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斐笑
2026-05-14 19:48:04
5147文字
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yhrさん宅夢まとめ
yhrさん(@only_yhr/@1stcrack)宅の創作さんたちのファンアートです。ALL幻覚。
なまえ
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なまえ
随時追加予定
現在→九司くん、千路さん、一世くん、ハクちゃん
九司【放課後コーヒーコネクション】ネームレス
2026.04.16
いつもの放課後カフェアルバイト。清掃も済み、やることのなくなった九司は手持ち無沙汰にテーブルを拭く。マスターもとい焙煎の営むカフェは相も変わらず閑古鳥が鳴いており、ジャズが響く店内にはゆるやかな時間が流れていた。
不意に涼やかなドアベルが来客を告げた。この時間に来るのはたいてい常連のケンゾウだったなと思い、九司はおざなりに挨拶を
――
「らっしゃーせ、ッ!?」
しようとした。顔を上げた先にはクラスメイトがいた。しかも、最近九司が気になっている隣の席の女子である。
彼女は所在なげに店内を見渡すと、九司に視線を合わせて眉尻を下げた。客がいないため入って良いのか迷ったのだろう。控えめな困惑に、心臓を掴まれる心地がした。
「あー
……
っと、いらっしゃいませ、お好きな席にどうぞ」
彼女がカウンターの見えるボックス席を選んだのを見て、お冷やとおしぼりを出そうとカウンターに回る。その時トイレから出てきた焙煎が彼女を目に留めた。彼の昏い瞳に光が差す。
「新規のお客様かな。九司、厨房」
「おっ、俺が対応しますんでマスターはコーヒー淹れててください!!」
「
……
」
被せられた発言に焙煎は訝しむ。が、九司の慌てようと客の女子高生を見比べて瞬時に納得した。笑みを浮かべて彼女に「どうぞおくつろぎください」とだけ言うと、背を向けて機嫌よくコーヒー豆のブレンドを始めるのだった。
「メニュー決まったら呼んでください」
「あ、実は決まってて」
彼女の注文はカフェラテとフレンチトーストだった。
「どうしてこの店に来たんすか。この辺じゃあんま見ないっすよね。
……
っすんません!」
訊ねてから不躾だったと気付く。微妙に砕けた口調で謝るも、彼女は大丈夫だと言った。曰く、放課後に静かな喫茶店で過ごすのが憧れだった、と。へえ、と相槌をひとつ打ち、注文を繰り返した。
確かにこの店は静かである。自分や走以外の学生はほとんど来ないし。
……
静かではある。うん。
「じゃあ、作ってくるんで」
「お願いします」
楽しみからだろうが、笑いかけられてわずかに呼吸が止まった。
完成したフレンチトーストを持って戻ると、彼女と焙煎の声が聞こえた。
「あの、私、カフェラテを頼んだはずなのですが
……
」
「分かっているよ。でも、まずはそのまま飲んでみてほしいな。もし口に合わないようなら、こちらのミルクを好みで足すといい」
「はあ、えぇと、いただきます
……
」
促されるまま彼女はカップに口をつけた。
「おいしい!」
途端に懐疑的だった雰囲気が霧散する。彼女の周りに花が咲くイメージが九司の頭に浮かんだ。
「飲みやすいです、なんていうコーヒーなんですか?」
「よくぞ聞いてくれた! これはブラック初心者向けのブレンドでね、酸味の少ない口当たりの良いものと、後味がフルーティーな
……
」
――
チッ。
焙煎の語りに興味深く耳を傾ける姿に思わず舌打ちが漏れた。すぐさま正気に戻って彼女を見るも、幸い焙煎の淹れたコーヒーに感動しており聞こえていなかったようだ。安堵の息をついた。いや、安堵している場合ではない。
「お待たせしましたフレンチトーストです〜!」
焙煎を押し退け、割り込むようにしてテーブルに皿を置いた。「ごゆっくり!」と声をかけて焙煎をカウンターまで引っ張ってくる。普段なら話し足りないとごねるはずの彼が大人しかったことに違和感を覚える。振り返るとムカつくくらい揶揄う気満々の表情があった。
今は彼女がいるんだ。落ち着け、落ち着け
……
。深呼吸をして気持ちを静めた。
