ラダは格闘のセンスがある。生前、戦いに身を置いて命の危険があるような生き方をしていたし、本来が狩猟採集をしながら生きていた民族だ。その伴侶だったラダも基礎能力が高い。
かなり動ける。ただし、それは人間の範疇だ。
ランデブー現象と無縁の土地で警察官や軍人、あるいは消防隊員だったら、かなり活躍してくれただろう。
肉体強化や未知の能力、そして場合によっては異形化を扱って襲ってくるダーリンに立ち向かうことができるレベルではない。
最初の立ち回りを終えたあと、小休止を挟んで再び構える。二度目は互いが何をしてくるかわかった状態で、立ち会う。攻撃のパターンや勝ち筋のようなものを、一度目から読みそれに対処することができるのか。
状況判断能力と対処能力を測る。
十分と言うとかなり短く感じるが、コンマ一秒の判断が戦況を分ける緊張状態で過ごすには、かなり長い時間だ。筋肉も酷使する。
休憩を挟んでいても、三回目ともなると体に疲労が焼き付いていく。
疲労し極全状態になった上でどれだけ戦えるのかを測る三回目。
試合を終えた後、少し長めの休憩をとり汗を流す。
悪くはないが、イライジャがスナイパーの利点を捨ててまで前線に出るほどではない。苦痛を与えながらであってもラダを前方に、イライジャを後方に置く方が役に立つ。
だが、これは能力を使わなかった場合だ。
ダーリンと契約をした意味は、その能力を契約者であるファタールも生かすことができることにある。
「次に行く。休んだか?」
「問題ありません。俺は狩人です。動き続けることには慣れています」
「上等。能力を使って、もう一度勝ちに来い」
ラダは何故か躊躇った。
「問題があります」
「なんだ」
「やったことがないので、俺の能力が人体に対してどの程度の強い力を発揮するか、わかりません」
「ああ、そうか……」
クソ真面目な性格が災いしている。このダーリンは己の能力を振るったことがほとんどないのだ。許可があって特定の状況下でしか試したことがない。
確かに、うっかり首の骨を折り曲げてしまうこともあるかもしれない。
「それは問題だな」
まずは能力を正しく把握しなければ、応用はできないだろう。
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