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春野ツバサ
2026-04-29 21:55:39
4106文字
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幽霊も歩けば狼に当たる【ゲ謎✕ゴジュウの小話】
神がお出しになられたツツジの父たちに情緒を狂わされた結果です。
ツツジをはむはむする父になんかデジャブ……
蜜吸う父……花の蜜吸う……はっ(キュピーン
と天啓を受けた結果爆誕したクロスです。
執筆時間僅か数時間。天啓受けてものの数時間で書き上がってもはやキョーキといえるれゔぇる……恐ろしい……パッションってすげぇ
もはや誰得っ!? 僕得だよっ(撲殺
こまけぇこたぁいいんだよっの精神っ
IQ3くらいで頭空っぽにして読んでくださいっ続かないよっ(殴
無断転載及びAI学習はご遠慮くださいますようお願いします(礼
……
うーむ。
唸りながら空を見上げる。
「遅いのう」
ふわふわと浮かぶ雲をのんびりと見つめながら、儂はぽつりと独りごちた。
水木が煙草を買ってくるといってこの場を離れてからもう随分と経つ。あれから長い年月が流れ、今では紙巻きの煙草が売られている方が珍しくなっておる時代である。未だに紙の煙草を愛飲する彼奴のことじゃから、大方遠くまで足を伸ばしておるのは容易に想像がつく。
理解はしつつも、退屈であることに変わりない。
「おや」
待ちくたびれて暇つぶしに周囲に目を向けると。
目に映るのはふわふわとした花の群れ。青々と伸びる草の合間から自らの存在を主張するように鮮やかな花がまるで花束のように咲き乱れておった。確かつつじという花じゃったか。
「懐かしいのう」
一つ。ぷちり、と手折り口へと運ぶ。含んだ瞬間、優しい甘さが口の中へと広がってゆく。
妻と出逢い、ヒトの世へと出てくる前はこうして花の蜜を飯代わりにしておった頃もよくあった。今ではめっきりそのような機会も減ってしまったが。
蜜を吸い終えた花をそのままもしゃもしゃと咀嚼する。懐かしさついでにもうひとつ手折ろうとしたたいみんぐで。
『あ。』
もうひとつ別の手が伸びてきた。
驚いた。素直に驚いた。気配をまるで感じんかったから。
手の主はニンゲンの男じゃった。全身が黒い服でなにやら首にごつい鎖を下げておる。
こちらをじーっと見てくるその男。なにやら、獣のような匂いのする奇妙な男じゃった。
……
もしや、西洋妖怪じゃろうか。
「
……
あ、あー。もしかしてあんたもか?」
はて。どういう意味じゃろうか。
疑問を抱いていおる最中。気まずげに話しかけてくるその男の言葉の真意がわからずこてんと首を傾げる。しかし、儂のことなんぞお構いなしな様子で男は苦笑しながら言葉を続けた。
「お互い苦労するよな。
ま、そーゆー時もあんだろ。あんま気にすんなよ」
「う、うむ」
なにやら励まされてしもうた。
わけがわからず戸惑っておるその間にも。男は別の花を手折りそれを口元へと運び同じように蜜を吸い始めた。
それ以上会話は続かず、仕方ないので儂ももういち輪つつじを手折って口元へと運んだ。
ぽとり。ぽとり。と。
しゃがむ男の足元に吸われた花の残りが1つずつ増えてゆく。
それから間を置かずして。
「またそんなとこでおやつ食べてる」
声が響いた。徐にそちらの方を向いて。
「え。」
ぽろり、と。
今度は儂が口にしていた花が落ちた。
「おやつじゃねー。昼飯だ」
「なお悪いじゃない。
ちゃんとご飯は食べなさいってお兄ちゃんに教わらなかった?」
