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三善ヨミ
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書きたいところだけ書く
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【レオカリレオ】ある種の生存戦略【書きたいところだけ書くシリーズ】
・レオカリレオ
・友達以上恋人未満
・書きたいところだけ書くシリーズなので急に始まり急に終わります
柔らかなベッドに沈み込みながら、オレは隣に横たわるレオナの熱を確かめるように、その広い背中を後ろから抱き締めた。
カーテンの隙間から差し込む月光が彫刻のようなレオナの横顔を淡く照らし出している。その静謐な美しさに胸の中が熱く疼くと、堰き止めていたはずの言葉が、喉の奥から溢れ落ちた。
「なあ、レオナ。オレ、やっぱりレオナと付き合いたいんだ」
何度目か分からない告白。
レオナに伝えた愛の言葉は、もう両手の指では足りないくらいの回数を積み重ねている。数えるのをやめてしまったのは、いつからだっただろうか。
「
……
またその話か」
レオナは腕の中で体を反転させると、オレと視線を合わせた。
顔を顰め、鬱陶しそうに耳を動かすけど、オレを突き放すわけでもなく、面倒だが話を聞いてやると言わんばかりの瞳を向けてくる。
「何度だってするさ。だってそれくらい、オレはレオナが好きなんだ」
オレの中で灯し続けている熱は、もうずっと飽和状態で、どこにも逃げ場がなくなっている。
好きだと伝えて満足する感覚は、とっくの昔にどこかへ置いてきてしまった。
レオナがオレのものになって、オレがレオナのものになれたら。
そうなれば、この引き裂かれるような胸の痛みも、焦れるような熱さも、きっと綺麗に収まるべきところに収まって最高に幸せな形が完成するはずなんだ。
「
……
お前、俺と付き合って何がしたいんだ?」
地を這うような低い声が、オレの思考を止める。
「何がしたいか?」
思わぬ問い掛けにオレは言葉を詰まらせた。
付き合ってすること、できること。
レオナとはもう、キスだってしている。
指を絡ませ、抱き合い、互いの体温を分け合うことだって珍しくない。望めば、大抵のことを不機嫌そうな顔をしながらも受け入れてくれる。
だから、関係性が変わる中で、それ以上にレオナとしたいことなんて、今のオレには見つけられなかった。
「
……
特に、何がしたいとかはないかな。ただ、隣でレオナが笑っててくれたら、オレはそれできっと全部満足なんだ」
精一杯の笑顔を貼り付けて本心のままの言葉を紡いだ。
オレにとって、レオナと付き合うということは、壮大なパズルの最後のピースを嵌めるようなものだ。カチリと音を立ててそれが嵌まった瞬間に、額縁の中でひとつの絵が光を放ちながら完成する。
そうして出来上がった絵を眺めて、「ああ、本当に綺麗だ」って満足して、漸く深く息を吐ける。そんな平穏が、今は欲しいんだ。
すると、レオナはオレの腕の中から抜け出て、ゆっくりと身を起こし、見下ろした。
その瞳は色に反して深い森の奥のように暗く、冷たい。視線が重なると、皮膚を素早く切り裂かれたような、鋭い痛みが身体に走った。
「
……
お前は本当に、救いようがねえな」
溜息混じりの言葉の後、大きな手が伸びてきて、オレの顎を強引に掬い上げた。
逃げ場を奪う指先には確かな熱が籠められている。
それなのに至近距離で見つめるレオナの瞳の奥にある感情がオレにはどうしても読み取ることができない。
「付き合ってやりたいことがねえなら、付き合うことに意味なんかないだろ」
「でも付き合ったら、関係は変わるだろ? オレはレオナの恋人になる。それを求めるだけじゃダメなのか?」
必死に食い下がるオレをレオナは嘲笑うかのように見つめ、耳元に顔を寄せた。
「
……
俺は許さない」
その囁きが鼓膜を震わせた瞬間、背中にゾクリと悪寒のようなものが走る。
レオナから珍しく、静かながら苛烈に迸る怒りを感じたからだ。
「だから、俺は、お前と絶対に付き合ってなんかやらない」
言葉の意味を咀嚼する中で、痛みだけが胸元を叩いてくる。
オレはこんなにレオナが好きなのに。恋人と変わらないような関係を許してくれるのに。どうしてレオナは頑なに、オレとの関係に明確な名前を残してくれないんだろう。
どれだけ手を伸ばしても、どれだけ好きだと叫んでも、この距離は一ミリも縮まらない。
胸の奥が焼けるように熱い。苦しくて、痛くて、悔しくて。けれど、普通の友人とは決してできない今のこの歪な関係を手放すことも選べない。
痛みを伴いながらも、答えの出ない問いを繰り返す日々が続いていく。
レオナと過ごす時間、オレの心臓は他のどんな瞬間よりも激しく鼓動を刻んでいて、身体の中に溜め込んだ熱が、じっくりとオレの芯を焼き焦がしていく。
「
……
酷いな、レオナは。本当に意地悪だ」
溢れ出す気持ちを言葉にして逃した。
レオナがオレを拒み続ける限り、オレの心臓はレオナを求めて、明日も、その次も、熱く、激しく、生きるための鼓動を打ち続けるだろう。
「うるせぇ。報われたいなら、死ぬ気で俺を追いかけ続けろ」
月光に照らされた寝室でオレたちは繋がらないまま重なり合った。
オレが迎えたいエンディングには、まだまだ遠いことを、微かに震えるレオナの唇が教えてくれている。
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