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たもヤロウ
2026-05-06 00:27:23
15185文字
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こどものじぶん
オールキャラテリオン総受け気味。こどもの日(遅刻)に書いたモノ
普段通りの旅、平和な散策、普通の宿
——
何事も無い一日だったはずだ。しかし翌朝目を覚ましたテリオンは
――
「は?」
身体が縮んでしまっていた!
テリオンは混乱した。体を起こしてみれば異様に目線が低い・・・だけではなく両目がはっきりと見えるのである。片目で生活することに慣れきっていたテリオンは一瞬で違和感に気づいた。
更に自らの手を見る。身体を、足を
―
なんということでしょう、そこにあったのは22歳成人男性の身体ではなく5~6歳程度のこどもの身体であった。
おかしな魔法を受けたわけでも、黒ずくめの男に毒薬を飲まされたりしたわけでもない。じゃあなぜこんなことになっているのか思い当たる原因なぞ一つしかない。
「おどりこぉ!!!」
テリオンは滅多に出さない大声を出しながら皆が集合しているであろう宿のロビーへと駆け下りていくのであった。
「あら、おそようテリオン。朝っぱらから叫んでどうしたのかし・・・ら・・・?」
朝のロビー。小さい宿だからか八人で泊まったそこに他の客の姿は見えない。既に旅支度を終えた七人は最後の一人であるテリオンの姿を見て一同、目を丸くした。
そこにはテリオンとしか思えない・・・というか叫んでる内容的に間違いなくご本人であろう小さな子供がいたからだ。
服はぶかぶか。いつもの外套をまとってはいるものの上半身だけを覆い隠すのではなく足元近くまですっぽりと覆われてしまっている。
その現象を不思議に思ったトレサが控えめに尋ねた。
「えっと・・・テリオンさん。それ、どうしたの?」
「どうしたもこうしたもあるか!朝おきたらこうなってたんだ!おどりこのしわざじゃないのか!?」
「違うと思うわよ?摩訶不思議の舞でしょう?私は昨日は踊っていないもの」
「じゃあだれが・・・」
「うーん・・・昨日踊った人いる?」
他の仲間に尋ねるとみんな首を横に振った。少なくとも摩訶不思議の舞を踊った覚えはないようだ。
だがここでテリオンを観察していたサイラスが言った。
「ふむ・・・摩訶不思議の舞は踊っていないが踊子の証は私が持っているよ。技能の修練のためにね。だから一応練習はしたのだが・・・私が踊ったのは孔雀の舞だ。果たして関係があるのか・・・」
「あなたの孔雀の舞・・・?ねえサイラス・・・一度踊ってみてくれない?」
「ん?今ここでかい?見せられるものかはわからないが・・・わかった。孔雀の舞!」
踊子へとフォームチェンジしたサイラスの孔雀の舞を見たプリムロゼは頭を抱えて大きくため息をついた。サイラスの踊りは絶望的である。練習と言っていたから舞踏姫に身を委ねず自力で踊ったのであろうそれは、美しい舞ではなくただの荒ぶる鷹のポーズであった。
「・・・つまりこのせんせいのヘッタクソな舞がまかふしぎの舞としておれにふりかかったと」
「面目ない・・・」
「まあまあ原因がわかって良かったじゃない!摩訶不思議の舞なら明日には戻るってことでしょ?」
がっくりと項垂れたサイラスを睨むテリオンと原因がわかって安心したと言わんばかりに楽観的に話すトレサ。
「だがさすがにこの状態のテリオンを連れて出立するわけにもいくまい」
「そうですね・・・今は急ぎの旅でもありませんし、もう一泊ここに滞在したほうがいいと思います」
「意義なーし!」
「ではわたしは宿屋の主人と話してくるとしよう。行こう。リンデ、トレサ」
オルベリク、オフィーリア、ハンイットの三人はテリオンの様子を鑑みもう一泊することを提案する。特に反対意見が無いことを確認したハンイットは、パーティーの財布番であるトレサと共に宿屋の受付へと話をつけに行った
この辺りの魔物はそれほど強くないとはいえ、今のテリオンは幼子である。旅の道程はあまり舗装されているわけでもなく子供の足には厳しい。安全を取ってこの町での滞在を延ばすこととなった。
「さて、身体に急激な変化が起きたけど・・・なにかおかしなところはないかしら?念のためアーフェンに診てもらった方がいいんじゃないかしら」
「そりゃそうだな・・・よっしゃ!それじゃテリオン、ちょっとこっち来い」
