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まきわ
2026-04-26 10:45:12
3770文字
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クロリン
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もう一回
時期は適当で初夜直後のクロリンです
ベッドから移動しません(?
そっと手を伸ばして隣に眠るリィンの前髪に指先で触れる。
そのままそっと一房を掬い取って、指で優しく梳く。
ふわりとした感触が指の間を通り抜けていくのを感じながらクロウは小さくため息をついた。
(眠れねーー!)
トールズの自由行動日前の深夜である。
ベッド近くにある窓の向こうからは微かに虫の声だけが聞こえてきて、町はすっかり寝静まっているようだった。
少しの間窓を開けたから、先ほどまで寝室にこもっていたどこか艶のある熱気はすっかり落ち着いている
…
のだが、クロウの心は昂った状態のまま鎮まりそうにない。
(後始末してる間に落ち着くかと思ったのによ~~)
今夜、二人は幾多の困難を乗り越えてようやく初めて体を重ねるに至った。
自分も含めどうなることやらと思っていたが一時間ほど前にリィンが見せていた表情や声は思っていた以上にクロウを昂らせて、脳裏から離れてくれそうにない。
(初めてだし、まぁなんとなくお互い良くなれりゃいいかくらいに思ってたが
…
)
思い出して、思わず力が入りそうになった手をリィンの髪から離す。
もちろんなるべく苦痛を与えないよう腐心はした。
それでもどうしたって痛みも苦痛もあるだろうに、それすらも飲み込む勢いでリィンはクロウを受け入れることを悦んでくれた。
(いやもうえろすぎんだろ!!)
当たり前のことだが感じて見せる艶を含んだ表情も喘ぎ声も初めて見るものだったが、その全てがクロウを虜にしたといっても過言ではない。
(初めてだからあんま無理させんのもアレだしってある程度手加減して終わらせたが
…
っく~~~足りね~~!)
体の中で燃え上がるような熱はこうやっていくらじっとしていても、眠ろうと目を閉じて集中しても冷める様子を見せない。
再びため息を漏らしつつもう一度手を伸ばして今度は柔らかそうな白い頬を突いてみる。
「んん
……
」
さすがにリィンはわずかに反応して微かな声を零した。
せっかく疲れて眠ったのを起こすのも良くないし、今の寝惚けたような甘ったるい声も大変よろしくない。
(あーーだめだだめだ)
クロウはそっと寝返りをうってリィンに背を向けた。
(どうすっかな
…
いっそ一回ヌいてくるか
…
?さっきの思い出しながらすりゃあそれなりに
…
)
起き上がろうかと足を布団から出そうともぞつかせた瞬間、ぎゅっとシャツの背中辺りを掴まれた。
「え」
「なんで
…
」
呟くような声に次いで背中に額を擦り寄せるような感覚と、リィンの体温を感じた。
起こしてしまったか、と首だけで振り返るとリィンは縋りつくように背中にくっついてきた。
「なんで背中むけるんだ
…
?俺のこと、嫌いになったのか
…
?」
「は!?なんでそうなる!?」
半分寝ぼけたようでありつつも今にも泣きだしそうな空気を含んだリィンの声に思わず振り向こうとしたものの、背中にしっかり縋りつかれててそれも叶わない。
「さっき満足できなかったのか
…
?おれ、ダメだった
…
?」
どこか甘えるような声で言いながら頭を背に擦りつけられてクロウは『ぐあああ』と心中で悶えるような悲鳴をあげた。
満足できなかったわけでは絶対にないし、良かった、良すぎたからこそもっと欲しいと思うのだが説明すると結論『物足りない』になってしまわないか。
とりあえず沈黙していると更に誤解されそうだったので、心を落ち着け意を決してゆっくりリィンの方へ体を向けた。
「ダメなわけねぇだろ。ダメだったらイケてねぇって、わかんだろ?」
宥める為に努めて優しい声音で言って頭を撫でる。
こうして抱き締めていると更にたまらなくなるのだが、これ以上今日の内に無理をさせるのはよくないので懸命に耐える。
「すごく良かったぜ」
まさか世によく聞くこのセリフを自分が言うことになろうとは。
しかも自分が言うといやに薄っぺらく嘘っぽく聞こえる。
リィンはクロウの胸に顔を押し付けたまま動かないが、また眠ってしまったわけではなさそうだ。
「オレの言う事、信じられねぇか?」
どこに信じられる要素あんねーん!と心の中のベッキーが突っ込んでくるが集中が削がれるので無視する。
「じゃあ
……
」
胸元から消え入りそうな声が聞こえてきて、クロウは少し体を引いて首を傾げた。
「ん?」
聞き返すとリィンはもぞ、と動いて少し体を離したが、顔は伏せたままだ。
「だから
…
もう
…
い
…
かい」
「??ま、まーだだよ?いでっ」
かくれんぼじゃないとばかりに脛が蹴られる。
どうにも顔を伏せているのもあって言葉が聞き取りづらい。
顔を寄せようと見下ろすとリィンの黒髪から覗く耳が真っ赤になっているのが見えた。
「リィン
…
?」
「だ
…
から!だ
…
ダメじゃなかったならもう一回してくれって言ってるんだ!」
やけくそになったのか、熟れきったトマトのような色になった顔を上げてリィンはクロウを見上げてきた。
今度こそその言葉はしっかり全てクロウの耳に届いた。が、想定外すぎて頭が意味を認識しない。
「へ
……
?」
リィンは恥ずかしさにか潤んですらいる瞳でクロウの答えを待っている。
「もう一回
…
?して
…
?
