Privatter+
Font
Serif
Sans Serif
Color
Light
Dark
auto
Font size
Large
Medium
Small
Language
Japanese
English
Sign in with Google
Sign in with ID and password
Account ID
Password
Sign in
Forgot password?
Create account
幸希(ユキ)
2026-04-30 23:56:37
2458文字
Public
Clear cache
何度でも
不安にさせてごめんね。待っててくれてありがとう。
充電期間に入って2週間。やっと好意を口に出せるまで回復した。
(言っても2週間か)
なんてふうに思うけど、体感で言えばこの2週間がとても長く感じた。し、すごい焦った。なかなか気持ちが動かなくて、むっちゃんからもらうばっかりの状態が不誠実に感じた。むっちゃんだけじゃなくて、本丸のみんなが、私が下手に気負わないようにと話題に出すのも控えてたのが逆に申し訳なかった。申し訳ないと思う事も、むっちゃんの気持ちを考えたら失礼な気がして、それも余計に気持ちを焦らせた。
「ゆき
…
」
だから、今さっきちゃんと心から“むっちゃんが好き”と感じて、それを口に出せたのが嬉しかったし、ホッとした。静かに水が湧くみたいに、汲んでも枯れない泉みたいに、想いを声に出してもなお止まらない。止まるどころか余計に溢れる。
「すきだよ。」
万感の想いを込めてそう伝えれば、むっちゃんは腰を痛めてる私の身体に響かないように、それでも確かにぎゅっと抱き寄せて肩口に顔を埋めてきた。
「むっちゃん大好き。」
何でもないように振る舞っていたけど、期間中ほろりとこぼれた“好き”の一言に歓喜していたくらいだから、きっとかなり不安だったと思う。
(婚約の約束した直後もだし、婚約成立後にもこうやって一悶着起きちゃったし、間が悪いったら。)
好事魔多しとは言うけど、本当に間が悪いのなんの。驚きは嬉しいもので十分だわ。
(まぁ、こういう事が思いがけずに起こるから、日々の有り難さが身に染みるわけだけど。)
優しい優しい私の旦那さま。不安にさせた分、いっぱい好きを伝えたい。今のこの溢れて止まらない想いを差し出したい。
「むっちゃん。」
「
……
。」
「顔見せて。」
雰囲気ぶち壊しな事言うけど、いつもならやや低めの声が、こうしてむっちゃんに何かを頼んだり願ったりする時は高く甘ったれた声になる。実際甘えてるのだからそりゃそうではあるんだけど、正直らしくなさすぎて自分だと“気持ち悪っ”てなる。でも、そうやって呼び掛けると、むっちゃんは呼応するように熱を帯びた甘い声を返してくれる。
「ゆき。」
「不安にさせてごめんね。大好き、大好きだよ。」
頬、額、瞼、鼻先、最後に唇。大好きが伝わるようにキスをしていく。好き。大好きだよ。君を1番愛してる。
「
……
。」
名前を呼ぶ以外一言も発さないむっちゃん。額と鼻先をすり、とすり寄せて甘えてくる。
(可愛いなぁ
…
。)
普段どんと構えていて、この本丸の精神的柱にもなってて、明るくて、頼りになる刀。なのに、今は不安を消したくて堪らない可愛い刀。心がきちんと通じ合うようになってから、こうやって弱さを見せてくれる事が増えた。甘えてくれるようになった。
(大好き。可愛い。愛おしい。)
すり寄り返して、ぴょこぴょこ跳ねる髪をわしゃわしゃかき回す。頬を撫でて、そっと耳元で囁いた。
「だぁいすき。」
「
……
わしも好きじゃ。」
泣きそうな、嬉しそうな顔。不安にさせた罪悪感は消えないけど、それ以上に好きが溢れて止まらない。
「どうして欲しい?」
「もっと、もっと呼んどうせ。触れとうせ。」
「他には?」
「
……
口づけて、えい?」
ゆらゆら揺れる熱。唇を撫でられて背筋が粟立った。
「いっぱいしよ。いっぱい呼ぶから。ずっと触れてるから。」
「わしもおまさんに触れてえい?」
「いいよ。我慢してくれてたもんね。待っててくれてありがとうね
…
。」
「ゆき
…
。」
「むっちゃん、愛してる。」
お互いに頭を撫でて、頬に触れて、唇を重ねて。何回も名前を呼んだ。身を寄せあって、手を絡めて、吐息を掛けた。
「むっちゃん
…
。」
「ゆき、ゆき
…
」
気持ちが離れていくんじゃないかと思うと怖かった。動かない心が腹立たしかった。むっちゃんに気を遣わせるのが申し訳なかった。何でもないように平気な顔をするむっちゃんが見ていて歯痒かった。やっと、やっとちゃんと言える。渡せる。伝えられる。想いを口に出せるのは、こんなにも幸せなんだ。
「不安にさせて
…
っ、ごめんなさい。」
「おまさん
…
。」
「好き。好きなの。大好き。愛してる。愛してるの。むっちゃんを愛してる。」
泣くつもりなかったのに。むしろ泣きたかったのはむっちゃんの方なのに。ぼろぼろこぼれ落ちるそれを止められない。
「ゆき、泣きな。」
「ごめ
…
っ止め方わかんな
……
」
「おまさんが悪い訳やないがよ。そがに思い詰めんで?」
の?と言いながらむっちゃんが袖で涙を拭っていく。
「ほんまにおまさんは、わし一筋じゃな。」
「だって
…
」
「ああせざるを得んほどに疲弊しちょったに、それでもずっとわしを気にしちょったろう。今もそれを案じて涙まで流いて。どればあわしが好きながよ?」
まはは、と笑うむっちゃん。
「だって好きなんだもん
…
。来世捧げるくらい好きなんだもん
…
。」
「おん、よう分かったぜよ。おまさんがわしに心底惚れゆうっちゅう事は。」
「べた惚れだもん
…
。」
からかわれてるような気がして口をとんがらせたら、ちゅっとそのままキスされた。何しとんだ。
「ちゃんとおまさんはここに帰ってきた。そんでえい。」
「
……
甘くない?
詰
なじ
られるくらい覚悟してたんだけど。」
「言う必要ないろう。こういて泣いちょる
嫁
ひと
に鞭打つ真似する程鬼やないきに。」
「
……
本当にごめんね。信じて待っててくれてありがとう。」
「えいえい。気にしなや。」
もうこんなの2度とごめんだけど、全く無いとは言いきれない。心がすり減るような事があればまたなるかもしれない。正直今も完全に回復したとは言いきれなくて、無理は出来ない。でも、仮にもしなったとしても、私の気持ちは無くならない。
何度でも君に恋をして、何度だって君を好きになる。そして何度も何度も「愛してる」って伝えるから。
ごめんね。ありがとう。愛してるよ、私のむっちゃん。
Reaction
If you make a mistake, you can cancel it by pressing the reaction.
Custom color
Reset color
広告非表示プランのご案内