摩訶不思議の舞の効果は不可解なものが多い。今回は成人男性が急に子供になったという自然の摂理としてはありえないといっていい変化である。心配になったプリムロゼとアーフェンは一度テリオンの身体を調べることにした。
特に拒絶する理由もないテリオンも素直に従ってアーフェンの元へと走っていく。
「傍から見た動きとかは普通の子供だな・・・よし、ちょっと身体診るぞ」
「・・・・・・っ!」
が、アーフェンがテリオンの頭上に手を伸ばしたその時、テリオンの身体が強張った。
歯を食いしばり、何かに備えるようにぎゅっと目をきつく瞑り、防御姿勢を見せる。
普段のテリオンならばこんな反応はしない。それに相手はアーフェンだ、する意味もない。
アーフェンとプリムロゼは不思議そうに顔を見合わせた。
「おいおいどうしたよテリオン・・・?」
「あなたがデカいから怖かったんじゃないかしら」
「そんなオルベリクの旦那じゃあるまいし・・・」
「俺は怖いのか・・・?まあ幼子から見れば熊みたいなものかもしれんが」
「あ・・・・・・ち、ちが・・・」
「ふむ・・・」
これは身体と共に精神性も子供の頃に戻っているのではないかとサイラスは考える。
いつものテリオンと比べればどう見ても所作が幼いのだ。記憶こそそのままではあるようだが、自分の反応に動揺しておろおろしている姿は、思考能力や体動性が身体に引っ張られているように思える。
つまり幼い頃の体験や癖が今、そのまま出てしまっているというところだろう。かつてオルベリクに『ガキの頃から殴られ、脅されてきたー』と話していたことを思い出す。つまり日常的に暴行を受けていたであろうことからの防衛反応の一種だ。
「なあテリオン、触られるの嫌か?」
「だ、だいじょうぶだ。頭ではちゃんとわかっている・・・よし、おちついたはずだ。みてくれ、アーフェン」
「よしよし、痛い事はしねえからなー」
テリオンの頭をぽんぽんと撫でつけ、外套をゆっくりと捲ったアーフェンは驚きに目を見開いた。
細い。肉がまるで無い。確かに大人のテリオンも細いのだが、あれはしっかり筋肉はついていてまだ健康的な細さだった。
だというのにこの子供はどうだ。骨と皮・・・とまではいかないが骨が浮き出てしまっている。髪や肌も荒れ放題で潤いも足りていないし、爪もぼろぼろだ。どう考えても栄養不足だ。腕も脚もまるで枝のようで子供特有のふくふくとした厚みはどこにもない。さらにあちこちに青くなった痣なども見える。
かなりひどい状態にアーフェンが固まっていると、不思議に思ったのかテリオンの幼くまるい瞳がアーフェンをのぞき込んでいる。
「アーフェン?」
「あ、ああ・・・不安にさせたか。すまねえ、もっと不安になること言うかもしれねえけど・・・いまのあんた、全然栄養が足りてねえ。やっぱり無理な変化があった影響か・・・?」
「・・・?これぐらいの頃ならこの状態がふつうだったが」
「なんだと?」
よくよく考えれば身体の傷自体は少なくなっているし、今ではほぼ見えていないと思われる左目も傷なくきれいに見えているようだ。となると身体が縮んだというよりはテリオンがこの年だったころそのまんまの状態が顕現していると考えるのが一番自然だった。
そう診断したアーフェンはそれならば元に戻ってしまえば問題ない。つまり明日まで何事も無ければ大丈夫だろうという見解を出した。プリムロゼやサイラスも間違いないだろうという見立てだった。
それはそれとして
――
こんなぼろぼろの幼子を放っておくなんてとんでもない。仲間の思いが一つになった瞬間であった。
「よし!宿延長オーケー!朝食まだよね?あたしお腹空いたわ~!」
「全員そろっているようだな、ここの宿の朝食は悪くなさそうだ。そろそろだと思って手配して置いたぞ」
宿の主人と話を付けたトレサとハンイットが戻ってくる。お腹を鳴らしたトレサが食事にしたいということで、すぐに朝食へ向かうこととなった。
八人は食堂へと通され、料理が所狭しと並べられる。トレサが良く食べるため少し多めに注文したのだろう。
アーフェンは高めの椅子へとテリオンを座らせ、目の前に料理を盛り始めた。
「さあテリオン、食え!子供は腹いっぱい食うもんだ!」
「おい・・・くすりや・・・」
「そうよテリオン、食べなさい」
「おどりこまで・・・」
急に何事かと見渡せば、他の仲間もテリオンに食事を食べさせたがっているという様子だ。
