大学芋
2026-04-21 22:11:20
5396文字
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De.Light 短編集一話目 それは誰の為の復讐か

 FGOぐだぐだジエンド前の藤堂平助の外からみた復讐心の話
 登場人物 勝海舟 原田左之助

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本編↓
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それは誰の為の復讐か


 一八六〇年代の京都。何の因果なのか原田左之助はそこで呼ばれ、本当に何の因果なのか勝海舟に拾われ、新選組局長、近藤勇と藤堂平助、そして近藤勇と藤堂平助に協力している弾正とひと悶着ありながら協力する事にした原田は、今現在ニュー新選組の屯所で勝海舟とペットボトルの茶を飲んでいた。なにせやる事が京の町の見回りぐらいで、他にやる事と言ったら読書やなまらないように槍の鍛錬や勝海舟の護衛ぐらいである。
 たまに屯所に近藤が藤堂一緒に来て勝海舟と共に話し合いをして帰っていくが、大抵は弾正に対しての考えや、近藤たちの立ち回りをどうするかの確認と試合稽古ぐらいだ。
 ただ毎朝、藤堂は勝海舟に情報提供と監視という護衛として、時間がある時は勝海舟の周りの世話を焼いている。
 勝は勝で、時たま町にでて原田とは違う方向性で情報収集をしていたり、何やら準備をしているようだが、藤堂はそれを咎めるどころかむしろ協力的であり、自由にさせているようだった。
 原田も原田でその恩恵にあずかってるといえばいいのか、それともどうでもいいのか、別の何かがあるのか、藤堂は原田に対して自由にしている。
 意見に対して反対な言葉はいいつつも、仕事をさせないというよりは、その仕事は原田には合ってないから違う方向性へと提案するという形をとっている時点で自由意志を尊重してくれるのはありがたかったが、本当に平助はそれでいいのか? と二度も確認するほどだった。あの時の藤堂の顔はさぞ当然の様に肯定してくるもんだから調子が狂ったというのもある。

 まぁことのつまりは、勝海舟も原田左之助も暇になってしまい、屯所に用意されたお茶を飲みながら雑談をするしか暇潰しを思いつかなかったのだ。

「原田君、生前の藤堂君って今みたいな感じじゃなかったんだよね。昔はどういう子だったの?」
「平助っすか? 経歴とかを聞きたいわけじゃないんっすよね」
「あぁいらないいらない、それは散々読んだから知ってる、聞きたいのは内面のほうだよ」
「内面っすか………

 正直原田にしてみれば今も昔も藤堂の性格が変わったという感じはみられない。むしろ油小路事件の事を思えば、関わりを極力避けられても不思議ではないが、それすらなかったのだ。でも確かに今と昔では違う部分はあるのは確かに感じとれるのだ。
 試衛館から新選組の頃の思い出を色々と頭の中から原田は漁って、藤堂はどういう人間だったかを少しずつ思い出すように口にだしてみる。

「そうっすね、俺よりよく周りを記録していて、指導は煽る癖にねちっこくて、押し切られると断れなくて、許せない事があれば相手が音を上げるまでやりつづける馬鹿で、自分自身さえも嘘をつくどうしようもない奴で、それでいて思考が違う方向にぶっ飛んでいくせいであいつが思ってた予想と違う勘違いされる事も多々あって……

 不意に京へ旅立った時の事や、永倉と一緒に町へ出て行ったことが過る。

「自分の事で精一杯のはずなのに、俺たちや周りに気を使って引っ張っていく癖に、自分の事に関しては本当に点で迷ってばかりでしたよ」

 あの頃の藤堂は本当に喜怒哀楽が激しく、それでいて永倉に引っ張れながらもどさくさに原田を自然と巻き込む困ったやつではあるが楽しくて、それでいて自分の事になると何処へ行けばいいのかと迷い猫のような表情でここでいいのかと妙に自信がなさげに聞いてくるそんな人物だった。
 今にして思えば、藤堂はここにいていい理由を必死に探していただけかもしれないけれども。

「そうか今はもう躊躇がないってことなのか……

 だからかぁと頭をがじがじとさせる勝を原田は見つつ、どういうことすっか?と疑問を投げかけた。

「つまり今の藤堂君って、迷う材料がもうなくなったって事でしょ、それは生前のつっかえが取れたともとれる。怖いよぉああいう他人の為に自分を犠牲を選択できる事に迷いがない人間は、最終的に本当に効率的で正論でしかないモノをぶつけにくるんだから反論の余地が少なすぎてこまるぐらいだよ。今の近藤君のほうがまだマシっ」
「それ昔の近藤さんはマシじゃないってことっすか?」
「痛い所突くねぇ。まぁ近藤君はねぇ。あれは居たら確実に本人の意思関係なく組織や世界を破壊するタイプだからなぁ。今言う所のサークルクラッシャーならぬ組織クラッシャーっていうやつ」
「小さすぎやしませんか? もうちょっと言うのであれば勢力クラッシャーって言うべきっす」
「規模思いっきりデカくしないでくれる!? まぁそれぐらいあったけどさぁ!!」

