カレーうどん
2026-04-28 21:21:02
3183文字
Public 五悠
 

【五悠】いつもとなりに ※全年齢

お久しぶりです。
現パロで、 一応お笑いコンビの片割れ五×コンビニバイト店員虎 の話となっております。
かなり短いです。唐突に終わります。

あのエイプリルフールのネタが面白くて……つい書いちゃいました。
よろしくお願いします。

ここは、東京都内にあるコンビニ、[ファンパレマート]。
店長の伊地知潔高(いじちきよたか)が切り盛りしているコンビニである。
水色のラインが引かれた白い看板と、シミ一つもない艶やかな壁面ガラスは、衛生管理をきちんとしている証で。
店内もまた、綺麗に磨かれた白いタイルのフローリングの光沢の反射のおかげで、天井のLEDライトで灯された空間は明るかった。
コンパクトながらも、日常生活に欠かせない食品や日用品は隙間なくびっしりと並べられており。
サービスとして利用されているコピー機やATM、トイレも清潔にお手入れされていた。

このコンビニには、3人の若い学生がバイトとして働いている。
その内の1人、虎杖悠仁(いたどりゆうじ)は消防士を目指す大学生だった。
誰に対しても、笑顔でハキハキと接客ができる大学生は、貴重であった。
最近では内気な若者が多いと、よく聞くのだから。
虎杖は週に4回程度、大学に通っている。
通学のある日の夕方から夜まで、休日だと昼前から夜まで働いていた。
一応週に5日で、シフトを組んでもらっていた。

「いらっしゃいませ!」
「あら虎杖君。夕方なのに元気いいわねー」
「体力が取り柄なんすよ」
「元気があって羨ましいわー。あ、これ下さる?」
「いつものっすね? いいっすよ!」

夕方の常連客である中年のお婆さんの好みも把握できている虎杖。
専用のレジにて会計処理をして、丁寧に袋詰めをした。
お客様が去るまで、笑顔で見送っていた。
老若男女問わず、夕方の[ファンパレマート]は多くの客で賑わっていた。
昼の勤務の人達と協力して仕込んだ商品達は、外が真っ暗になる頃にはすっからかんになっていた。


勤務終了前に、不特定多数の人々が捨てていくゴミ。
店内と外に設置されていたゴミ箱の交換を、虎杖は積極的にしていた。
『普通ゴミ』から『資源ゴミ』まで、ゴミの量は多い。
90リットルの袋が3枚以上は、必要であった。
『資源ゴミ』はペットボトルや缶も多いので、二重にして捨てないと液漏れが発生する。
ゴミ箱自体の汚れにも、気を配らないといけないのだ。
溜まりに溜まったゴミを店の前に一旦出して、バックヤード内の集積ボックスへと一気に運ぼうとすると。

虎杖は店前の駐車場に、目が行った。
1台の黒いワゴン車が、後ろ向きで停車していた。
助手席であろう前席左から、1人の男が車窓を全開にして覗かせている。
男は白い髪の色が特徴的であり、丸いサングラスを掛けていた。
しかし年老いた高齢者ではなく、シワのない若々しい男性であった。
ただ単に車の周りを眺めているだけなら、何の問題もなかった。

車窓の縁に腕を置いた白髪の男性に、ペコペコと謝っている男性がいた。
虎杖は黒髪の濃い茶色のスーツ姿の男性に見覚えがあった。
この[ファンパレマート]に勤務している人間ならば、誰しもが覚えている重要人物であった。

「伊地知店長……?」
何かトラブルでも起きたのか。
虎杖はアルバイトという雇われ人間なのに、店長が気掛かりであった。
バックヤードに持っていくゴミを一旦ゴミ箱前へと寄せておき、店長の伊地知の近くまで歩いていた。

「店長、どうしたんすか?」
「あ、ああ、虎杖君!」
「伊地知ー。まだ話の途中だろ?」
「す、すみません!」
伊地知は頭を低くしていた。
カツアゲされている場面を見た気分だと、虎杖は思っていた。

普段は心優しい店長である伊地知。
彼をいじめる人間だと決めつけて、虎杖はムッとした表情を示した。
「店長にあまり強く当たんなよ」
「い、虎杖君!」
「あ? んだとテメエ。部外者は引っ込んで……

