三毛田
2026-05-04 18:17:57
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47 【47/雨の雫は涙色】

47日目
それがどちらかはわからなくて

 頬を濡らすのは、涙か雨か。
 傘を差し出すと、珍しく素直に入ってくる。
「濡れたままだと風邪引くぞ」
「そうだな」
 ちゃんと返事をしているようで、上の空。
「濡れるぞ」
「もう、濡れてる」
 丹恒の方へ傘を差し出したので、反対の肩はびしょ濡れだ。
 いつだったか、濡れている方が惚れている。という文を見たことがある。つまりはまあ、そういう事。
「お前のほうが風邪を引きそうだな」
「そう思ったなら、もっと寄って」
「わかった」
 列車に帰ったら一緒にお風呂に入ろう。そう約束を交わし、アンカーまでゆっくり歩く。
「ところで、この傘は」
「さっき買った。列車にあるのは支給品だし、まあいいかなって。シンプルでカッコいいし、大きいからさ」
「お前がいいなら、構わないが」
 わざわざ今のために買ったと思われたようだ。間違ってはいないが、合流する前に買ったら、たまたま雨が降ってきたのだ。狙ってはいない。
「相合傘っていうんだろ? これ」
「そういう俗なことはよく覚えているな、お前は」
「だって、丹恒とイチャイチャできるからさぁ」
 頬ずりしたかったけれど、傘を持っているので叶わない。残念。
 雨の降る町は、静かだ。喧噪も、他者の足音もひどく遠い。
 だから、隣の愛しい人の水を踏む音がよく聞こえる。
「飴だから、冷えるな。温かいスープを貰おう」
「うん。それが良いな。お風呂に入って体を温めて、スープも飲んで温めて。そうだなぁ。オムライスがいいな!」
「一口大のチキンたっぷりに、ケチャップも野菜も多めのチキンライスがいいな」
「えー。俺は、野菜そんなにいらない」
「好き嫌いは駄目だ」
「むぅ」
 唇を曲げると、優しいまなざしをこちらへと向けてきて。
 でも、それじゃ騙されないからな!
 ゆっくり歩いていたから、ようやくアンカーにたどり着いた。
 傘を閉じてから跳んで、ラウンジで迎えてくれたパムが濡れた傘を預かると言ってくれたので預けてから部屋へ。
 服はちょっとどころか結構濡れていたので、脱いでからランドリーに入れてスイッチオン。
「はぁ……
「気持ちいいな」
「丹恒、尻尾でてる」
「今日は適温だから、つい」
 パシャパシャと水面を叩く音がしたのでそちらへ視線を向ければ、透明な尻尾が。
 悪びれた様子もなく、尻尾でお湯を掬い、俺の顔にかけてくる。
「丹恒」
「隙だらけだな」
「やったな!」
 手でお湯を掬い、丹恒にかける。それから白熱してしまい、二人そろってのぼせてしまった。