ポほ
2026-05-10 22:51:33
1095文字
Public オトメビギナー
 

きよめのしお

第2.1話。
清らかな塩で 状態異常に ならない。 ゴーストタイプの 技の ダメージを 半減させる。

樹が可哀想なのでコン太郎に弱点をつけたかった回。色々考えたけどシンプルに塩に弱いことにした。ダンガンロンパV3やポケモンSVの影響は否定しない。

「樹ー、ちょっと夕飯作るの手伝ってくれるー?」
 キッチンから母親の声が飛んでくる。
「はーい」
 樹は返事をしながら立ち上がった。その後ろを、コン太郎がふよふよ浮きながらついてくる。
「お、いい子ちゃんだね〜、樹は」
(“ちゃん”は余計……
 地味に引っかかりつつ、樹はキッチンへ向かった。
 
「この豚こまに下味つけたいから、塩コショウ振って片栗粉まぶしてくれる?」
「うん」
 母親に言われた通り、樹はパックの豚肉をボウルへ移し、塩コショウを振り始めた。
 その時だった。
「わ、いてっ!」
「え?」
 突然、コン太郎が顔をしかめた。
「それやめてー!」
……?」
 樹は手を止める。
(もしかして……?)
 試しに、もう少し塩を振ってみた。
「うわっ、ちょっ、ほんと、死ぬ……!」
 コン太郎が床をごろごろ転がり始める。
「いや、死にはしないけど!」
 めちゃくちゃ効いていた。
……塩に弱いの?」
「弱いっ! というか痛いっ!」
 狐耳をぺたんと伏せながら抗議する。
 樹はじっとその様子を見つめた。
(神社にいたのに……神様じゃないのか?)
 
 むしろ。
(こういうの嫌がるって、悪霊とか怪異の類なんじゃ……
 さらに変な想像が膨らむ。
(あるいはナメクジとか……?)
 ちら、とコン太郎を見る。
(いや、むしろサビを気にしたロボットとか……?)
 そこまで考えてから、ふと首を傾げた。
(でもロボットの幽霊なんて、トランスフォーマーに出てくるスタースクリームくらいしか聞いたことないし……
 思わず、ふっと鼻で笑ってしまう。
 一方コン太郎は床でのたうち回っていた。
「笑い事じゃないんだけどぉ!?」
 その時。
「ちょっ、樹?」
 母親がぎょっとした声を上げた。
「かけすぎてない?」
……へ?」
 樹は手元を見た。
 豚肉が真っ白だった。
…………
 完全に塩漬け状態である。
「ご、ごめんなさい……! 私、ボーッとしてて……!」
「もー」
 母親は苦笑しながら余分な塩を払う。
「手伝ってくれたのはありがたいけど、これからは気をつけてよね〜」
「は、はい……
 しょんぼり謝りつつ、樹はボウルを見つめた。
 その頃にはコン太郎はすっかり弱っていた。
「うぅ……塩分濃度高すぎ……
 ふらふらと壁をすり抜け、そのままどこかへ消えていく。気づけば、声も姿も完全になくなっていた。
(これ……使えるかも)
 樹は静かに確信した。
 
 翌日から、樹の部屋には小さな盛り塩が設置され、さらに本人も念のためポケットに食塩を持ち歩くようになったのだった。