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まう
2026-05-04 11:24:44
971文字
Public
蘭葬
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「ねぇ、」
蘭たん変葬 ネタバレ
二藤簾の独白
(ポイピクに載せていたものの再掲)
「おれにとっての理想の弟は、ここで消える弟なんだよ」
放たれた言葉に、反論なんて、できなかった。
俺にとっては、灰が全てだ。
灰が俺の世界の全部。
灰がして欲しいと思うことをしたいし、灰が幸せになれるのならばそれ以外どうだっていい。
俺なんてどうでもいい。
俺がいなくなることで灰が幸せなら、それでいい。
だってそれが俺だから。
灰のためになることが俺の存在意義だから。
灰が、「理想の弟」でいて欲しいならそうする。もういらないのならば、俺は消える。
全然、当たり前のこと。
おかしくなんてない。俺は灰のためだけに生きてるんだから。
うそ。
じゃあ、今どくどくと溢れてくる「隣にいたいよ」って気持ちは?
「灰に側にいて欲しいよ」って気持ちは?
これは、理想の弟のものじゃない。だからいらない。灰はそんなの欲してない。
理想の弟はいらなくなった。だって灰自身が理想になったから。
今の俺は灰にとって誰でもない人間になってしまったんだ。
顔も生い立ちも年齢も性格も、二藤簾とは違う。
灰の人生にいなくていい存在を、俺が自分で選んだんじゃないか。
そんなの、灰がいらないと思うのは当たり前。それに従うのも当たり前。
分かってる。それでも、どこからか叫ぶ声がする。
「俺を、ひとりに、しないでよ
……
」
血を吐くみたいだ。口の中が鉄の味でいっぱいになる。
苦しい。息ができない。
大好き、大好きなんだよ、灰のこと。灰がいない世界で、生きていける訳ないよ。
俺にとって、自分の人生よりずっと大事な存在なんだよ。
なんで、どうして。
どこで間違えてしまったのだろう。
灰のこと、世界中で誰よりも分かっていると思っていた。
灰の求めるように生きられると思っていた。
でも、灰は俺のことをもういらない。
いらないんだって。
俺の役目は終わったんだって頭では分かってるのに、思考はずっと真っ白だ。
本当は灰に必要とされていたかった。
俺だけのお兄ちゃん。
俺だけの半身。
ねぇ、灰。
いつもみたいに、ちょっと困った顔で笑ってよ。
「簾はすごいなぁ」って言ってよ。
またふたりで出かけようよ。
さよならなんて、したくないよ。
いらないなんて、言わないでよ。
ずっとずっと、灰と双子でいたかったよ。
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