三毛田
2026-04-23 22:16:49
1075文字
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36 【36/ありがとうを言おう】

36日目
お礼を口にするということ

「ありがとう!」
「どういたしまして」
 礼を伝えても、相変わらず淡々としている。
 まあそこも含めて、丹恒のいいところなんだけどさぁ。
「なんだ」
「んー? 丹恒のそういうところも、好きだなぁって」
「前々から思っていたが、お前は変わっているな」
「失礼だな~」
 むすっと頬を膨らませるも、彼の反応はいまいち。
 ちぇっ。
「ああ、そうだ」
「なに?」
「俺からも、ありがとうを。お前のお陰で、だいぶ楽が出来た」
「う、うん」
 お礼を口にした時、いつもより表情が柔らかい感じに見えて。
 胸が高鳴ったけれど、きっとちょっと疲れているのだ。そう自分に言い聞かせることしか出来ず。
「穹。どうした?」
「にゃ、にゃんでもありません! 俺、部屋に戻る!!」
 何か段々変な気持ちになって、資料室を飛び出す。
「走るとパムに叱られるからな」
 呆れた声が背中から投げかけられ、ラウンジに入る前に足踏みをして気持ちを落ち着ける。
 深呼吸を数回繰り返し、
「パム、ただいま!」
「おかえり。今日はどうじゃった?」
「ちょっと楽しかった! でも、まだまだ慣れないなぁって」
「そう思うことは、悪くない事じゃ。つまり、オマエに伸びしろがあるということ」
「そうかな? まあ、色々な人を見てきたパムがそう言うなら、そうなのかも」
「うむ。お前の部屋の冷蔵庫に、おやつを入れてお宝後で食べるとよい。夕飯は食べに来るか?」
「うん。食べにくるよ」
「分かった。用意しておく」
 ということは、今日のご飯はいつもと違うのかも。
 パムと別れて、自室へ。
 外に出かけて帰ってきた汚れを落とし、お風呂でゆっくり。その後全身を拭いて髪の毛も乾かす。
 この間、湿ったままでなのに会ったら、ちゃんと乾かさないと駄目だと怒られたので。
 ベッドに寝転がると、寝ちゃいそうだ他ので水分補給をしてからご飯へ。
「あ、丹恒。珍しい」
「パムに引きずられてきた」
「なるほど。一緒に食わないか?」
「構わない」
「ありがとう」
 お礼を告げると、何でそんなことを? という表情を浮かべ。
「だって。丹恒は嫌だったら、嫌だって言うだろ?」
「当たり前だ」
「だから、俺と一緒にご飯を食べてくれるから、ありがとう。って」
「そういうことか」
 俺の説明に納得したように頷き、席に着く。
 今日は俺たち以外にも人がいっぱいいて。あまり顔を合わせない人たちよりも、顔見知りな人の隣にいたい。
 だから、丹恒が了承してくれて助かった。
「ほれ。オマエたちの分じゃ」
「ありがとう、パム」