでしたけど、それじゃ味気ないし
……
」
なんだかものすごく責められている気分になる。
「
……
ご、ごめんね
……
?」
「なので、それにしました」
「なんでもしてあげる券
……
」
右肩あがりの角ばった字でそうかかれた券にふたたび目を落とす。
「いいですか」
カバキの声に顔をむけると、左手の人差し指をつきだされたかと思うと頬を突かれた。
「トガシさんのことが大好きで、トガシさんになら本気で何されてもいいと思ってる俺からの、なんでもしてあげるっていう券です。意味、わかりますよね?」
ぐいぐいと頬を突かれてトガシは眉を寄せる。痛い。やっぱり怒られているんじゃないかと思えてくる。何かしただろうか、とトガシは考える。
「あ、ありがと、カバキくん
……
」
やっと指が離れて、トガシは突かれていた右側の頬を軽くなでた。
しばらくカードを眺めてトガシは少し微笑む。たくさん考えてくれたのだろうと思うと、それはそれで嬉しい。
「ありがとう、カバキくん。大事に使うから
……
」
「ダメです」
今度は右頬を軽くつねられる。
「どうせ、財布にしまったまま、とか、どこか大事に置いといたっていってそのまま忘れるパターンですよね?」
彼は自分の小学生の時を見てきたのだろうか、とトガシは冷や汗をかく。というか、やはり怒られている気がする。
「それ、今日中ですから。使用期限」
「今日!?」
「そうです。あと、経験済みのことはNGなんで。新しいことでお願いします」
「え、えぇぇ
……
」
「あと、使わない、はダメですから」
とても困ったことになった、とトガシは眉を寄せる。それよりなにより。
「ねぇ、怒ってる? カバキくん
……
」
頬をつねる手をとりながら、トガシが顔をうかがうと、カバキはスンとしたいつもの無表情だが、やはり怒っている気がする。
「怒ってる
……
よね
……
?」
何かしただろうか、と思い返してみるが覚えがない。
「別に
……
トガシさんに怒ってはないです」
「でも怒ってるんでしょ
……
?」
「怒ってるというわけではないです」
胡坐のなかに両手を突っ込み、顔を背けたカバキに、トガシは困って眉を下げた。
「もしかして拗ねてる?」
カバキの顔を覗き込もうとすると、カバキの首がますます反対に曲がっていく。どうやら正解のようだ。
柔らかい頬を見せたまま、顔が戻る気配がないので、トガシは困ったと苦笑して、その頬に音を立ててキスをした。
「
……
なんで? カバキくん?」
顔を近づけたまま聞くと、ゆっくりとカバキが首を戻す。ばつのわるい顔をしたカバキが可愛くて、そのままキスしてしまった。
音をたてて2、3度唇をついばむと、少しカバキの表情が和らいだので、トガシは安堵する。カバキが、もっと、と顔をあげたのでしばらく触れるだけのキスを重ねる。
「機嫌、直った?」
「
……
すみません」
カバキは先ほどとは違って少し恥ずかしそうに顔を背ける。
「どしたの? 俺なんかしちゃった?」
教えてよ、とトガシが言うと、カバキは視線を戻した。
「昨日、練習場で。プレゼントもらいましたよね、トガシさん」
「
……
もらった
……
かな
…
‥?」
トガシは顎に手をそえて考える。覚えていない。
「練習場にきてた女性社員に、誕生日プレゼントだって」
「
……
かな
……
?」
トガシはしばらく考える。練習後のことを思い出す。しばらく考えて、やっと思い出した。困ったなと思って後輩にそのまま渡したことを。
「あー
……
たしかに。すぐ他の人にあげちゃったけど」
誰に渡したかも覚えていないが、カバキが名前をだしたので「そうそう」と答えた。
「あ、見てたんだ
……
?」
「その受け取ったのもあげたのも覚えてないところトガシさんらしいですが、いらない恨みを買うからもう少し気を付けたほうがいいですよ」
トガシは苦笑いしながら、後頭部を掻く。
「え、それで拗ねてる
……
の?」
言葉に出したが、それは違うような気がしてトガシは疑問を浮かべる。この程度のことではカバキは拗ねたり怒ったりしない気がしている。
「違うよね?」
「
……
違います。俺はただ
……
今年の誕生日を祝うのが俺が最初じゃなかったのが嫌だっただけ、です
……
」
また、カバキが顔を背けた。耳が赤い。
「すみません、ほんと、ガキっぽいですけど
……
付き合って初めてじゃないですか。だから、最初に祝うのは俺が良かったっていう
……
」
自制はまったく効かなかった。腕を後頭部からまわしてカバキの顔を戻してキスすると、抱きしめてしまった。
「
……
カバキくん、それは可愛すぎてズルいと思う
……
」
「
……
別に可愛くないです」
大人しく抱きしめられたカバキがトガシの肩の上で呟く。どう考えても可愛すぎるでしょ、とトガシはカバキを抱きしめたまま、頭を撫でる。
「忘れてたから、実質カバキくんが祝ってくれたの最初だけど?」
「
……
そですね。トガシさんがヒトデナシのおかげですね」
ひとでなし、と呼ばれてトガシは苦笑する。
「
……
ヒトデナシのほうがカバキくんにはいいでしょ?」
「ま、そうですね」
顔をあげたカバキの頬を撫でる。
「
……
いますぐしたいけど、券使ったほうがいい?」
「だめです。それは券必要ないんで」
でも今日中ですからね、とカバキが言うので、トガシは額をカバキのそれにくっつける。
「きびしぃなぁ
……
」
「なんでもいいですよ。今日はゆるします」
「
……
今までも別に拒否されたことない気がするけど」
「あと
……
俺の誕生日も、同じものがいいです」
カバキの両手が頬を包んでくる。
「え
……
おなじもの
……
?」
「同じもので、お願いします」
カバキのキスをうけながら、カバキの誕生日がいまからちょっと怖くなったトガシだった。
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書いてていや、甘すぎるんじゃないかと自分でも思うんですが『約束。』の二人なのでこのくらいカバキくんは甘やかされても許される気がしています。
誕生日わかないんですけど、なんとなくトガシより後かなぁと。なんか早生まれな気がしています。カバキくん冬な感じがあって。トガシは夏。
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