目の前の食事に目を向ければ美味しそうなパンやスープ、朝っぱらだというのに肉料理まで用意されている。
テリオンも腹は減っているのでありがたく頂くことにした。食器を取り、スープを口に入れようとしたとき脳の奥から警鐘が鳴らされる。何故だかわからないが手がこれ以上進まないのだ。
「あれ・・・食わねえのか?」
「もしかして嫌いだった?普段は好き嫌いとかしないのに・・・子供になった影響なのかな。美味しいよ?テリオンさん」
「いや・・・おいしそうだとは思っている。ありがたくいただくさ」
しかし言葉とは裏腹に、手は震え、テリオンの額からは冷や汗が噴き出る。明らかに様子がおかしい。
「おい、大丈夫か!?くそっ・・・一体何が・・・」
「ちょっと失礼」
「先生?」
サイラスが横から手を伸ばし、テリオンの目の前にあったパンやスープを一口ずつ食べてゆく。それを見たテリオンの身体は何故だか落ち着きを取り戻し、がつがつとサイラスが食べたものを食べ始めた。
「なんだ・・・?急にへいきになったぞ」
「どういうことだ?」
(やはりか・・・)
テリオンやほかの仲間が不思議に思っている中、サイラスは一つの考えにたどり着いた。
テリオンは幼少期は恐らくリバーランドで過ごしていたはずだ。ダリウスに出会ったのもセントブリッジだと言っていた。
あの辺りは今のテリオンの年頃のころ、戦争が特に激しくなっていて住民も相当に荒んでいただろう。事実、オフィーリアも戦災孤児となっている。
彼女は元々の家族がいたのもあってヨーセフ大司教に拾われることとなったが、テリオンは自らの出自すらわからない孤児だ。住民にとっては数少ない食料を消費する邪魔な汚い子供だっただろう。となるとマトモな食事を提供された場面があったとすれば
―
「大丈夫、大丈夫だよテリオン・・・毒なんて入っていない。もうそんな時代ではないんだ」
「!?」
「そうか・・・そういえばそんなころもあったな。小さくなったからだが・・・おぼえているのか」
「そんな・・・」
「毒ってどういうことだよ先生!?」
「テリオンさんは毒殺されるって思ってたの!?」
「・・・口減らしか」
年少組は驚愕し、身を乗り出してサイラスを問い詰める。一方でオルベリクは戦争経験者なだけあって心当たりがあるのだろう。ハンイットやプリムロゼも分からない話ではないと難しい顔をする。
当のテリオンはそんなころもあったな・・・と理解を通すことで身体の精神が記憶に伴って落ち着いたのか、ゆっくりと食事を進めるのであった。
「いろいろ衝撃的なことはあったけど・・・今日の予定がまるまる空いちゃったわね。皆どうする?」
食事を終えた一行は、本日の予定について話し合っていた。元々ここを発って次の町へ向かう予定だったためこの町での予定は今のところ入っていない。あまり大きな町というわけでもないため目新しいものもなく、ロビーの広いテーブルでのんびりお茶を飲みながらだらだらと過ごす。
「自由行動でいいのではないでしょうか?とはいえわたしは特に何かをやりたいという目的は無いのですが・・・」
「ふむ、リンデは遊ばせておくとして・・・買い出しなども昨日済ませてしまったからな。市場を見に行くとかでもいいのだが特に欲しいものがあるかというと無いな」
「あまり試合を好むような住民でもなさそうだからな。自主鍛錬でもしているか・・・」
「うーん・・・俺も薬を練るぐらいしかやることねえなあ」
「それにテリオンを一人にしておくわけにもいかないわ」
「おれはべつにかまわないが」
各々が今日の予定が決まらず、頭を捻っているとサイラスが手を上げる。皆の視線が一斉にそちらを向いた。
「では・・・せっかくだしテリオン君をしっちゃかめっちゃかに甘やかすというのはどうだろうか」
「ごふっ」
その一言で思わずテリオンはお茶を噴きかけるのだった。
「・・・・・・で、なんで採用されてるんだあのはつげんが」
「ほらテリオン、こっちの服はどうかしら?」
「いいじゃない!かわいくって!林檎の刺繍がすっごいテリオンさんっぽいし!」
「ふむ・・・動きやすそうでいいんじゃないか?」
まずはプリムロゼの提案で子供化した際にぶかぶかになった服を新調することから始めた。
どうせ一日限定なのだから新品は勿体ないし、ぼろ布でも構わないと思っていたテリオンであったが、女性陣にとっては許しがたいことだったらしい。すっかり着せ替えのおもちゃと化している。
