三毛田
2026-05-01 23:14:54
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44 【44/色褪せない思い出】

44日目
君との大切な思い出

 その場所に行くたびに、思い出す。
 彼と、彼らと出会った時のことを。
 思い出と呼ぶには結構最近の事……いや、別に最近じゃないな。気づけば、あの場所から度ったのは何か月も前だ。
「穹。健康診断は済んだのか」
「終わった。丹恒こそ、どうなんだ?」
「異常はなしだと言われた」
 宇宙ステーションから手伝ってほしいと呼び出され、一仕事終えて丹恒と二人健康診断を受け。
 結果は数システム時間後に。と言われたので、二人と出会った場所まで来ていた。
 そしたら、丹恒もここに来て。
「俺はまだ結果が出てないんだけど」
 むすっと見るけれど、
「お前は特殊だからな。平気で奇物を振り回しているし、今は落ち着いているが性格についても謎が多すぎる」
 丹恒の指が、そっと俺の胸を撫でてくる。
 言われてみると、確かにそうだ。色々と吹っ飛んでいる人々と一緒に居ると、自分が特殊であるということを忘れてしまう。
「丹鼎司方で、健康診断を受けないのか?」
「白露なら、たまには顔を見せろと言い出しそうだが、あそこに行くと他のことが煩わしい」
「なるほど」
 俺がいない間に、羅浮の龍師とひと悶着あったって言ってたしなぁ。
 彼の故郷ではあるが、同時にあまり長居したくない場所。って感じなのだろう。
 俺にとっては、悪いことばかりじゃない星ではあるが。
 俺と彼とでは、考え方も感じ方も違うから意見が合わないのは当たり前ではある。
 でも。
「俺は、丹恒と色褪せない思い出をもっと増やしていきたいとは思ってるけどな」
「口説いているのか」
「口説いてる。いつもだけど」
 肩に肘をついて、それから頬にキス。
 うわ。って表情をされたけれど、いつものことなので軽くスルー。
 この人、お付き合いする前の方が、俺に甘かった気がする。
 もう慣れたからいいけどさ。
「俺の健康診断の結果が出たら、列車に帰る前にどこかでデートしないか?」
「数値に悪いところがあったら、食事管理の指導が入るからな」
「それは言わない約束」
 頬ずりして、ぎゅっと抱きしめる。
「俺、丹恒となのにここで見つけてもらえてすごくよかったなって思ってる」
……そうか」
「そうじゃなかったら、記憶がないことにちょっとだけ悲観してたと思うし、今みたいに楽しいことは楽しい、悲しいことは悲しい、怒る時は怒っていいんだって知らなかっただろうから」
 全部全部、丹恒となのが教えてくれたこと。列車のみんなが教えてくれたこと。
「丹恒を好きになれた幸せも、感じられなかった」