三毛田
2026-04-24 22:13:16
1068文字
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37 【37/時速60km】

37日目
恋心は止まらない!

「時速六十キロって、結構速いよな?」
「そうだな。二輪の原付だと、その半分の三十だからな。車でも、それだけ出ていれば早く感じる」
「丹恒のバイクって?」
「二種と呼ばれるものだから、六十まだなら制限に引っかからない」
「難しいな……俺、原付の免許すら取れない気がする」
「お前なら、大丈夫だ」
 自動車の教本を眺めながら、言葉を俺へと向けてきて。
 丹恒から信頼を寄せられると、胸がキュンキュンするし、自信につながる。でも、知識があっても、実際に乗ってみたらダメだったりとか。
 それが一番困るよなぁ。
「頑張れ」
「頑張るぅ」
 教本を隅から隅まで読み、丹恒と別れて自動車学校の迎えの車に乗り込む。
 座学を終えたら教習者に乗り込み、実際に運転して。
 今日の予定を終えて、家の近くまで送ってもらい。
「ただいまぁ」
「おかえり」
 丹恒とルームシェアしている部屋に帰ってくれば、優しい声色が出迎えてくれて。
「たんこぉ……緊張したよぉ」
 靴を脱いで揃えてから、丹恒に抱き着く。
「お疲れ様。よく頑張ったな」
 優しく頭を撫でてくれる。本当丹恒は、優しい。
「俺の恋心は、もっと速いから」
 キョトンとした表情で、俺の頭を撫でていた手を止めて。
 それから、何かを考えるように視線が斜め上を行ったり来たり。
「なるほど」
 俺が自動車学校に行く直前に交わしていた言葉を思い出したのか、ふっと柔らかく笑い。
「あまり早すぎると、ぶつかった時に怪我をするぞ?」
「丹恒に当たって怪我をするなら、本望! っていうか、お前ならその胸で受け止めてくれるだろ? いてっ」
 上目遣いに告げれば、額を弾かれた。
「痛いよ~」
「自業自得だ」
「むぅ……
「腹が減っているだろう? 料理はすでに用意してあるから、手洗いを済ませて来い」
「はぁい。あ、お風呂に入っても?」
「好きにしろ。ただ、そう言うと思っていたから、後は温めればいい状態にしてある」
「流石丹恒先生! じゃあ、お待たせしてしまいますが、入らせてください」
「ああ。ゆっくり入って来い」
 何というか、このやり取り新婚さんみたいだなぁ。なんて思ってしまい。
「てっ」
「いいからさっさと入って来い」
 それが伝わったのかどうなのかわからないが、ほんのり頬を赤く染めた丹恒に、背中を叩かれてしまう。
「丹恒可愛いところあるんだなぁ」
 なんて呟いたら、睨まれた。これ以上色々されたくないので、さっさと風呂へ。
「ふい~」
 ゆっくり湯船に浸かって体を温めて出て、二人で夕飯を。