 勝が言いたい事はわかる、原田も原田で生前の近藤は善人すぎて近寄りがたい存在だった。
 今の近藤はそれがだいぶ薄くなってる。何がと言われれば原田からすれば説明が難しいが、昔と違う存在だという事だけしかわからなかった。

「話を元にもどすけど、他人の為に命を使うという事は、そりゃ当然に復讐だって他人の為に行動するだろう。でもねああいう人間程、全人類の為とかじゃなく、身近な人、もしくは友人や家族の為に復讐を行い続ける。わかるかい? 自分自身の新選組の根源を消し去ってもいいと思えるほどの復讐だ、それぐらいを賭けてもいいということはそれほどに大事にしたものを壊された恨みとも言ってとれる。それを考えても一体藤堂君は誰の為に復讐をしてるんだろうかってね」
「その流れだと普通に御陵衛士じゃないんですか?」
「うんなわけないだろう、御陵衛士の方の復讐はもう決着がついている。わざわざ生き残りが近藤君を撃ったのも含めて近藤くんが斬首したことで新選組は壊滅した。それ以上の復讐なんてないだろうさ。まぁそれを考えても藤堂君が復讐者アヴェンジャーという霊基になるのが本当にありえないんだけど」
復讐者アヴェンジャーは復讐がしたいからなるんじゃないんっすか?」
「それだったら幕末の英雄は全員復讐者アヴェンジャーになる資格もっとるでしょうが
 僕たち英雄は人々の信仰や想念で精霊の領域まで押し上げた守護者だ。
 それを考えるとしたら、あくまでも仮説だけれども復讐者アヴェンジャーのクラス定義は君たち英雄側がどんなに御陵衛士や薩摩や長州は復讐を望んでるに違いない、とかじゃなく、此処地球に住んでる人々が“人類に復讐する権利がある・もしくは人類の復讐を望んでいるに違いない”その記録が抽出されて復讐者アヴェンジャーのクラスに選定される。のが近いとおもうんだよねぇ
 それを考えても藤堂君が復讐者アヴェンジャーになるのは、どう考えたって別の影響がないとおかしいでしょ」

 確かに納得できる話だ、特に幕末時代は本当に幕府や藩が裏切って裏切られて、寝返って、目的が変動しすぎる激動の時代であった。新選組もその中に入っているのであれば確かに復讐者アヴェンジャーのクラスがないのも頷ける。なにせ現代の評価では誠を最後に貫いた侍だった、最後まで殺戮者であったと評価が混沌としているのである。藤堂平助に関していえば、彼がいなければ新選組は内部分裂をせずに済んだというものまであるのだ。それを考えても復讐者アヴェンジャーの資格はないだろう。
 つまり、藤堂が復讐者アヴェンジャーのクラスになってるのは消極的絞ればにマガツヒノカミの影響でしかない。

「あぁだからマガツヒノカミの影響のせいで復讐者アヴェンジャーになっているのであれば、藤堂の自身が自分自身を消したいほどの復讐理由が見つからない事に繋がるんっすね……それは確かに……

 普通に考えれば、藤堂の縁が深い伊東甲子太郎と服部武雄を殺した土方歳三や沖田総司、御陵衛士を裏切った斎藤一に対しての復讐だろうが、それならその三人を根源から消してしまえばいい話なのだ。
 新選組自体を消す必要など全く皆無なのである。
 同時に、人類に対しての復讐にしては、新選組自体を消しても無意味に等しい。似たような組織は江戸にもあったし、新選組を消したとしても人類にほんの少しの影響を与えるだけであって、深く抉るほどのモノではないからだ。

 そう、今にして思えば、藤堂は誰に対して、誰の為に復讐したいのかを明確に明示していない。
 
「マガツヒノカミの影響って今の平助は何処までいってるんです?」
「心理的影響で言うのであれば、今現在の藤堂君はマガツヒノカミに対して共感して同調しすぎてるせいか多少の人間嫌いと人間不信で済んでるぐらいだよ。信じらんないけどね、普通は気が狂ってバーサーカーになってもおかしくないレベルだ」
「は? じゃああの近藤さんと平助は何で狂ってないんです? 弾正の改造の成果ってことっすか?」
「うんなわけないだろ、あの弾正くんでさえ狂戦士バーサーカーだよ? 近藤君はあれは僕にとっても多分弾正君でさえ予想外の特殊事情、藤堂君の場合は彼自身の処理能力の高さと間接的にだとは思うけどマガツヒノカミを何かしら何とかした影響だろうね。なんで彼復讐者アヴェンジャーなんだろうね、性格的にも能力的にもどう見てもやってること裁定者ルーラー剣士セイバーすぎない?」