今プリムロゼが手に取っているものは子供用の短パンと林檎の刺繍が入ったシャツである。伸縮性や生地も良さそうでそこそこ上等な品に見えるのだがこいつら一日しか着ないというのをわかっているのだろうか。わかっているにしてもどうにもガキですといった服にテリオンは辟易した。
これにしよう!という女性陣の言葉が聞こえてくる。このシャツで一日?冗談じゃない。中身は成人男性(22)だぞ。どうにかこうにか断ろうと思ったテリオンであったが
――
「わあ!テリオンさんすっごくお似合いです!可愛いですよ!」
テリオンはオフィーリアのストレートな誉め言葉に弱かった。なんせトレサやプリムロゼといったからかいが混ざるようなものではなく正真正銘悪意ゼロだ。どうにもこの神官の言葉を無下にすることはできなかった。
わかったわかった・・・と諦めてテリオンはこの服で一日を過ごす覚悟を決めたのだった。
こうなったら大人の矜持は捨てる。演技とはなんだ?自分ではない仮想の仮面をかぶることだ。ならば得意の演技で『普通の子供のテリオン』という仮面をかぶろう。とことんガキになってやる。
支払いを終えたトレサ達が戻ってきてテリオンをじっと見た後、ニコニコしながらうんうんと頷く。大人しく着ていることに満足したらしい。
「いいわね!可愛い男の子ってカンジ!あたし・・・弟欲しかったのよね~!ね、ね、テリオンさん。一日あたしの弟になってみない?」
「あら、面白そうじゃない。一日思いっきりお姉さんに甘えちゃいなさいよ」
ふふ。とプリムロゼが笑う。オフィーリアやハンイットも楽しそうにしている。ならばいっそ俺もふざけて楽しんでしまおうとテリオンは口を開いた。
「わかったよ・・・トレサ・・・おねえちゃん」
「・・・・・・!! テリオン~!」
一瞬驚きの表情を見せた後、ぱあっとトレサが満面の笑みになる。きっとテリオンのことだから絶対に嫌がるだろうと思って驚いたのだろうが、それはそれとしてお姉ちゃん呼びはかなり刺さったようだ。
トレサ達は楽しそうに笑いながらテリオンを囲み、頭をもみくちゃに撫でつけた。
(案外・・・悪くないな)
精神が子供に引っ張られたテリオンは、その状況を純粋に心地良いと感じるのだった。
「よーしテリオン!次は俺と遊ぼうぜ!」
「こんどはくすりやか・・・何してあそぶんだ?」
「おっ!案外乗り気だな~へへへ!」
女性陣と一通り遊んで戻ってきたテリオンに次に待ち受けていたのは、気合十分といったアーフェンであった。
傍にはオルベリクとサイラスもいるが、アーフェンの方が子供の扱いに長けているのもあり二人を見守るスタンスにしたようだ。
「あいつらとは何して遊んできたんだ?」
「あそんだというか・・・服をきせられたり、おやつをいっぱい食わされたりしたぞ。あ、あとリンデにもおれが小さくなったぶん乗らせてもらったり、からだいっぱいふかふかさせてもらった。あとはトレサにおとうとあつかいされたり・・・」
「ははは!いいな!テリオンが弟か!可愛がられてたようで何よりだぜ」
「アーフェンもおにいちゃんとよんだほうがいいか?」
「へへ、それも悪くねえな!」
「でもアーフェンはエリンとフリンにもアーフェンってよびすてにされてたし・・・いいか。アーフェンで」
「あっ!こんにゃろ~!!」
アーフェンはテリオンの頭をわしわしと撫でる。最初に手を伸ばした時の怯えようは既になく、心をきちんと開いてくれているようだ。心なしかテリオンも楽しそうだ。随分と子供の精神に馴染んだらしい。
そのまま二人は何事かをやいやいと言いながら駆け出して行く。
「なんだかテリオン君はすっかり普通の子供といった感じになっているね。ふふ、とっても楽しそうだ」
「ああ・・・あのぐらいの子供はあれぐらい無邪気なほうがいい。テリオンの幼少期は辛いものだったのだろう。あの五歳程度とは思えない警戒心・・・あれを見た後だとああやって大人に懐いている姿は安心する。一日でこうも心を開いてくれたのは記憶自体はあるというのが大きかったのだろうな」
「普段の私たちが彼に信用されてるってことだね」
「そうだな。それは俺にとっても喜ばしいことだ」
そのままきゃっきゃと遊びまわる二人を見てサイラスとオルベリクはテリオンの子供らしい一面が見れたことを素直に喜ぶのだった。
「くそ~~!こいつかくれんぼ強すぎるだろ・・・全然わからなかったぜ」
「こどもの身体は小さいからな。隠れほうだいだ。おとなのちしきがあって身体がこどもならそうそう見つかるようなヘマはしない」
