自分はこの芸術家の後を付いて、取材旅行に同行することはある。しかし反対に、この男がおれの戦場に付いて来ることはない。当然だが。
「おまえはおれに戦争に行くなとは言わないよな。」
おれはおまえが何処に行こうと付いて行くからいいけど。まあ、黙認のようなものだが。
「そりゃ、わたしの知らないおまえがいるのは容認できませんが。」
そこなんだ。
「でも、おまえは戦場から帰ってきても、変わりませんよ。」
「……そうか?」
戦争はたくさんのものを奪う。それで得られる金なんて、本当にはしたものだし、自分が奪った側一辺倒ではなく、何かをどんどん失っていくような感覚が拭えない。
「おまえは綺麗ですよ。」
それがこの芸術家には無いも同然の、無価値なものなのか。
気障ったらしく頰に添えられた大きな左手は、奪う者の手だ。
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