「金欠なんだよ。
テガソードの里で食おうとしたら竜儀に先にツケ払えって言われてすっからかんになったんだ。後兄ちゃんは関係ねぇ」
「そのお兄ちゃんに頼めばご飯くらいいくらでも食べさせてくれるでしょうに」
「ぜってーヤダっ。代わりに全身傷まみれになんだろーがっ」
「なら真白くんに頼んではちみつ恵んでもらえばいいんでない?」
「よけいに借金増えるだけだろっ」
「そりゃそーだっ」
あははっ。と笑う相手。何やら会話がぽんぽんと進みこちらの口を挟む余地がない。
そんなことよりも。
彼奴が。今目の前におることに。衝撃を受けた。
何故。お主が此処におる。
普段ならばのんびりと脈打つ心の臓がどこどこと忙しなく動く音が聞こえる。
言葉にならず立ち尽くしていたら、目が合った。
「げ。」
一瞬目を見開いたと思ったら、出てきた言葉がそれじゃった。
失礼じゃな。久方ぶりに逢ったというのにその一声はないじゃろ。もしや、逢いたくなかったのか? だとしたら儂しょっくで泣いてしまうんじゃが。
「おまえの知り合いか風鈴?」
相手の反応に些か衝撃を受け怪訝な表情を浮かべると、男が口を挟んできた。どうやら相手の男は此奴の顔見知りであるらしい。なんのためらいもなく、さも当然といった具合にその名を告げる男にもやりとする。
「あー
……
まぁ、うん。知り合い、かなー?」
なんで疑問形なんじゃ。やはり泣いてよいのじゃろうかこれ。
「つれぬのう。共にあれ程の死地をくぐり抜けてきた仲じゃというに」
ようやく口を開けば、またもうげ、と言葉を漏らす相手。本当に失礼じゃ。
「久しぶりじゃのう。嬢や」
「あー
……
はい。お久しぶりですね」
ゲゲ郎さん。
その名を呼ぶのは此の世でたった2人。
どちらも儂にできた貴重なニンゲンの友等。その内の片方。
「まさかこんなところで逢うとはのう。
縁とは本当にわからんものじゃな」
「あー。そーですねー。ほんとスッゴイグウゼンデス」
棒読みなんじゃが。
「あー迷い犬見つけたので私はこのへんで。ほら行くよ吠くん」
「まだ飯の途中ーー」
「奢るからっ。フランクフルト何本でも食べさせてあげるからっ」
「ほんとか!?」
嬢の言葉にあっさりと立ち上がる連れと思しき男。嬉々としているあたりやはりこの男、犬かもしれん。
「じゃーそーゆーことで」
「待たんか」
何をしれっと去ろうとしとるんじゃ。逃がすわけなかろう。
肩をがっしりと掴んで逃げられぬようにする。ぎぎぎ、と首を動かし儂の方を向く相手。
「ナニカゴヨウデスカ」
「用しかないじゃろ」
きっぱりそう告げれば。気まずげに顔を歪める嬢。
「今まで何処におった。何故儂等の前から姿を消した」
「えー。所要で?」
「どんな所要じゃ」
「そこはほら。企業コンプラというもので」
「お為ごかしをいうでない」
「むぅ。ああいえばこういう」
どっちがじゃ。
なおも言い募ろうとした矢先。ずいっと、男が儂と嬢との間に割って入ってきた。
「邪魔をせんでくれんか。
儂はいま其奴と大事な話をしておるんじゃ」
嬢のこともあって些か焦りを感じておったせいでややつっけんどんになってしまう。しかし、男は気にした様子も見せずじっと儂を見てくる。
「あんた。なんかみょーなニオイがするな」
すん、と鼻を鳴らす男に目を見開く。しまいには、ほんとに人間か?と尋ねられ、またも目を見開いてしもうた。
……
この男。やはり。
「ふむ。そういうお主からも常人とは異なる匂いがするのう」
指摘してやれば目を見開く相手の男。その表情をみる限り、やはりヒトではないのやもしれん。
