望月 鏡翠
2026-04-27 10:16:06
930文字
Public 日課
 

#2057 ラダとイライジャの訓練 その3

#毎日最低800文字のSSを書く/ダーリンランデヴー!

 ラダは格闘のセンスがある。生前、戦いに身を置いて命の危険があるような生き方をしていたし、本来が狩猟採集をしながら生きていた民族だ。その伴侶だったラダも基礎能力が高い。
 かなり動ける。ただし、それは人間の範疇だ。
 ランデブー現象と無縁の土地で警察官や軍人、あるいは消防隊員だったら、かなり活躍してくれただろう。
 肉体強化や未知の能力、そして場合によっては異形化を扱って襲ってくるダーリンに立ち向かうことができるレベルではない。
 最初の立ち回りを終えたあと、小休止を挟んで再び構える。二度目は互いが何をしてくるかわかった状態で、立ち会う。攻撃のパターンや勝ち筋のようなものを、一度目から読みそれに対処することができるのか。
 状況判断能力と対処能力を測る。
 十分と言うとかなり短く感じるが、コンマ一秒の判断が戦況を分ける緊張状態で過ごすには、かなり長い時間だ。筋肉も酷使する。
 休憩を挟んでいても、三回目ともなると体に疲労が焼き付いていく。
 疲労し極全状態になった上でどれだけ戦えるのかを測る三回目。
 試合を終えた後、少し長めの休憩をとり汗を流す。
 悪くはないが、イライジャがスナイパーの利点を捨ててまで前線に出るほどではない。苦痛を与えながらであってもラダを前方に、イライジャを後方に置く方が役に立つ。
 だが、これは能力を使わなかった場合だ。
 ダーリンと契約をした意味は、その能力を契約者であるファタールも生かすことができることにある。
「次に行く。休んだか?」
「問題ありません。俺は狩人です。動き続けることには慣れています」
「上等。能力を使って、もう一度勝ちに来い」
 ラダは何故か躊躇った。
「問題があります」
「なんだ」
「やったことがないので、俺の能力が人体に対してどの程度の強い力を発揮するか、わかりません」
「ああ、そうか……
 クソ真面目な性格が災いしている。このダーリンは己の能力を振るったことがほとんどないのだ。許可があって特定の状況下でしか試したことがない。
 確かに、うっかり首の骨を折り曲げてしまうこともあるかもしれない。
「それは問題だな」
 まずは能力を正しく把握しなければ、応用はできないだろう。