望月 鏡翠
2026-04-27 09:50:24
926文字
Public 日課
 

#2056 ラダとイライジャの訓練 その2

#毎日最低800文字のSSを書く/ダーリンランデヴー!

 同じく運動着に着替えたイライジャは、体を動かす前のストレッチをしながら、話を始めた。
「俺とお前の相性は良くない」
 ラダだけではあく、そもそもスナイパーという存在とダーリンの相性が悪いのだ。
 遠距離で敵に見つからないようにしなければいけないスナイパーに対し、ダーリンは苦痛を和らげるために相手を目視できる距離に置く必要がある。そのために小部隊もしくは単独行動をするのだが、連れていく必要のない相棒を一人連れていくのは、それだけで敵に見つかるリスクが増す。
 隠れ場所にも二人分の場所を確保するという制限が加わることになる。そしてイライジャは待機のための訓練を受けているが、ラダはそうではないだろう。同行したところで、タラの能力を遠距離支援で運用できるようにならなければ、意味がない。
 役に立つように契約を結んだ。役に立たないなら苦痛の件は無視して、待機を命じることもあり得る。
「つまりイライジャは俺に敵が遠距離にいるときの立ち回りを学ばせたいのですね」
「そういうことだ。能力でなくてもいいぞ。それこそ、スポッターの役目とかな」
「スポッター。イライジャの仕事を学ぶ時に調べました。射撃の支援と射手の安全確保、周囲の状況把握ですね」
 ただしオルドポルターと対ダーリンの犯罪は、戦場とは違う。攻撃対象は集団や組織ではなくダーリン個人だ。背後に回り込まれる可能性も、姿を見つけられる可能性も限りなく低い。
 もしそうなったら、二人では対処できない可能性もあると言うことで、撤退し立て直しが優先されるだろう。
 現状一人で戦えている。スポッターをするというなら、こちらもそれなりのものを要求することになるだろう。
 それを伝えるとラダは唇の端を持ち上げた。
 無邪気さとでも言うのだろうか。時折、彼女は少年のように目の前の状況を楽しむ顔を見せる。
「ですが、ここを指定したからには、目的はミーティングではないのでしょう」
「そうだ。お前が前線で役に立つなら俺が後方支援から前線に出るという選択もある」
「わかりました。未だ武器は決めていませんが、戦闘訓練は受けています。やりましょう」
 拳を構える。
 まずは十分。試合開始の合図がなった。