「ストップ」
儂と男が火花を散らしておる最中じゃった。
ずいっと。
儂と男の間に細い腕が伸びてきた。誰のものかは言わずもがな。
「とりあえず吠くん。この人はノーワンじゃないから安心していいよ。加えて厄災でもないからね安易に噛みつかないように」
噛みつくのか。やはり犬かなにかだろうか。
嬢の言葉に渋々ながら折れる相手の男。しかし、向けてくる視線はなにやらまだ疑惑を含んでおった。隙あらば噛みつかんという勢いをみるにやはり犬やもしれん。
「ゲゲ郎さんも。相変わらずニンゲン嫌いなのは考慮しますが、誰それ構わず喧嘩ふっかけるのは感心しませんよ」
嬢にそう言われてはやむを得ん。不承不承ではあるものの引き下がる。
「それはそうと嬢よ。お前さんには聞きたことが山程あるんじゃがなぁ」
告げれば。嬢が嫌そうな顔をした。しかし、この機を逃すわけにはいかん儂はさらに言葉を続けた。
「話してもらおうか。なぁ、嬢や」
今までどうしておったのか。何故突然姿を消したのか。聞きたいことは山程ある。
詰め寄る儂をただ黙ってじっと見てくる嬢。しかし、ふっと、小さく笑って。
「やだね」
強気に笑ってそう返してきおった。
聞き覚えのある言い回し。瞬間、目を見開くも、直ぐに顔をしかめてしまう。
「水木の真似をして誤魔化すでない」
「えーだって。やっぱこれは言っとかないとと思いまして」
笑う嬢に対して眉間の皺が深くなる。
「嬢や。儂は真剣にーー」
話しておると続けようとしたたいみんぐで。
隣にいた男がひくり、と鼻をひくつかせた。嬢も、同じく何かを感じ取ったのか、表情が真剣なものになる。
「吠くん」
「あぁ。ノーワンのニオイだ」
のーわん? なんじゃろうかそれは。
儂だけが会話についてゆけずにいるなかで。嬢と男が互いを見合い頷いておった。
「先に行ってて。後から追いかける」
何やら物言いたげな男。しかし、やむを得ぬと判じたのか、小さく頷いてどこからともなく金色の何かを取り出した。あれは、手か?
『エンゲージっ』
掛け声と同時に。光の輪に包まれ男の姿が変わる。
その様子を目の当たりにしてぽかんとしてしまうのは当然というものじゃろう。
赤い、犬いや、狼のような姿に。姿が変わった瞬間、遠吠えが響いた。
鳴き終えるなり、男は見事な跳躍をみせてあっという間にこの場から去っていった。やはりヒトではないのか?
「そーゆーわけなんでゲゲ郎さん。今の私は思い出話に花を咲かせる暇なんぞありませんので。潔く諦めてください♪」
戸惑う儂を尻目に、にっと、強気で笑う嬢に。儂は言葉が返せずにいた。
「行きますよソーちゃんっ」
『運部風鈴
……
やはりその呼び方はどうにかならないだろうか』
「なりません。変えるつもりもありません」
『うむぅ
……
』
そんな儂を置いて嬢はナニカと話しながら男の後を追って走り去ってゆく。
数分の間に起きた出来事にわけがわからずただ立ち尽くしておるしかできんかった。
「
……
嬢や。それが今お前さんが身を置いておる
場所
せかい
なのか」
とても生き生きとしおった。あの村にいた頃よりもずっと。
彼奴にとっては。あの男と共におる世界の方が居心地が良いということなのじゃろうか。
しかしのう嬢や。お前さんも知っとるじゃろ。
儂が諦めの悪い男じゃと。
「逃さぬよ」
これを逃せば次はいつ巡ってくるかわからん千載一遇の好機。それを無駄にせぬ為にも。
からん、と。
嬢が駆けていった先へと下駄を鳴らした。
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