しばらくして戻ってきたアーフェンとテリオンはどうやらかくれんぼで遊んでいたようだ。そして様子を見る限りテリオンが隠れる側になり圧勝したらしい。ふふんと胸を張る姿はとても可愛らしいどこにでもいる五歳の子供であった。
アーフェンは少し悔しかったのか苦笑いをしながらぽりぽりと頬を掻く。
「そういや凄腕の盗賊だもんな・・・そりゃ普通の子供よりは隠れるの上手いに決まってるか。いやーでも本気で探したのに影も形もわからなかったぜ。まさか路上から全然見えない樽のさらに中にいるとは・・・」
「だって見つかったら殴られる・・・から・・・いや、いまはちがうんだったな。わすれてくれ」
「テリオン・・・」
隠れるという行為は人目を避けて暮らしていたころに結び付いたのだろう。少しつらい記憶を思い出したようなテリオンの様子にアーフェンは遊びの選択に失敗したなと思った。
アーフェンには母親やゼフがいたが、父親に遊んでもらった記憶はもうほとんどない。こういったときどうするべきかと考えていると、オルベリクが話しかけてきた。
「テリオン。アーフェンと遊ぶのは・・・楽しかったか?」
「オルベリク・・・?もちろんたのしかったさ。全然おれをみつけられないアーフェンがおもしろかったしな」
「そ、そうか~俺を見てってのはちょっと複雑だが楽しかったなら良かったぜ!」
どうやらテリオンは嘘をついたり遠慮をしたりしているようではないようだ。過去の記憶はともかく、アーフェンと遊ぶのは本当に楽しかったのだろう。アーフェンはほっと息をついた。
オルベリクはコブルストンに思いを馳せる。フィリップにはどう接していたか・・・あの子は剣の稽古を好んでいたが今のテリオンにそれは少し違うだろうということはさすがに剣しかわからないというオルベリクでもわかる。
ならば父親としての定石はやはりこれだろうとオルベリクはテリオンを抱き上げた。
「うわっ・・・!何をするんだオルベリク!?」
「足をこっちに回せ、テリオン。俺の首に乗るように」
「こ、こうか!?」
オルベリクは、自らに乗ったテリオンの足をしっかり固定する。そして頭をしっかり持つように言いつけるとそのまま町を歩きだした。
「おお・・・」
所謂肩車をされたテリオンは、普段とはまた違った目線の高さが珍しく、楽しそうに目を輝かせる。普通の家庭の子供がされていたのを目にしたことがあったが自分が大人にされるのは初めてだった。
最もかつての兄弟に枝の上のターゲットを狙ったり偵察のためにされることはあったが
――
(ダリウス・・・)
高台に行けば町の屋根すら超えて沈む夕日が見える。そろそろ夜が近づいてくるころだろう。明日になればテリオンは元通りのはずだ。そうなればこの楽しいひとときも終わる。
「どうだテリオン、怖くはないか?」
「新鮮でたのしいぞ。ありがとう、おとうさん!」
「んんっ・・・お父さんではないのだがな」
「はは、それはそうだな。冗談で言ってみただけだ、ゆるせ」
「いや・・・悪い気はしなかった。息子・・・息子か・・・フィリップもそうだが悪くはないものだな」
「まあ、おれの場合は中身がおとなだから可愛げはないだろうがな」
「いや・・・十分可愛いさ。お前は」
そろそろ戻るか、とオルベリクはテリオンをゆっくりと地面に下ろす。いい加減辺りも暗くなってきた。テリオンを可愛がろうの会もそろそろお開きだろう。
最初は乗り気ではなかったが、一日体験してみれば悪くはない経験だった。大人の状態で今日の一連の流れをやれば恥ずか憤死ものだろうが今のテリオンは身体の細さに目を瞑れば家族に遊んでもらっていたどこにでもいる普通の子供であり、テリオン自身もすっかりその気になっていた。
「やあ、おかえりテリオン。どうだったかな?肩車の散歩は」
「ようサイラス。すっごいたのしかったぞ。やっぱりオルベリクのだんなは大きいな。元のおれの目線よりもずっと高かった」
身振り手振りでオルベリクの大きさを表現するさまにサイラスはクスリと笑う。一日で随分と可愛らしくなってしまったようだ。これが彼本来の純真さなのだろう。だからこそ、盗賊稼業に身を堕としていてもどこか光のようなものを感じるのだ。
「キミが本当にこんな感じの子供時代だったら・・・いったいどんな大人に育っていたんだろうね」
サイラスは目を閉じ、想像をしながらテリオンのもしもを何気なく呟いた。それだけだった。
(普通の子供の・・・俺・・・ちゃんと飯が食えて、愛されて、残飯も漁らず泥水も啜らず、盗みも必要ない子供の・・・俺?)