カウンターに寄りかかって彼女を眺め、好きだな、と思う。店の雰囲気と合っているし、なにより幸せそうに過ごす姿が可愛らしい。可愛らしい
……
のだが、そうさせているのが焙煎のコーヒーという一点で面白くない。その焙煎にこの気持ちを見抜かれ、ニヤつかれているのも輪をかけて面白くなかった。
「マスターさん、コーヒーとても美味しかったです。また来ますね!」
大満足、といったオーラをまとい、彼女が会計を済ませる。ドアの前でこちらに会釈して店を出ていった。
焙煎にぜんぶ持っていかれた気がして悔しい。
「
……
九司」
「すんません今どこに怒りをぶつけたらいいのか分からないんで話しかけないでもらえますか」
あからさまな態度に焙煎は失笑し、彼が笑うごとに九司の剣呑さも増していった。
「これで彼女は俺のファンに。ひいては再来店を約束してくれたわけだが」
「
……
」
いかにもしてやったり、の焙煎に対して視線が鋭くなろうとしたところでふと思い至る。再来店ということは、彼女とまた店で会えるということだ。
まさか。
嫌々ながら上を伺えば、先程より深まった焙煎の笑みが降ってくる。非常に腹の立つ顔に湧いた怒りを抑えつけ、なんとか感謝の言葉を口にした。
「
…………
あー、まあ、一応? ありがとうございます」
「気にするな。君は彼女が来て嬉しい、俺はコーヒーを飲んでもらえて尚且つ話も聞いてもらえて嬉しい。ウィンウィンだ」
「アンタ結局そっちが目的だろ!!」
九司の苦労はまだまだつづく
……
。
千路【伝統料理と革新メニュー】ネームレス
2026.05.14
ドン。と皿を彼の前に置く。
「
……
まだ頼んでいませんが」
「食べてよし」
「私は犬じゃないです」
「よし」
「だから、
……
はぁ」
いただきます、と手を合わせて彼は私の料理を食べ始める。
――
弐番千路。万年二位みたいな名前のくせして事もなげに頂点を掻っ攫っていく男。家の伝統を引き継ぐ私から母の味を奪った男!
「やっぱり足りないんですよね」
斜め上の
空
くう
を見つめて男は呟く。何が足りないというんだ。納得がいかない。私はうちの味を広めたくて試行錯誤しているというのに。
不満が顔に出ていたのか、彼は肩をすくめて箸を置いた。
「厨房をお借りしても?」
目の前でダメ出ししようとでも言うのかこの男は!
……
しまった、瞬発的に怒りが沸き上がってしまった。落ち着かないと。今のは明らかに私の考えすぎだ。
彼のことは本当に気に入らない。気に入らないが、腕が確かなのは間違いない。この際とことん利用させてもらう。予備のエプロンを押し付けてほとんど呻くように許可を出した。
「好きにして」
「ありがとうございます」
「貴女が作ったものではこれを使用したのでしょうが
……
ふむ。この場合はこちらが良いかと」
彼の手元を覗き込む。私が用いた隠し味をいとも簡単に当ててみせ、尚且つ改善案まで提示してくる。ここまで来るともはや怖いまである。逆に何が出来ないんだ。
「恐らく家の味をベースに普段と違う料理を作ろうとしたのでしょう。伝統を守ることはもちろん大事だと思います。しかし今貴女がやろうとしているのは新メニューの開発では? 貴女らしさがないとこれまでの模倣に終わってしまいます。一度“伝統”を横に置いて、貴女の好きなものを振り返ってみるのがいいと思いますよ」
……
。
…………
。
………………
。
癪だけれども、彼の言うとおりかもしれない。私は家の味をそのまま料理で提供することに固執していた。そうしなければうちの料理でないと思っていたから。
私の好きなもの、か。組み合わせるのは難易度が高いだろうが、やってみる価値はある。だとしたら
……
。
くすり、と笑う声がして思案から切り替えて隣を見上げる。
「悩む貴女を見るのは嫌いじゃないので、これからもお付き合いしますよ」
「嫌味か、帰れ!!」
「一応私お客なんですけど
……
」
一世【オレンジ】ネームレス
2026.05.14
「あ、起きた。おはよー」
目をゆっくり開いて、ぼやけた視界に広がるオレンジ色に思わず飛び
退
すさ
る。大きな音を立てて椅子が倒れたが構っていられない。うたたねしているところをのぞき込まれていたのだ。彼は上半身を起こして椅子の背もたれに体を預ける。
差し込む西日が室内を橙に染めていた。
「な、な、な、なに、いつから」
