あおき
2026-05-08 21:59:52
Public
 

笑って、笑って、また笑って。

未飯トラ。5/8悟飯の日。




「え、携帯の待ち受けですか? デフォルトのCCロゴのままですが……

久しぶりの休日をゆっくりと過ごしていたトランクスは、隣の人物からの質問に目を瞬かせた。するとその人物――孫悟飯は、スマホのカメラをそんなトランクスに向けて来た。

「オレもそうだったんだけど、君の写真にしたいなって思ってさ。一枚いい?」
「オ、オレの写真ですか?」
「はい、チーズ!」
「ちょ、ごは

パシャリとシャッター音が響いて、トランクスの動揺ごと悟飯は写真に収めてみせた。

「うーん、これも味があっていいと思うけど……
「あ、あの悟飯さん……そもそも何でオレの写真なんですか? どんな景色だって、悟飯さんだったらすぐ撮ってこれるじゃないですか」

自分の間の抜けた顔なんかより、そっちを眺めていた方がよっぽどいいのではないか。トランクスはそう考えたのだが、悟飯は首を横に動かした。

「綺麗な景色はいくらでもあるけど、一番見たいのは君の顔だから」
「悟飯さん……
「それじゃあ、もう一枚。今度は笑ってくれる?」
「ちょ、ちょっと待ってください!」

またシャッターを切ろうとする悟飯を、トランクスは慌てて手を伸ばして止めた。いきなり笑えと言われても困る。どうしたってぎこちなくなる。でもトランクスはその解決法を知っていた。それはとても簡単なことだ。





*





「へえ、これがその時の写真なの?」

訪ねて来た悟飯にコーヒーを出したブルマは、そのエピソードとともにスマホの待ち受けを見せられた。そこには悟飯とトランクスが笑い合う一瞬が切り取られていた。こうして息子たちの惚気を聞けるのも、今がそれだけ平和だという証しだ。

「トランクスも最近、ちらちらスマホを見てるなとは思ってたのよ……ったく、隠してたわね、あの子」
「オレが無理矢理トランクスの待ち受けにもさせちゃったからですよ」

そんな訳はない。それは悟飯のスマホの中で、息子が浮かべている穏やかな表情を見ればわかる。そしてそれはその隣で笑う悟飯も同じことだ。彼がこんな風に笑い合える日が来たことが、ブルマには何より嬉しかった。

「教えてくれてありがと、悟飯くん。トランクスが出張から戻ったら、存分にからかってあげられるわ」
「あはは……疲れてると思うので、お手柔らかに」

ブルマが返してくれたスマホを受け取ると、悟飯はそれをしまう前にもう一度画面に目を落とした。画面の中の二人はいつでも一緒にいられる。良い時代になったと思うが、ほんの少し――画面の中の孫悟飯に嫉妬してしまう。

いや、トランクスが復興の仕事で世界中を飛び回るのは仕方のないことで、それを寂しいだなんていい年の男が言って良いはずがなくて――誰に対してか、悟飯が心の中でそんな言い訳をしていると、ポンと音がして通知が飛び込んで来た。

悟飯の顔に喜びがパッと広がったのを見て、ブルマは笑ってしまった。本当にわかりやすい。どうやらコーヒーをもう一人分淹れる必要がありそうだ。