…
いやーはははリィン、今のタイミングでんなこと言ったらもっかい抱いてくれって言ってるみたいに
…
」
「だからそう言ってるんだ」
意を決したリィンは強い。
何故か襟首掴まれながら迫られてクロウは鳩が豆鉄砲を食らったような顔でしばし固まった。
夢かと思うほど、自分に都合のいい展開すぎないだろうか。
それとも物足りなさそうにしているのがバレて気を遣ってくれているのだろうか。
だとしたら乗るわけにはいかないだろう。
「いや
…
でもきつくねぇのか?オレ様のスーパーマグナムを初めて受け入れたばっかだし」
すごく呆れたジト目で見られた。
「まったくすぐそうやってふざける
…
。
…
まぁその、苦しくなかったかって言われれば苦しいって感じる部分はもちろんあったんだけど」
リィンはまた恥ずかしそうに頬を染めて視線を逸らした。
「でも
…
クロウ
…
を受け入れてるんだって
…
これがクロウなんだって体で感じたら、その、すごく幸せで満たされたような気持ちになって。嬉しくて、だからもっと
…
もっと感じたいって思っちゃ
……
なんか当たってるんだが」
「当てるだろんなこと言われたら!
…
おい、リィン」
クロウは真剣な面持ちで起き上がり、そのままリィンに覆いかぶさった。
「え?あ、クロウ?」
「そこまで言って、冗談でしたーっつってももう聞けねぇからな?」
凄みすら感じるクロウの勢いに一瞬リィンは言葉を詰まらせたようだが、すぐに真っすぐな視線で見つめ返してきた。
「冗談なんかじゃない。それよりクロウの方こそ本当にいいのか
…
?」
よほど満足してなさそうに見えたのか、まだ遠慮する様子を見せるリィンにクロウは不敵な笑みを返した。
「なんだ、淡泊すぎたか?なら今度はねっとーりシてやろうか」
「なっ、なんだそれ。というかその
…
クロウがどうなのか、見てる余裕がなかったんだ。だから心配で
…
」
「余裕で言うならオレもなかったけどな。たまんなくなって激しくしそうになるのを抑えるので手一杯でな」
「そうなのか
…
?」
リィンは信じられないという顔でクロウを見上げて、それからベッドに突いたクロウの両腕にそっと触れた。
「なら、今度は我慢しないでくれていい。それに
…
足りなかったらちゃんと言ってほしい。できるだけ、応えたいから」
真摯で懸命なリィンの言葉は嬉しかったが、クロウは困ったように眉を寄せた。
「つってもな。オレの性欲が満たせりゃいいってもんでもねぇし、お前に苦痛を与えたいわけでもねーし」
「それはわかってる。本当に無理だったら言うし、抑えてほしかったらそう言う。でも
……
もっとクロウの感情を全部俺にぶつけてほしいんだ」
「~~~~っ、オレが溜め込んでたもんがどんだけでかいかわかってねぇだろ」
挑発するようにそう返すとリィンはふっと挑戦的な笑みを浮かべた。
「それで言うなら絶対俺の方が大きい。もう叶わないと知りながら恋焦がれた時間を舐めてもらっちゃ困るな」
しばしそのまま睨み合うかのように見つめ合う。
……
先に表情を緩めたのはクロウの方だった。
「んじゃ、遠慮なくいただかせてもらうぜ」
そう宣言してまずはキスをと顔を近づけたところでリィンの手のひらに邪魔された。
「ぶっ
…
なんで?!」
「い、いやその。
…
俺は言ったぞ、もっとほしいって。
…
クロウだけ言わないのはずるい」
拗ねた顔で見上げられて、可愛すぎんだろ!!と悶え転がりたくなるのも、そのまま押さえつけてめちゃくちゃにしたくなる衝動も抑えてなんとかかっこつけた顔を保つ。
「
……
ったく、甘ったれめ」
息をついて、耳元に口を寄せて囁いた。
「
…
ほんとはもっとしたくてしたくてたまんなかった。このまま朝まで、オレのものでいてくれ」
リィンはくすぐったそうにふる、と小さく体を震わせてから、そっと両手をクロウの頬に当てた。
「
…
ずっとクロウのものだよ」
直後、噛みつくような勢いでキスしてしまったのは仕方がないと思う。
そしてかっこつけたくせに『もう無理』と言われても押し通してやりすぎたことも
……
仕方がないので許してほしいとクロウは思った。
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