テリオンは身震いした。サイラスの言葉から自らのもしもを連想し・・・盗賊ではない自分を想像してしまったのだ。
それは今までの人生を塗り替えて否定してしまうようなものだ。ろくでなしにはろくでなしの矜持があり、盗賊になったからこそ自分は誇りをもって生きる事が出来たのだ。
ならそれを失くした自分はいったい何者なのだ?そして幼少期にマトモな暮らしをしているということはダリウスと出会うこともなくなってしまう。
今日の一連を振り返る。確かに普通の子供として遊んでもらったことは間違いなく楽しかったし幸福なひと時だっただろう。だが同時に恐ろしくもなった。ダリウスと過ごした辛くも大切な思い出が薄れて消えてしまう気がしたのだ。
いくら裏切られて酷い別れ方をしたとしても兄弟と過ごした日々は本物である。テリオンが生まれて初めて信じた相手はダリウスだったのだ。
そしてこれは人生の根幹にかかわることだ。この記憶が揺らいでいると気づいたとき、自分が自分でなくなってしまうような気がした。怖かった。叫びだしたかった。迷子のこどものような心地になったテリオンは、わけもわからず衝動的に走りだした。自らがどこへ向かっているかもわからず、ただ真っ直ぐに
――
なんだか静かだ。違和感がある。いやな予感がする
―
—
そう思ったサイラスは思考を浮上させる。そして辺りを見渡して、テリオンがいないことに気づいた。
「・・・テリオン?テリオン!?何処だ!?」
夜の帳が降り始め、辺りは暗くなってきている。もはや五歳程度の子供が一人でいていいような時間ではない。サイラスが慌てて周りを見渡すもテリオンの姿は既にどこにも見えなかった
―――
「ハァッ・・・ハァッ・・・!ハ・・・・・・あっ!痛っ!」
走り続けて息を切らし続けたテリオンは、ついに疲れからか石に躓きドサリと転んでしまう。どうやら膝を擦りむいたらしい。その衝撃でいくらか理性を取り戻したテリオンは自分が何をしているのか理解してしまい、青くなる。
気づけば随分と遠くまで来てしまっていた。町に入るときに下見はしっかりしたはずなのだが今いる場所は見覚えが無い。無意識で衝動のままに走ってきたせいで帰り道もわからない。
「は・・・かってに怖くなって、かってに走って、かえり道がわからないまいごだなんて・・・これじゃ、ほんとうにただのガキだな・・・」
自らの行いの愚かさに嘲笑する。今回こそはあいつらも呆れてしまったかもしれない。が、あいつらはとんでもないお人よしだ。きっと心配して探しに来るはずだ。そう思うぐらいには仲間のことを信じていた。
とはいえ手がかりも何も置いて来ていない。最悪このまま一晩過ごせば身体は元に戻るはずだ。そうなればどうとでもなるだろうが問題は場所だった。町であれば多少なりとも建物がありそうなものだがどう見てもここら一帯は森だった。
案の定ガサリという音が聞こえる。自分以外の生き物がいる。もしかしたら探しに来た仲間か通りがかりの人間かもしれない
――
という希望は早々に打ち砕かれた。こちらには気づいていないようだがどうやらフロッゲンのようだ。幸い最弱ランクの個体だろうが今のテリオンにとってはそれでも出会いたくない相手だった。
息を潜めて草の陰に隠れる。このままやり過ごそうと考えたテリオンだったが、手に何かが触れる感触がした。このやわらかいような硬いような鞭のような感触は一体・・・とテリオンが視線を移せばその手にいるものは蛇であった。
しかもよりによって毒蛇だ。リーオ洞窟で見た蛇にそっくりだからきっと間違いない。テリオンは慌てて手を引っ込めようとするもその動きに驚いたのかヘビはテリオンの腕に絡みつき
―
手の甲にずぶりとその牙が入る
「うぁっ・・・!」
なんとか蛇を振り払うもその物音で今度はフロッゲンに気づかれてしまう。蛙の魔物は子供であるテリオンを力のない獲物と認識し、追いかけてきた。
「炎を味わえ!」
身体的に肉弾戦も逃走も不可能だと判断したテリオンは鬼火で応戦しようとするも、最悪なことに魔力も歳相応まで落ちてしまっているらしい。簡単な魔物なら焼き尽くせるはずの鬼火はただのちいさな火花となっただけであり、全く有効な手ではない。
「なっ・・・」
火の粉を払ったフロッゲンは槍をこちらに向け、真っ直ぐにテリオンへと向かってくる。平常ならばなんてことのない行動ではあったが今の疲れ切った子供の身体で対処することは不可能だ。
槍の切っ先がテリオンの眼前に迫ってくる。くそっ・・・!ここで終わりか
―
—
とテリオンが諦めかけたその時
「氷よ!切り裂け!」
聞きなれた詠唱と共に目の前の今にも飛び掛からんとしていたフロッゲンが凍り付き、砕けた。
「皆!こっちだ!」
「テリオン居たのか!?無事か!?」
