三毛田
2026-04-30 22:57:07
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43 【43/空色の種】

43日目
君と育てていく

 夢の中で手渡されたはずのものが、実態を持って握りしめていた手の中にいる。
 あまりにも不可思議な光景に、丹恒や姫子、ヨウおじちゃんも巻き込んでああでもないこうでもないと話し合う。
「気になるなら、植木鉢に植えればいいじゃん」
 なのの一言で、いくつかあった内の空色の種をパムが用意してくれた植木鉢に植え。
 他のは、気にしている人たちに渡しておいた。なんとかしてくれるだろう。
「なあ。丹恒。一般的に植物ってどれくらいで芽が出るんだ?」
「その種によるな。気候や、水の量によるだろう」
「つまり。植物の芽が出る平均ってのは、その時々によって変わるって認識でいいのか?」
「そうなるな」
 説明が面倒になったのか、それとも本当にそうなのかは俺には判断が出来ない。
 でも、芽が出るのを待つのも悪くないかも。
「ふふ」
「どうした」
「丹恒と一緒にこうやって、何かを育てるって初めてだから嬉しい」
 隣に立って、肩に頭をくっつけるとちょっと照れたような表情。
「そう、だな。俺も思っているより嬉しいようだ。心臓の鼓動が、速い」
 自分の胸に手を当てながらボソッと。そっと手を重ねる。振り払われるかと思ったけれど、大丈夫そうだ。
「無事に芽が出るといいな」
「ああ。俺もそう願っている」
 ジッと見つめていたら目が合ったので、そっとキス。
 そんなやり取りをしてから数日。
「た、丹恒! 芽が出た!」
「こっちも出たな」
 植木鉢を持って、資料室に飛び込むと、丹恒も同じように植木鉢を持っていて。
 それを覗き込むと、小さな双葉が土の間から顔を出している。
「見た目は……今のところ、一緒だな」
「ここからどうなるか楽しみだな!」
「ああ。オマエには悪いが、研究対象として観察させてもらうぞ」
「それはどうぞお構いなく。って感じだから」
「ありがとう」
「どういたしまして」
 頭を下げてきたので、こちらも頭を下げながらそう返す。
「でも、芽が出たのは嬉しい誤算だ」
「出ない可能性もあったってこと?」
「そうだ」
 ちょっと強めに肯定され、植木鉢と丹恒の顔を見比べ。それから、そっと植木鉢の縁を撫でる。
「出てきてくれてありがとう」
「ちゃんと世話をするんだぞ」
「丹恒先生、ご指導よろしくお願いします」
 頭を下げると、上げた後に額にキスされた。キャーッ。
 それから、育ちきるまで二人でお世話した。
「花、だな」
「うん、花だ。初めて見た」
「俺もだ。経過観察だけで、論文が一つ出来上がるだろう」
「書くのか?」
「多分」