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syanpon
2026-04-23 23:59:24
1641文字
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クリーニングのために3着ある
オトスバ
現パロ
惚れた方が負けという言葉がある。スバルの恋人という座に無事に収まってからはというものその言葉が脳裏をよぎる回数が格段に増えた。
コロコロ変わる表情を愛しいと思うし誰かを放っておけない不器用さは自分にはない美点だと思う。よく回る口に合わせてパタパタと元気よく動く手足が自分にくっつくときだけ静かになるのは流石にちょっと反則だと思ったりもする。
ただ、そんな愛した相手でもオットーにだって限界はある。例えば、特注のスーツをおろした時だとか。
「イケメンにしか許されないスーツ着てる! オットーが! オットーのくせに!」
「オットーのくせにってなんですか! ふふんいいでしょう細部にまでこだわった特注品ですよ」
「
……
なんか成金みたい」
「成金!?」
「なあなあ成金っぽいこと言って! 『今日のディナーはザギンでシースーですかね
……
』って言って言って言って!」
「い、や、ですよ!」
「なんで! 言って言って言って言って!」
「なんでそんなに変なこと言わせたがるんだあんたは!」
ソファの上でぼんぼんと跳ねながら駄々をこねるスバルに対しため息をつく。確かに自分にしては少し攻めたデザインだったかもしれないがほんの少し、ほんの少しだけスバルにかっこいいなんて言ってもらえるのではないか、なんて打算もあったのだ。
揶揄われていることに対して恥ずかしさなのか怒りなのか耳の先まで熱をもっている。髪の毛をガシガシとかき混ぜるフリをして顔の熱を冷ましつつ、大きく息を吸って吐いた。
いくらか冷えた頭でスバルが座っているソファに再度目をやる。先程まで元気よく跳ねていた姿が嘘のように膝を抱えて丸くなっているスバルが視界に入る。
「なに丸くなってるんですか」
「べつに」
「さっきまでとテンション違いすぎて調子が狂うなぁ」
足を進めてスバルの横に座ろうとソファに腰を下ろすとじわりと距離を取られる。離れた距離の分近寄ればさらに距離を取られる。そうしてソファの端に追い込まれたスバルはさらにぎゅうっと縮こまってしまう。立ち上がって逃げないのがスバルらしいと思うし愚かだなあとも思う。
「どうしたんです」
「
……
」
「なーつきさん」
「チャラにならない」
「?」
「成金みたいな変なこと言ってくれないとチャラにならないだろそれ」
「えっ、と
……
? え、まだ言わせようとしてる!? 言わないから拗ねてるんですか!?」
「かー! 俺が家出しようとしたりしたらコンマで気がつくくせに鈍いやつだな! よくお似合いで悔しいって言ってんの!」
オットーはぱちくりとまばたきをした。スバルの赤くなった顔につられて再度顔に熱が集まるのを感じる。それとともに口元の筋肉が勝手に緩むのを感じた。
「それってよく似合ってるって意味ですよね? へへ
……
」
「うるさいうるさいうるさい! 近寄るな! さっさと脱げ! クローゼットにしまって2度と着るな
……
ん、んんぅ」
逃げ場も虚勢もなくなった年下の恋人の唇を塞いでしまうことなんてオットーには容易いことだ。咄嗟にスーツを握りしめた指先が皺になるのを恐れてかぱっと離されたのをみて唇を離さないまま吐息で笑ってそのまま組み敷く。こういう時のために大きなソファを買ったのだ。これから起こることを予測したのだろう、キスをされてぽやぽやとしていたスバルが身体の下でもぞもぞと動くのをやんわりと抑え込む。
「ナツキさんはこの姿がお気に召したようなので今日はこのまましましょうか。明日になる頃には嫌でもなれますよ」
「いやいやいやいや一張羅、だろ」
「そうですねえ。特注です」
「なら汚したらだめ
……
じゃん?」
「ナツキさん、このスーツなんですけど」
ぎゅうっと身体全部をつかって抱きしめてそのまま林檎のように売れて赤くなった頬に口付けをおくる。ぐんにゃりと身体の力が抜けきっていて口先だけ、形だけの抵抗をおくる恋人にオットーは楽しげな声で囁いた。
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