「ああ、何とか間に合った!」
「テリオンさん!」
「みんな・・・」
次々と息を切らしながら仲間が駆けつけてくる。テリオンの顔をみるなりほっとした様子の皆を見て、テリオンはますます居た堪れなくなった。随分と心配をかけたのだろう。
その中でもサイラスは随分怒っているように見える。当然だろう。それだけ自分は愚かなことをしたのだ。あの場で大人しくしていればよかったのにただ単に不安になったからなどという理由で仲間に無駄に手間をかけさせてしまった。
「なぜこんなことをした?」
「・・・・・・」
「私は怒っているよテリオン。キミは考え無しに飛び出して危険に身を晒すような子じゃない。理由があるんじゃないのか?」
「な・・・ない・・・」
言い訳をするならばサイラスが言ったことに対して無駄にぐるぐると考えてしまったのが原因だ。でもそれは飛び出す理由にはならないしサイラスを責めているようにも聞こえてしまうだろう。そんなことを理由にするのはあまりにも身勝手すぎて嫌だった。罪悪感からまともに仲間の目を見られず、地面に視線を落とす。
「テリオン、顔をあげて。私の目を見なさい」
顔をぐいと持ち上げられ、視線を合わされる。その瞳に見つめられていると何もかも見透かされたような気がしてテリオンは落ち着かない。今すぐ逃げ出したいという思いすらあったがそれはこの事態の二の舞になる。さすがにそこまで馬鹿にはなりたくなかったテリオンは大人しく自ら顔をあげた。
そこには随分と悲しそうな顔をしたサイラスがいて
―
「・・・そうか、私のせいなんだね。すまなかった、テリオン」
「ちがう!あんたは・・・あんたは関係ない!たしかにかんがえたきっかけはあんたのことばだ!だけど・・・かってに想像して、かってに絶望してあたまを真っ白にしてすがたを消したのはおれだ!おれが・・・かってに・・・ごめん・・・ひっく・・・ごめんな・・・さい・・・わ・・・うわあああああんっ・・・!」
テリオンは泣きじゃくった。サイラスの胸に顔を埋めて・・・その頭をサイラスは優しく抱きしめ何度も何度も撫でる。
皆もやれやれと言った様子で見守ってくれている。カマかけだったがどうやら自分の言った言葉が本当にテリオンが暴走するきっかけだったのだろう。記憶があるとはいえ今の精神は子供だ。きっと感情が抑えられなくなったのだ。恐らくそれは兄弟と過ごした日々とのギャップに苦しんだというところだろう。
テリオンが落ち着いたら宿へ戻ってゆっくり休もう。そう考えた矢先のことであった。
泣いたことから来る震えかと思っていたテリオンの様子がおかしい。嗚咽は苦しみを孕み、身体が痙攣している。
「ひっく・・・う・・・ぐぁ・・・」
「テリオン!?どうしたんだい!?気分が悪かったりするのか・・・」
「おぇえっ・・・!」
テリオンはサイラスに向かって勢いよく嘔吐した。吐瀉物がびちゃりと学者のローブを汚す。
容態を見ようとテリオンを仰向けに転がしたサイラスは目を見開いた。顔色がものすごく悪く、呼吸が浅い。何か原因があるはずだと探りを入れれば手の甲に蛇の牙の痕が見えた。こんなものを見逃していたとは大失態だ。
「アーフェン君!!」
「わかってる!!」
大急ぎでアーフェンを呼び、処置を施せばだんだんと呼吸が落ち着いてくる。しかし小さな体に回ってしまった毒の除去はすぐにとはいかない。浸食こそ止められたが胸に手を当てればその鼓動は随分と弱弱しく、表情は苦しげなままでいて一刻を争うことがわかる。
「ぅっ・・・ぐ・・・あぁ・・・」
「くそ・・・体力を回復させねえとマズい。ちゃんとしたところで寝かして本格的に治療をしねえとこのままじゃ・・・」
「いやああ!テリオンしっかり!」
「早く宿へ行きましょう!」
「わたしは先にいって宿の主人に説明をしてくる!行くぞリンデ!」
「ガゥ!」
「オルベリク!テリオンをできるだけ揺らさないように抱えるのよ!急いで!」
「ああ!」
(ああ・・・ガキとして大人にこんなに必死になってもらえるなんて初めてだな・・・)
朦朧として闇に落ちる寸前、テリオンは自分の為に焦るような仲間の声を聞き、信頼からそのまま安心して意識を落とした。
七人は大急ぎで気を失ったテリオンを抱え、宿へと戻るのだった。
「う・・・」
「お!起きたかテリオン!いや~元に戻って良かったぜ。身体がちいせえままだったら危なかったかもな」
「薬屋・・・」
「毒はすっかり治ったし、体力も戻ってると思うからもう起きても平気なはずだぜ」
翌朝、テリオンが目を覚ますとそこには毒の治療をしていたと思わしきアーフェンがいた。
