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七海ななみ
2026-04-28 17:32:16
3804文字
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おじさんの好意はセクハラになり得るのか
ルカキリ。好意を伝える=セクハラになると思って言わないぞとなっているファルカVS絶対に好きだと言わせるマンのフリンズ。フォロワーさんへのお礼リクエスト祭り第二段。セクハラうんぬんは私が練った結果になります。ファルカ可哀想。
西風騎士団大団長という責任のある立場に就くことになり、大団長向けの行動規範が渡された。真面目に読み込むと、セクハラに対する記述があった。
セクハラ、か。そういえば、前に飲んでた時に若い女性が言っていたな。おじさんから告白されて、セクハラって叫んで逃げた、と。
…
これ、俺もおじさんに該当するのでは? ロサリアからもおじさん呼ばわりされてるし。
……
おじさんが好意を伝えたらセクハラか。細心の注意が必要そうだ。それが俺の目指す、騎士の姿だ。心に誓って行動規範を閉じた。
─────────
…
注意しないといけないのに、なんでフリンズに惚れてるんだ、俺。
部下ではないが、同盟を組んでいるライトキーパーに所属している。万が一、俺の好意がセクハラとして受け取られたら、大変な事になる。いや、これ報われない片思いすぎるだろ。泣きたい。鋼の理性を持って、耐えなければ。
「ファルカさん、丁度よかった。フラグシップで飲みませんか?」
フリンズは、俺の心境を知らずに、飲みに誘ってくる。嬉しいけど辛い。でも、飲み仲間だから、断りたくもない。
「
…
おう、行くか!」
大丈夫だ。飲みに誘われたから行くだけだ。
…
酔った勢いで好意を伝えないように注意だけしなければ。
フラグシップに到着すると、デミアンから炎水が入った事を教えてくれた。ウキウキしながら注文する。この、喉を焼けるような強さが堪らない。
「さあファルカさん、もっと飲みましょう!」
「
…
フリンズ、やけに推してくるな?」
「ファルカさんも炎水を飲みたいと仰っていたではありませんか」
…
片思いに自覚する前の話だがな。流石にこのペースで飲み続けると酔い潰れる。
「いや、明日は早番でな」
「アンセムさんから聞きました。明日は非番だそうですね。久々の休暇にはしゃいでいたと、西風騎士の方々も仰っていましたよ」
「
………
なんか、やけに用意周到だな?」
「お褒めいただき光栄です」
逃げ道を塞がれた。そんなに俺を酔わせたいのか? ペースをいくらか落としながら、酔い潰れないように調整して飲む。
警戒心を高めて飲んでいたのに、ぽすん、と寄りかかられて固まった。
「ふ、ふふっ、フリンズ?!」
「えへへ、ひさびさの、ぷらーみあばだー
…
おいしいれす
……
」
確かにフリンズはハイペースで飲んでた! 滑舌が回ってない! 目が蕩けてて可愛い! このままだとセクハラしてしまう!!
そんな俺の葛藤に気付く様子もなく、腕に巻き付いてくる。さらり、と手入れの行き届いた髪が触れる。
「
…
ふぁるかさんの、うで
……
、ふとくて、おっきい
……
」
つー、と傷跡を撫でられ、何かが切れそうになった。
フリンズを抱え、デミアンを呼び止める。
「デミアン、部屋空いてるか?」
「
…
え、ええ
……
どうぞ」
「助かる!」
フリンズを横抱きにして運ぶ。部屋に入り、ベッドに寝かせて扉に退散する。
「今夜はここで解散だな! おやすみフリンズ!!」
バタンッ、と扉を勢いよく閉める。デミアンに会計をして、フラグシップを飛び出した。
人気の無い場所で座り込む。
…
危なかった。セクハラしてしまう所だった。
…
少し興奮してしまったから、冷ましてから帰るか。
────────
…
逃げられた。誰もいないことをいいことに舌打ちをする。
あんなに好意を出していながら、手を出してこないなんて
…
。これは作戦を練った方がよさそうだ。
正攻法で行っても逃げられるなら、外堀を埋めるまでだ。
誰もいないことをいいことに、にやけた口を直さず、布団に潜り込んだ。
……
逃げても無駄ですよ。貴方は永遠に僕のものだ。
───────
なんとかセクハラ親父の不名誉を与えられずに済んだ
…
。げっそりとした表情で休暇を過ごした。部下にこんな表情を見せるわけにはいかない。休暇でよかった
…
。
そう思っていたのに、ピラミダに用事が出来てしまった。勿論、目的はマスターライトキーパーのニキータと情報交換だ。
…
フリンズに会う可能性は、ある。
落ち着け俺。大丈夫だ。フラグシップと違ってピラミダだ。人の目が多い。やらかした時は目撃者も多いが
…
。
ピラミダに到着すると、やけにじろじろと見られていた。かといって不快な視線ではない。何度も来たことあるのに、何故だ
…
?
