三毛田
2026-04-26 14:28:09
1064文字
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39 【39/ファンタジックな世界】

39日目
どうせなら、楽しもう!

 ファンシーでファンタジーな世界は、俺たちの異質さを際立たせる。
「穹! 丹恒! 早く早く!」
「三月、前を見ろ。それと、走ると危ないと何度言えば」
 俺がポケーっと周囲を見ている間に、なのはカメラを出に元気に走っていく。
 そして、丹恒が呆れたように追いかけていく。お約束展開。
 カンパニーの手が入っているテーマパークは、大盛況で。入場チケットだって、乗り放題パスだって、簡単には手に入らない。
 星穹列車がピノコニーの株主だからということで、優待券としてチケットをもらえたに過ぎない。とはいえ。
「楽しまなくちゃ損だよな!」
「穹、早く来い。三月が迷子になって、呼び出ししないといけなくなる」
「そんな事しないでよ! 恥ずかしいじゃん! それに、迷子になるのはどちらかというと、穹じゃん」
 いつの間にか買ったらしいテーマパークの被り物を手に、なのは頬を膨らませる。
「これは丹恒。こっちは穹!」
「え〜。何の耳だよ、これ」
「たしかね、アライグマ。丹恒は、多分……犬?」
 丹恒に渡したものの種類が定かでないためか、疑問形だ。
「それならお前はなんなんだ」
「兎! 可愛いウチにぴったり」
 カチューシャになっているそれを装着し、誇るように胸を張る姿は微笑ましい。
 他にもいろいろな種類があるだろうに、なぜこれを選んだのだろうか。気になるところだが、訊ねてところで〝よくわからない! でも、似合うから!〟という元気な返事が来るだけだろうな。
 丹恒と目が合ったので、さっさとカチューシャを装着。はあ。と、ため息をついたあと、彼も頭に装着。なんだかんだノリがいいのだ、この男。
『ノリがいいわけではない。お前たちが相手だからだ』
 なんて返事が来るだろう。
 それならそれでいい。俺たちのことが、大好きだって証だから。
「なんだその顔は」
「えー。どんな顔?」
 鏡がないので、自分がどんな顔をしているかなんて、分からないのだ。
「そのだらしない表情をどうにかしろ。外だ」
「だって」
「なんだ」
「丹恒が、俺たちのこと好きなんだなぁって思ったら嬉しくて。勝手に顔が緩むんだよ」
 一瞬訝しそうな表情を浮かべたけれど、すぐさまため息。
 失礼だな。
「楽しまなくちゃ損だぞ、丹恒。行こう。なのが迷子になっちゃう」
 俺たちが来ていないことに気づくと、彼女は立ち止まってピョンピョン跳ねて。
 本当に兎のようだ。
 丹恒の手を引いて、歩き出す。彼は諦めたように、隣を歩いてくれ。
 本当俺に甘い人。そこも含めて好き。