三毛田
2026-05-08 22:20:00
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51 【51/冷めた紅茶と焦げたケーキ】

51日目
それでも君は食べてくれる

「うっうっ……丹恒、ごめん」
「構わない。お前が作ったものだ。食べられる部分だけいただこう」
 その優しさに救われているけれど、甘えすぎてもいけない。
「焦げ臭いが、食べられなくはないだろう」
「美味しくないぃ」
 丹恒が平気な顔で食べているので自分でも食べてみたけれど、美味しくなくて思わず泣きじゃくる。
 悪戦苦闘していたせいで、紅茶だってすっかり冷めている。美味しくない。
「次は、共に作ろう」
「俺が、自分で作って丹恒に食べてもらいたいんだけど」
「そうしたいなら、今のお前では実力不足だ」
「んぎぎぎ……
 図星だし、あんまりにもはっきりバッサリ言われてすごく悔しい。でも、言い返せないのが現実。
「じゃあ、丹恒はどうなんだよ」
「パウンドケーキくらいなら、焼ける。一応パムに試食してもらったことがあるが、これなら他の人に食べさせても大丈夫だと言われた」
「むぅ」
 何でだ。いきなりスポンジケーキに挑戦したのが悪かったのか?
 レシピ通りにやったし、オーブンの火加減だって、間違ってなかった。はず。
「次は、パムに手伝ってもらえ。慣れないうちは、どうあがいても満足のいく仕上がりにならないからな」
 と言いながら、ペロッとひと切れ平らげていく。普段と違い、生クリームとかがないからだろうか。
「ご馳走様」
……ご馳走様でした」
「不満そうだな」
「そりゃあ、もちろん」
 むすっとしたまま、お皿を重ねていると優しく微笑む。
 出会ったあの日からは想像できないほど、俺に対しては表情豊かになった気がする。
 だが、それに比例して俺の扱いも雑な言ってきていて。今では、なのと同じくらい雑だ。
 嫌じゃないけれど、もっと特別な扱いをして欲しい気持ちもあって複雑。
「特別扱いならば。十分しているだろう」
 食器を片付け、俺はスラーダ。丹恒は、仙舟のお茶。それらで口直し。
 もっと特別扱いをして欲しいとちょっと愚痴ったら、そう言われてしまい。
 なんか納得いかないけれど、仕方がない。ここらで妥協しないと、平行線になってしまう。
「こうして二人きりでゆっくり過ごすのも、か、体を暴くのを許すのも……お前だけだ」
「っ」
 改めて口にされると、結構アレだなって思ってしまって。
「はい。我儘を言うのはやめます」
 顔は熱いし、心臓はうるさいし、下半身にも変に熱が集まって落ち着かない。
「そうしてくれると、俺も助かる」
 お前が欲しくなってしまう。という呟きは、聞かなかったことに。お互いのためにも。