小説における「これはどういう話なのか」を読み進めながら知っていってほしい、の気持ちでネタバレを控えていた読者の気持ち
映画だと世界の危機!未知との遭遇!なんで俺はここにいる!?からの「何のために命をかけるか」のテーマがだんだんと浮き出てくる形で、初読と同じ感触を味わえて映画がうまい
……となった
グレースがアチアチのロッキーを助けるとか、餓死が確定する未来に腹を決めてロッキーを救いに踵を返すグレースとか そこでタウメーバが突破口になるとか 描写や展開がもちろん端折られてる部分はあるんだけど、それでもあれだけの話がちゃんとまとまっててほんとすごい 映画がうめ〜〜
ここはどこで自分は誰か、この死体はなんなのか、のミステリ部分とか、本格SF、官僚たちの立ち回りや泣く泣く温暖化を促進させる気候学者の悲しみの人間劇、そして熱いバディもの
原作っていろんなテーマとジャンルがギュッとしてて読み進めながらいろいろ浴びていく感じだけど、映像化にあたって「相棒のために命をかけると決心するまで」の話としてテーマを絞ったのかな〜と思う
決断に重きを置いたのと、激熱バディもの部分に焦点を合わせることで2時間半におさめる手腕 感服でございます
映画観てから原作読む人も観測したいな〜 原作ではさらに多くの苦難が登場(ストラットの圧もすごい)
ヤオ船長とイリュヒナの荷物開けるあたりからずっと泣いていたので、ずっと泣いていました
映像の美しさにも泣いてた ペトロヴァラインを浴びるシーン綺麗だった
……
あとやっぱりブリップAからのパスを取るグレースの姿 映像で見たらウワァーーー!!!なった あそこでタイトルバーン!を幻視したような気持ちになったけど、出てなかった(後述)
アルマンド
……は医療ロボットアーム部分というよりヘイルメアリー全体の人工知能だと思ってるけどどうなんでしょう
もしあのままグレースとアルマンドだけの旅路の場合、レッド・リアリティ(SCP-3001)に成り得たよなと思った ロッキーが来てくれてよかったよほんとに
ストラットが 文面であんなに怜悧で、鋭利で、恐ろしくて、読んでるときもその後もイメージがうまくできずに声を持つ意思のかたまりのように感じていたのだけれど
映画で人の姿で現れて、人間らしさを見せながらもやっぱりその決断には迷いはないんだけど
…………ちゃんと人間として存在してたんだな〜と思って
……かっこよくて
……一挙手一投足にメチャクチャ泣いてしまった
……
情はあるけど、最大多数の生存のための決断をたった1人で、最速で出力し続けている
事前にカラオケの語を見ていたためエ???何???と思いながら臨みましたがしっかりドカ泣きしました
情に揺られて下す決断だから尊いのではなく、情はあるけど流されることは決してない、そうあり続けるストラットだから世界を救えるんだァ〜〜
想定外に彼女に入れ込んでしまったので余計にラストよかったな
……グレースのパスを受け取ったのが貴女でうれしいよ それでこそ
カール、すご しばらく観ててウオオ粋ッ粋ッ!エーン好き〜〜
………………あれっオリキャラじゃね!!!?の驚愕があった 映画がうめ〜よ
地上にいる側スタッフ、原作でいうとディミトリさんが素直に良い人として受け取れるよう描かれてたと記憶しているしグレースもそう思ってたはずだけど
彼が出てこないぶん、柔らかい人格、ふるまいがカールや周りのスタッフ(そしてストラット)に割り振られた感じになり、結果として原作よりちょっと空気が和らいだ ギスリティの緩和
ラストのストラットもそうだし、エリドでのグレースがメチャ元気で快適そうなのもそうだけど、よりいっそう翳りなくハピエンですごい
失ってしまったもの以外の不確定部分はぜんぶ取り戻していけ おれは愛や夢と世界を天秤にかけたうえで両方救ってみせるような強欲なハッピーエンドが
……大好き!! 知恵と機転と技術がそれを叶える 最強であれ
アルマンドがそばにいてくれて、エイドリアンも最高ドーム作ってなかよし相棒たちを見守ってくれてるし グレースの周りが賑やかでうれしいよ〜〜
タイトルが最後に出る そうかこれまで出てなかったんだ!!?
彼らの人生はこれからも続いていく、さて劇中で歩んだこの時間を物語として名付けるならば
この出し方も、「これはどういう話なのか」を読み進めながら知っていってほしい、=読み終えた後で初めてこれがどういう話だったのか知るのだ、の読者感情へのアンサーだったりするのかな
……と勝手に嬉しかった
書き忘れてた!
声いいな〜〜!!最初いろいろ声試して決定してフ〜ン?みたいな感じだったけど、フラットな機械翻訳音声に、速度や勢いの違いでほんの少し感情が乗って聞こえるような、そんな演技
……ピッタリだ
……声優ってすごいよな〜〜とパンフめくったら操演の人でひっくり返った すご そんな ワンワンみたいな(チョーさん)
その場で声入れてたってスゲ〜な だからこそのシンクロ感なのでしょうね
……
そして2回目観た!の追記
サーバーにお菓子を供えて祈るみたいに
グレースがよく使っててエリドにも持っていってるブランケット、虫さんが描いてあるねえ
…………と思ってたがチラッと招き猫や四つ葉のクローバーも見えた気がする 自信ないけど
もしかしてスカラベなんだろうか(虫さんがダメすぎるため検索、できず
……)
世界中の幸運のモチーフをパッチワークしたのかな 手作り感もある
世界最高峰の頭脳たちが作り上げた計画が“神頼み”の名を冠していたり ヘイルメアリーが幸運のモチーフや子供たちの絵を載せていたり 4基のビートルに名をつけたのも
無駄を嫌い最小最効率で突き進んできたであろう皆が、それでも積み込んだ非効率・非科学、無駄だけどあってほしいもの、の部分に“情”を感じてたまらなくなるのだった
荷物の「Grace」の札は刺繍でなくガムテだけど、多く身につけるだろう制服の名札は何としても準備してやらなきゃ、と残り2日半くらいのメチャクチャの中で刺繍したスタッフがいたわけで
荷物のパッキング中に「このシャツお気に入りのはず」「ここぞというときこれ着てたよ」「博士といえばやっぱこれだよな」と部屋を漁るスタッフたちがいたわけで
博士の荷物にも写真入れてあげようよ、と誰かのカメラに残っていたそれを忍ばせたスタッフがいたわけで
最後の最後に、昏睡状態の彼の寝袋の裏に「Good luck!」と書き込んだ誰かがいたわけで
……
ラストのストラット
彼女が序盤での爆速撤収!やら爆発で吹っ飛んでからすぐ駆け出すとこやら、任務に対し最速最適化した行動を取れてしまうのはご存じの通りではありますが
タウメーバ繁殖の指示はもちろん出しつつ 重要なメッセージだけでなく、ビデオ日誌における相棒たちの愉快な日常部分もしっかりと、微笑ましく観ているっぽい
その時間が、最速の任務における非効率な部分で、科学の外にいる神への祈りで、世界を背負い続けるあの人の情なんだろうな
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