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望月 鏡翠
2026-05-13 19:03:12
1295文字
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日課
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#2074 ハルカA 後編
#毎日最低800文字のSSを書く/#SS発表会_ハルカ
初対面なのにぶっちゃけ過ぎている。よく言えば裏表がない。悪く言えば、建前を使えない。そういうところがこの人らしい。
「現実はこんな感じです」
「いいと思う。ある意味想像通り。喋りが一緒だから次から文字がこの声で再生されると思う」
こういう声で喋っていたんだな、というのは僕も思った。ただ、ハルカはかなり書き言葉と喋り言葉が違うから、この声では再生されないだろう。
「ハルカさんは、喋ってると印象変わりますね」
何というか、実際に会ったときの印象は、もっと砕けて若い。
「お、そう? 確かに、丁寧にやろうとするからもっと回りくどい喋りしてるか。文字が対面と違ってニュアンスが伝わらないから、先回り先回りでいろんな補足しちゃうんだよな」
「でも語彙がハルカさんだなっていうのは、今の会話でも結構感じましたね」
「そう。どの語彙?」
「叙述トリックとかペルソナとか、その辺の言い回し」
「あー、ね」
オタクの一般教養ではあるが、万人に知れ渡っている言葉ではないし、意味は知っていても会話で自分が用いるかと言われれば、それも別の話になるだろう。
「あと男か女かじゃなくて、第三の性への配慮が挟まるところ」
「多様性の時代ですよ、多様性の」
「その言い分を受け入れるならですよ、男女どちらと思っていたかなんて答えられない質問じゃないですか」
相手に会うときに、性別は強く意識していなかったという答えでも許されるはずだ。どちらだと思っていたと答えても、相手によっては配慮に欠く答えになる。
「それを言われてしまうと、その通りなんだよな。藪蛇質問か」
「そうですよ。ところで何でそんなに気になってたんです?」
会話が落ち着いたので、ようやくメニューを手に取る。そろそろ注文を決めないと、店員が催促に来てしまう。
「いや、ちょっとはしゃいでたからさ。こっちは下心ありで誘ったわけだし」
それは、聞いてない。
裏表がないのはこの人の良いところ。今は、悪いところだ。いきなりぶっちゃけすぎている。
「あったんですか、下心」
「あるよ、そりゃ。デートっていったじゃん」
「気に入ってる友達と出かけるときも、デートっていうじゃないですか。女の人って」
「あるある。でもこれは本当にデート。本気デート。よし、女だと思っていたのは、これで言質がとれたぞ」
やられた。
嘘をつかないだけで、狡猾なところがないわけではないのだ。
「まあ、イメージと違った部分は喋り方だけで、他は概ね印象通りでしたよ」
「つまり?」
「つまり、あの
……
」
言葉に詰まる。相手が美人だと、顔を見て話すだけで緊張する。
「すごく綺麗な女性が来たなって思いました」
「ラッキー。脈ありって思っていい?」
そんな聞き方をされると、こっちこそ期待してしまう。
「
……
どうぞ。僕は、まだ騙されて壺とか買わされるんじゃないかって疑ってますよ」
「壺!」
ハルカは何が面白いのか、お腹が痛くなるほど笑った。
口を開けて笑える人なんだな、と嬉しくなってしまう。
喋り方が無骨なだけで、彼女は僕が想像した通りのハルカだった。
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