望月 鏡翠
2026-04-30 22:03:33
942文字
Public 日課
 

#2061 にやり3

#毎日最低800文字のSSを書く/@tmysmst

 ところで、僕の相棒っていつ生まれてくるのでしょう。
 一日持って歩き回っていたのですが、ちっとも出てくる気配はありません。そしてとっても硬そうです。
 もしかして、僕が殻を破って中から出してあげないといけないのでしょうか。ニワトリみたいにたまごを抱いて、温めてあげた方がいいのでしょうか。
 出られないと中で泣いていたら、どうしましょう。僕の相棒はきっとお腹を空かせてしまいます。でも、もしまだでてくる準備ができていなかったら、突然殻を破ったら僕の相棒は死んでしまいます。
 庭の木に、鳥が巣を作ったとき、落ちて死んでしまったたまごを見たことがあるんです。あれは……とても怖かった。そのあとしばらく鳥のことが、少し苦手になったくらい。
 想像すると怖くなったので、僕はたまごの中身が出てきたいって思うまで辛抱強く待つことにしました。
 ベッドに戻って、お腹の上にたまごを乗せてみました。
 お布団も被せてみました。
 そうしていると、僕はラクダみたいです。ヒトコブラクダです。そうでなければ、象を食べたうわばみです。
 息を吸ったり吐いたりすると、たまごも一緒にゆっくりと上下しました。
「でてきたくなったら、ノックしてください。そうしたら、外に出してあげる。こうやってこつこつって」
 拳で殻をコツコツとします。きっと中にも聞こえるでしょう。
 僕は相棒が生まれるまでの間、たまごの様子を記録してみることにしました。
 まずは大きさです。
 卵の大きさを測ろうとしたのですが、物差しが上手く当たりません。丸いからです。端っこがうまくわかりません。円形に沿って当てていくのも、違うような気もします。だって、目的地までいくのに、途中で道を曲がったら遠回りになるでしょう?
 こういうのはお父さんに聞いてみるのがいいです。
 お父さんは〝ノギス〟という道具を貸してくれました。丸いものを測るのにはこういうものを使うといいそうです。
 僕の卵の大きさは、長い方が二十九センチありました。
 少し小さめらしいです。じゃあ僕の相棒は、少し小さいのかもしれません。
 色はぶちです。小石の落ちた河原みたい。
 図鑑で調べてみたのですが、うずらのたまごとかちどりの卵に似ている気がしました。