気になる事もあるが、時間が迫っている。ニキータと会い、目的通り情報交換をした。そろそろ退散するか、という所で呼び止められた。
「その
……
大団長、
……
フリンズの事を、頼んだぞ
………
」
「
…
え、頼むって、何をだ?」
「その
…
フリンズはライトキーパーの重要な戦力だから
…
な、ほどほどにしてくれると、助かる」
「
………
ちょっと待て。何の話だ?」
「何って、フリンズと付き合っているんだろう?」
耳を貸すよう言われて素直に応じると、フリンズと夜の生活についてほどほどにしてほしい、ということだった。
待ってくれ。何がどうなってそうなった
…
?!
叫びたい所をぐっと堪え、人気のない所で詳細を教えて貰うよう乞う。
フラグシップのフリンズが酔っ払った話がネジ曲がり、恋仲で激しい夜を過ごしている、となっているそうだ。そして、フリンズはここ数日、休んでいるので信憑性が増しているらしい。
…
俺、終わったかもしれない。
不幸中の幸いは、セクハラとして受け取られていないくらい、だろうか。でも状況は最悪だ。
ニキータには付き合っていないことと、酔っ払ったフリンズを介抱したが、直ぐに立ち去った事は伝えた。酷く驚かれた。
フリンズは夜明かしの墓にいるらしく、物資を届けても姿を表さないらしい。ニキータに礼を言い、すぐさま夜明かしの墓へと向かう。フリンズにも、伝えなければ
…
!
────────
人目を避けるようにして夜明かしの墓へと向かう。目撃されたら話がどうネジ曲がるのか想像もつかない。
扉をノックすると、気だるそうな声で返事が返ってきた。
「
…
俺だ。ファルカだ。緊急事態になった。開けてくれないか?」
小声で告げると、カチリ、と鍵が開く音がした。恐る恐る扉を開くと、何事もなかったかのように平然としているフリンズがいた。
「
………
フリンズ、ここ数日休んでいると聞いたが、何があった?」
「特に何も」
「
……………
え?」
「最近、休みが溜まっていたので、少し長い休みを取っていただけです」
何ともない回答に、頭を抱えた。タイミングが、悪すぎてこうなるなんて
…
!
フリンズにニキータから聞いた話を伝えると、目をぱちくりさせていた。
…
こんなおじさんと出来てると思われるのも不快だよな
…
すまん。
「何としてでも、誤解を解かなければ
…
」
「解く必要があるのですか?」
「
………
へ?」
「あの夜、激しかったではありませんか」
忘れてしまったのですか?
色気を振り撒きながら、もたれ掛かれる。
…
ちょっと待て。何が起きている? あの夜は何もなかったはずだ。頭がぐるぐるとしてきた。
ぽすん、とベッドに押し倒される。フリンズが俺の身体に股がり、着込んでいるシャツのボタンを外し始めていた。少しずつ露になる白い肌に、目が、離せない。
「ほら、こんな風に、熱い夜を過ごしていたでしょう?」
そんな風に見せつけないでくれ。暴きたくなる
…
!
伸ばそうとした手を下ろす。このままだと、俺は
…
。
「
……
セクハラ親父になりたくない!!」
「
………
はっ?」
俺の自爆に、時が止まってしまった。
────────
なんとか退いてもらい、ボタンは閉めてもらった。
フリンズへのスキンシップがセクハラにならないかハラハラしていた経緯を説明したら、ジト目になりながらあきれ果てていた。
「
……
下らない」
「なんだよそれっ! 俺は真剣に悩んでいたんだぞ!」
「僕が若い女性ならわかりますけど
…
。貴方、僕がそんな繊細でか弱いと思っていたんですか?」
「
……
いや、むしろ背中を預けられるくらい強いと思っているが」
「そうですよね。それに僕は貴方よりも遥かに年上なんですよ? なんでセクハラになると考えていたんですか?」
「
…
確かに」
冷静に言われてみればその通りだ。フリンズは綺麗だが、女性ではない。
…
俺は一体、何を悩んでいたのだろうか。変な脱力感に襲われる。
「
…
で?」
「
……
へっ?」
「僕に何か言うことはないのですか?」
まるで煽るように問いかける姿に腹が立つが、そんな所も好きなんだよなぁ
…
。
「
……
その、
…
フリンズ」
「はい」
「
…………
すき、だ
…
」
変に照れたりしてガキかよ俺は。格好悪いにも程があるだろ。
…
でも、フリンズは嬉しそうに笑っている。
「はい、僕もファルカさんが好きです」
まるで、無垢な笑顔だ。可愛い。
…
そういえば、フリンズの行動を思い返すと、既成事実を作ろうとしていたよな、と冷静になる。もう、遠慮しなくてもいいよな。
ベッドに押し倒す。長い髪が広がって、綺麗だ。
「おや、これはセクハラになるのでは?」
「
…
嫌じゃないくせに。噂を真実にするのも、ありだろ?」
楽しそうに笑う唇を塞ぐ。仕返しにシャツのボタンを外すと、フリンズの手が首に回った。
ほどほどに出来そうにないので、明日はニキータに謝りに行かないとな。
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