望月 鏡翠
2026-05-04 22:57:59
856文字
Public 日課
 

#2067 Classic In My Time 2

#毎日最低800文字のSSを書く/ダーリンランデヴー!


  映画祭の警備に参加するAg:47の職員は、その場に相応しい服装をしてくることという指示がもたらされたのだ。ドレスコードありの業務というわけだ。
 当日の服装が指定されることは、珍しくはない。前回の遊園地でも、他の利用者に威圧感や緊張感を与えないように、一般人に紛れるような服装を求められていた。
 しかし今回は、それとは趣が異なる。
 一般的に、正装に大荷物は合わせない。装備品の持ち込みに、制限が課かてしまう。そして慣れない服に歩きにくい靴。実行制圧能力に、問題が出てくる。
 イライジャとしては避けたいことだった。正装なんて持っていない。しかし今の組織に、手が空いている人間を待機させておく余裕などない。CLOUD MINEの事件のおいて、人的物的被害は軽微なものだった。しかし、大規模な被害な事件であったことに違いはなく、未だ収拾がついたとは言いがたい状態だ。
 どうしてあそこまで大規模なものになったのか混乱し、再発防止の見通しも立っていない。
 監視を増やし警備を増強すれば、全ての問題は概ね解決する。しかし、そんな人員も予算もない。治安維持に関わる組織というのは、万年資金不足である。
 そんな状態なので、大切な取引相手でもあるDEAR<3の意向はなるべく汲んでおきたいし、大口の仕事を断りたくもないというのが実際のところだろう。
 仕方がないので、イライジャも似合わない正装を準備することになった。ダーリンが行くのであれば、相棒であるファタールが行かないわけには行くまい。
 ラダは前回、自分の複製体に着せるための服を山ほど買っていたから、その中で好みのものを見繕っていくのだろう。
「どれがいいと思いますか?」
「女の服はわからんぞ」
「ラダに似合う服装は、俺が決めて俺が考えます。聞いているのは、任務に向いている服装の話です。この中から、動きやすいだろうと思われるものを選んでください」
 いらない恥をかいた。
 イライジャは顔を赤くしながらクローゼットの中の服と向き合った。