 ふっと、原田は昔の壬生狼士組の時の藤堂と組んだ時を思い出す。
 そういえば、敵に対しての言いがかりに永倉新八が切れる前に藤堂がにこやかに説教し始めて、しまいには永倉の方が藤堂を拳骨で止めたのを思い出した。
 今思うとあれは堪忍袋の緒が切れた行動そのものだと思えば、藤堂は神に対しても切れれば説教する人間であったと……それはつまり、藤堂は何かしらの怒りを抱えてると考えられるが、やはりそこで行き詰ってしまうのである。

「マガツヒノカミの影響ってなんとか少なくする方法って今の所見つかってないんっすよね?」
「近藤君はどうにかなるだろうけど、藤堂君は難しいだろうね、ただでさえマガツヒノカミの影響を色濃く受けてるし、藤堂君自身が弾正に操られる可能性も考えて更に肉体改造を加えてしまってるから、正直マガツヒノカミの力がなければ藤堂君の体が動かない可能性が否定できないのがなぁ、それに弾正君の信用をあえて得るために積極的にマガツヒノカミを受けようとするだろうねぇ今の状態だと、困ったもんだ」

 勝は溜息をつきながら、ペットボトルの蓋を開けて中のお茶を飲み、喉を潤す。
 原田の方を見てみれば、ペットボトルは中身が出るか出ないかの具合で変形していた。
 
「もしかして何とか今の藤堂くんや近藤君を救おうとしてる?
 やめとけやめとけ、本当に助けたいなら、今は尚更にだめだ。
 それに復讐者アヴェンジャーに対して助けたいと思うのであれば尚更に哀れみや同情心や義務感で助けたら、更に加熱しちゃって自滅する結果になる。
 かわいそうだ、哀れだ、ルールだからとかで助けてみなさいよ、復讐に燃えてる人間にすりゃ、知ったこっちゃないし、負の感情で助けられても自分の心が助かりたいだけだろうと見透かされるだけだとも。
 本当に彼を助けたいと思うのなら、自分自身の欲望エゴだけで、何の利益も、損しかない状態で行うべきだ。
 それにね、今の彼を助けるって言うのであれば助けた後も支え続ける覚悟があれば別だけども、今皆そういう余裕ないだろう?
ただでさえ弾正君の思惑が分からない以上、今は無暗に行動しないで地道にコツコツと行くのが一番だよ」
「でもそれ遅過ぎたら全部手遅れってことないっすか?」
「嫌な所を突くねぇ! それがないように今藤堂君と近藤君と協力して聖杯戦争の知識とか神々についての資料を片っ端から調べてるんだから勘弁してくれよ、ただでさえこの年代で西洋の魔術書とか戦国時代以降の資料、仕入れるの大変なんだから!」

 道理で原田が知らない事を色々と知ってるわけである。一体何処まで調べ尽くしているのやら、潰れたペットボトルを少し戻しながら蓋を開けお茶を飲む。
 いつもならあまり感じない苦味が、喉を通り抜け腹に居続けてる気がした。

「本当ままならないっすね、他人巻きこまないで一人で全部やりゃクッソめんどくさくなくすんだってんのに」
「それが出来ないから脅迫まがいの契約してるんでしょうが、本人からしたら全く自覚がないのが問題だけども。いやまぁ弾正君ガワしか見てないのも相まって破城してることに気づけてないのもなぁ……
「すごいっすね。もう最初っからぐだぐだだ。いっその事、計画白紙にした方がマシっすね」
「同意したくないけど同意しかない……

 二人とも深いため息をつきながらそれぞれ考えを巡らせる。
 片や自身の行いの後悔の答えを探す為に
 片や自身が過去出来なかった悔いをもう一度やり直す為に
 
 復讐の炎は一体どこへ向かっているのか分からないまま。
 窓の小鳥達はのんきにさえずりながら、午後が終わる。

 そのさえずりが、まるで道化が嘲笑うかのような不気味さの前兆に見えた原田は、もう同じ間違いを繰り返すまいと決意を新たにするのであった。


 すべての前提が崩れるとは 誰も思わないまま
 例え流星火になろうとも
 何処までも何処までも星火は燃え続ける
 流転するまで何処までも