三毛田
2026-05-12 22:04:14
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55 【55/合わせ鏡の中で】

55日目
今後は怖い話はなしで

「合わせ鏡の何番目だっけ?」
「四か五だった気がするよ?」
「その自分と目が合ってだっけ? 鏡の自分が勝手に動いたらだっけ?」
「えーと……幽霊、死に顔、異世界が見えるとかだけで動きの件は特に書いてないよ」
 今日も怪異退治隊のフォロワー稼ぎのために、歳陽の様子を見に行こうと集まり。
 フォフォが仕事を終えるまでの間、怖いもの見たさで他の星の怪談を調べていたら合わせ鏡の話題になった。
「何の話?」
 大道芸の人と連絡を取っていた桂乃芬が、素裳の手元を覗き込んで。
「けいちゃん。あのね、合わせ鏡の話をしていたの」
「お前の故郷では、合わせ鏡の話とかあったか?」
「どうだろう……覚えてないなー」
 顎に指を当て、トントン叩きながら首を傾げる。
「鏡の怪異って、結構あるんだけど全部仙舟なんだよね」
「へ~」
「霊道に設置されている合わせ鏡は、悪意しかないから注意しろとか」
「なにそれ」
「中古物件サイトとか、オカルトを扱ってるサイトとかによく書いてあるよ。後はね、深夜に合わせ鏡を覗き込むのはよくないとか」
「でも、鏡ってはっきり映らないよね?」
 ヘルタの持っている屈みなら、はっきり映るよな。
 試してみたいけど、何を考えているのだと冷たくあしらわれそう。というか、そういう反応をするのがわかりきっている。
「あ。そろそろっフォフォこっち着くって。俺、仙人爽快茶買ってくるよ」
「アタシ新作!」
「すーちゃん、半分こしようよ」
「新作二つだから、フォフォと三人で飲めばちょうどじゃない?」
「じゃあ、それで!」
「はいはい」
 夢茗先生に注文して、戻って来るとフォフォが到着していて。
「フォフォ、お疲れ様」
「ありがとう、穹」
「穹、ありがとう。お金払うよ?」
「ありがとう。配信でそれなりに稼げてるから、仙人爽快茶の代金くらい自分で出せるのに」
「いいって。みんなと過ごすの楽しいし」
 うん。今日も仙人爽快茶が美味い。
 女子三人は、キャッキャと楽しそうだ。
「穹、よく来て屈るけど、無口くん怒らない?」
「むしろ、俺が友人たちと楽しく過ごすのはいいことだって放流する」
「放流……
「放流って」
「最終的に自分のところに帰ってくるから、好きな事をしろって」
 そう。意外と放任主義なのだ。そういうところも好き。
「これが正妻の余裕……
「あたしたちって、そういう対象だと思われてないってこと?」
「まあ、実際そうだけど」
 という会話が聞こえているが無視。
 合わせ鏡の話は頭から抜けていた。