背後の本棚に張り付いて、眼前の軟派な女好きから距離を取る。伊知友一世。同じ学部、同じプレゼミだった同期。「この世の全ての女の子が大好き」と公言し、あらゆる女子に声をかける女狂い。
コイツ何が目的だ、見境ない奴だから私でもいいと判断したのだろうか。
「んーん、来たのはついさっき」
彼はそう言ってへらりと笑う。というかどうしてここに。授業はどうしたの。必修落として
再履
さいり
って聞いたんだけど。
「夕方に女の子一人で研究室ってちょっと危ないかなと思ってさ」
「は、」
「起きてたら声かけたんだけど、お昼寝中だったから不純な
やから
・・・
が来ないようにオレが見張っておいた!」
あ、そ。
そう。
そうなんだ。
一番の不純な目的を持った人間はあなただと思いますけどね。まあそれは今は置いといて。
「どうも。で、この後の授業は?」
「もう終わったから帰るだけ!」
「
……
じゃあ、私も帰ろうかな。卒論進まないし」
倒してしまった椅子を直し、机の上に目を向ける。返却期限の近い本は、もう返してしまってもいいか。そう思って複数積んである
――
しかも膨大な量の栞が挟まれた
――
書籍を整理しようと手を伸ばした。一番上の一冊が一世に取られる。
「ちょっと」
「へー、こういうのやるんだ」
パラパラめくって感心したような声を上げる。ぱた、と本を閉じてこちらを見上げてくる。
「栞外さないと」
「オレが持ってくよ。図書館?」
「え? いやそのくらい自分で持てるし」
「でもハードカバー重いじゃん。これくらいよゆー」
へ、へえ。
ふーん。
「なら、お願い」
「おっけー!」
図書館から出て、本を運んでくれたことに感謝しようと口を開いた。
「一世、さっきは本ありが
――
」
「あっ、カワイ子ちゃん発見!」
B棟入り口の女子に気付いて駆けていく一世。
頭痛がしてこめかみを揉んだ。ちょっとでも見直した私が馬鹿だった。深い溜息をつく。早足で追いついて、他学部の女子を口説くその背をグーで殴った。
ハク【フリージアの髪留め】名前変換あり
2026.06.29
※雨粒程度の夢要素
妹を迎えに行った先で、走は信じがたいものを見た。毎朝自分が
――
きっちりしっかり最高に可愛く!
――
結っている妹の髪が乱れていたのである。なにかあったのでは、と剣呑さを滲ませる走とは裏腹に、妹の表情は明るく晴れやかなものであった。走のもとへ駆けてきたハクは、兄の前でぴょこぴょこと髪を揺らす。妹の身長に合わせるように屈んだ。
「お兄ちゃん見て見て! これ、
なまえ
ちゃんにもらったの! おそろいなんだって、えへへ、どう?」
「! ああ、似合ってる。可愛いな」
弾けるような妹の笑顔に走の心が癒されていく。サイドテールに着けられたそれは、くるみボタンに花の刺繍が施されたもので、よく見ると精巧ながら手作りのあたたかみも感じられる。
……
センスがいい。大きさについては申し分なく、装飾も華美すぎない。妹の愛らしさをより引き立てており、妹をよく分かっているセレクトだと頷く。冷静になって思い返してみれば、
なまえ
という名前は妹から何度も聞いたことがあった。頻繁に遊んでいる仲良しの子とあれば心配も杞憂か。
「あのね、明日もつけてこようねって約束したの!」
お兄ちゃんやってくれる? と屈んで尚ある身長差から上目遣いでお願いされて、快諾せずにいられるだろうか。答えは否である。
「え、ハクちゃんのお兄ちゃんすごい!!」
「そうでしょー」
翌日、妹を送り届けた先でちょうど
なまえ
と鉢合わせた。彼女の髪には確かにお揃いのくるみボタンの髪留めがあった。そうだ、と期待を込めた眼差しで見上げてきた妹は髪型もお揃いにしたいなと言い、走が断る筈もない。鞄から櫛を取り出し、彼女の髪を手際よく結っていく。そして先の感嘆に戻る。
「ありがとう、ハクちゃんのお兄ちゃん!」
「こちらこそハクちゃんにプレゼントありがとな」
「えへ、おそろい増えたね」
「ねー」
二人で笑いあって、走に向かって、いってきますと手を振る。きゃらきゃらと楽しそうに門まで歩く後ろ姿をしみじみと見つめた。
「走、何してんの」
「ハクちゃんの笑顔を噛み締めてる」
「あー
……………………
、遅刻するなよ」
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