アーフェンが言うには、テリオンを宿へ運んだあと、大急ぎで治療を開始したもののかなり危ない状況だったらしい。しかし、日付が変わると同時に身体が元に戻ったため体力が戻り、毒の回りも遅くなったおかげで無事に後遺症もなく治療を終えられたそうだ。
「そんなわけで大事を取ってもう一泊するか?って意見も出たんだけどよ。あんまり滞在を延ばしてもしょうがねえし、テリオンが大丈夫そうなら今日は出発する予定だぜ。調子はどうだい」
「ああ。問題な・・・」
ここでテリオンはおかしなことに気づいた。身体がろくに動かない。毒の後遺症はないと言っていたがもしかしてアーフェンが治療を誤ったのでは。いやそんなはずはないと自らの身体を見下ろすとそこには伸び切って可動域をしっかり抑え込む刺繍のはじけ飛んだ子供服の残骸が巻き付いていた。とても人様には見せられない格好である。
「おい、薬屋」
「なんだテリ・・・ぶふっ・・・!あっはっはっはっはは!!!」
「切ってくれ。買ってくれたトレサたちには悪いが切らんとどうにもならん。あと笑ってるんじゃない」
「いや悪い悪い・・・絵面が面白すぎてよ。子供服に拘束されてる神出鬼没の大盗賊様だぜ?酒の肴にはもってこいだな」
「俺は患者だな?アーフェン。子供の身体も見てもらったし毒も治してくれたな。感謝する」
「お、おう!そりゃ当然ことだからな!」
「患者の守秘義務は守るよな?あぁ?」
「あ・・・ハイ・・・」
盗賊に圧をかけられ言いくるめられたアーフェンはまあ・・・言わねえけどよお・・・と呟きながら、哀れな残骸に囚われたテリオンを救出するのであった。
テリオンとアーフェンが身支度を終え、ロビーに降りると他の仲間もみんな既に揃っていた。皆、アーフェンの腕は信用しているし、経過も聞いていたのでそこまで心配はしていなかったようだ。が、やはり姿を見て安心したのだろう。ほっとした顔をしている。
「あ!テリオン!よかった!調子はどう?」
「トレサか・・・問題ない」
「あれ、もうお姉ちゃんって呼んでくれないの?」
「ガキ限定だ、もう言わん」
「ちぇ~」
「元に戻ったのか。身体も問題なさそうだ。難儀だったな、だがわたしもリンデも小さなあなたの相手は楽しかったぞ」
「ハンイット。世話になったな。リンデの背中は気持ちよかったぞ」
「ふふ、そうか。リンデもそうだろうと言っている」
「テリオン」
「よう、オルベリクの父さん」
「からかうのはよせ。全く・・・そういうところは大きくなっても結構子供っぽいのだな」
「ま、あれも結局俺だからな」
「テリオンさん!よくご無事で・・・」
「薬屋が一晩頑張ってくれたおかげだな。それにどうせあんたのことだから交代で看病してくれたんだろ?オフィーリア、ありがとよ」
「ふふ、ばれていましたか。それにしてもあの服、しょうがないとはいえ可愛かったのにもう着た姿が見られないのが残念ですね。似合っていましたから」
「そ、そうか・・・見たのか、アレを・・・」
「はい!」
「あら、随分成長したわね」
「成長したんじゃなくて元に戻ったんだ。踊子・・・」
「せっかく可愛らしかったのに・・・私も摩訶不思議の舞、踊っちゃおうかしら?」
「やめろ!全く・・・・・・まあ、気が向いたらまたなってやらんでもない」
「うふふ・・・案外まんざらでもなかったようね。ま、あんな目には二度と会わせたくないけど」
「ローブ、汚して悪かったな」
「それはいいんだ。・・・テリオン、すまなかった。キミを危険にさらしたのは私のせいだ」
「・・・サイラス。違うと言っただろう。あんたはたまたまぽろりと呟いただけでガキの俺が勝手に怖くなっただけだ」
「いや・・・そもそもキミが小さくなった発端が私の舞というか・・・」
「そういえばそうだった!!じゃああんたのせいじゃないか!!」
「う・・・すまない。次からは気を付けて踊るよ・・・」
「シルティージの技能以外で二度と踊るな!」
全く・・・とんでもないことに巻き込まれた一日だった。
しかし、己を見直すいい機会にもなったと思う。もしものようなガキの暮らしを体験したことで本当のガキの頃だったあの暮らしが大切な思い出だと再認識できた。
兄弟はもういないが
――
オフィーリアが言っていたことを思い出す。『死したものは生きている者の心の中で生き続ける
――
』テリオンがダリウスを忘れない限り、兄弟はいつまでも自分の心の力になるのだ。そしてやはりあの子どもころの思い出は、辛くともかけがえのないものだと。
(ダリウス・・・兄弟よ。俺には今大切な仲間がいる。だけどやっぱりガキのころを共にした唯一無二の兄弟はお前だよ。決して・・・忘れない)
テリオンは子供の時分の思い出を抱きしめて、仲間と共にまた旅に出るのだった。
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