白髪の若い男の言葉は、続かなかった。
口を開いたまま、固まっていた。
サングラス越しに見える青い目も、ちょっぴり大きく開けていた。
「ちょっと、悟?」
運転席らしき位置に座る男が、白髪男の肩に手を置いて揺らしていた。
この男の黒い髪の毛は首元まで伸ばしており、前も左側に目元部分まで垂れ下がっていた。
細い目元でなければ、女性と見間違えてもおかしくない程の美貌だった。

しかし、白髪男は身体を揺らされても、気づかなかった。
ある方へ、夢中になっていた。
視線の先は、伊地知の隣に並び立つ、ピンクのトゲトゲした髪の毛の若い青年。
店長の伊地知を助けにきた、虎杖だった。

「え、あ、あの……五条さん?」
固まる白髪男__五条悟(ごじょうさとる)に怯える伊地知は、反応を窺っていた。
しかし、返事はない。
店長と五条と一緒に同乗している男性からの反応がないので、虎杖から声をかけた。

「ちょっとアンタ、何黙ってんだよ」
「い、虎杖君!」
伊地知が虎杖の前進を阻止する。
店員と客のいざこざは、なるべく避けたいのだ。

だが、虎杖の睨め付けに対して、五条は何の行動を起こさなかった。
否、予想外の行動を起こしたのだ。
五条が車窓の縁を掴み、前のめりになる。
コンビニの店長である伊地知はしまった……と後悔して、両目を瞑った。

が、拳と拳の殴り合いに発展は……しなかった。
一定時間、瞳を閉じていた伊地知。
物音が聞こえないと感じて、怯えた様子で目を開いた。
五条と虎杖の、顔が近い。
互に、ガンを飛ばしているのか……
伊地知の不安が、さらに募るだけだった。

ところが、ここでも伊地知の予想が、裏切られる事になる。
それは、五条のセリフによって現れた。
「お前、名前は?」
「え? 今、何て……
「名前だよ。いた……なんとかって言ったよな?」
「悟!」

黒の長髪男は五条の右肩を掴んだままである。
これ以上の挑発をするな、という警告であろう。
長髪男の思いは虚しく。
五条に迫られている虎杖(恐怖心は抱いていないが)は、正直に名前を答えた。

「虎杖……悠仁。大学生だけど」
「ふーん」
名前を聞いたわりに、関心がなさそうな態度を取った五条だった。
虎杖はまだ、険しい顔つきの状態だった。
内心、腹を立てていた。
これ以上話すと手を出しかねないので、黙っていた。

伊地知が慌てて虎杖の左肩を持つ。
「五条さん。私に免じて、そろそろ……
「まだ用事があんだよ」
「用事、ですか? 彼とは初対面の筈では……
「連絡先」
「え?」
五条以外の周りにいた3人が、一斉に声を出していた。
車外に顔を出していた男は、虎杖の顔面にもっと近づけていた。

「教えろよ、番号。なんならアプリのIDでもいいぜ?」

◎◎◎

伊地知「すみませんでした。虎杖君」
虎杖「店長が謝らなくてもいいっすよ! 俺がやってきたのがよくなかったのかなーって」
伊地知「いえいえ。私が途中で切り上げたら良かったので……
虎杖「それで、あの人達って、誰なんすか?」
伊地知「五条さん達は、私の先輩です」
虎杖「五条……って」
伊地知「お笑いコンビ【祓ったれ本舗】の五条さんと、夏油さんです」
虎杖「マジで? 俺、そんな凄い人から連絡先をくれって言われたんすか!」
伊地知「知ってたんですね」
虎杖「俺、結構テレビをよく観ますんで。お笑い番組を聴き流していたっす」

あーあの時、殴らずに交換しとけば良かったかなー。
コンビニの物で溢れかえった事務室の中で、虎杖はそう呟いていた。

◉◉◉

夏油「はあ……。ダメじゃないか悟」
五条「ああ?」
夏油「伊地知は知っている後輩だからいいんだが、あの子は初対面だろう?」
五条「一目惚れだからいいだろうが」
夏油「同じ事を女性にもしてみなよ。スキャンダルとして週刊誌に追いかけられるよ」
五条「……あー、左のほっぺが痛え」

夏油が運転する大型ワゴンの中。
五条は虎杖の拳で腫れた左頬を、左手で摩っていた。