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tokanon
2025-07-16 22:30:12
3620文字
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梅雨のろささ小話
全年齢ですが俄然下ネタです
DTの🧑🏫が頑張る話の設定のまま、その後の話かも?
「なあ、エッチせえへん?」
盧笙と正式に付き合い始めて数ヶ月になる。ほんの短い期間で、俺は長年の付き合いでも知らなかった盧笙の新たな部分をたくさん知った。恋人のことをこーいう目で見るんやとか、エッチのとき壊れ物を扱うように触れる手の優しさとか、あとチンコどんだけデカなんねんとか、なんか興奮しすぎるとストッパー効かんようになっていつかヤリ殺されるんやないか思うたりとか。
それは思っていたより恥ずかしくて、でも嫌な気分ではなかった。恋人にならなければ知らなかったところをひとつみつけるたび、またちょっと盧笙のことを好きになる。
それはそれとして、肉体的に盧笙の欲の全てに応えるのは普通にムリである。割とハナからこの男を組み敷くことは諦めていた俺だけれど、受け入れる方もそれなりに体に負担がかかるものだった。自分でも知らなかった体の中を暴かれて、直接的に快感の源を擦り上げられるのは、気持ちいいけれど正直怖い。
だからこれだけ頻繁に部屋に入り浸っていても、盧笙の求めに応じられるのはせいぜい月に数度、翌日がオフか入りが遅いときだけだ。そして人気芸人のオフなんてものが決まるのは大概その直前だったりする。
今日も夕方にマネから明日のロケが雨でバラシになったと連絡が入ったばかりだ。仕事が消えるのは残念ではあるけれど、正直なところ数週間ぶりに濃密な時間を過ごせることを楽しみに、盧笙が帰ってくる前に体の準備は整えてあった。
こちとら男は盧笙しか知らなくても、女性経験で言えばちょっと前に俺で捨てるまで童貞であった盧笙なんかとは比べ物にならない。男としていささか不本意ではあるが、先輩として男を誘う仕草くらいはこの朴念仁に見せてやらんでもない。わざとらしく小首を傾げて、ラグに置かれた盧笙の手にそっと己の指を重ねる。
「なあ、ろしょお、布団いこ?」
「いや、ちょお、待って」
なのに今日の盧笙は戸惑ったように俺の手を払いのけ、じり、と俺から離れる方向に尻をずらした。
「なんで? ええやん、実は明日休みになってん。俺は準備できとるよ?」
「汗かいたし、フロ入ってから」
「いやさっき入ってたやろが、それにどうせしたあとも入るやん! なあ、そのままがええ、盧笙の匂い好きやし」
躑躅森盧笙という男は、俺が思っていたよりもずっと元気で性欲も強い。こうしてあけすけに誘えば秒で乗ってくるだろうと思っていた男が、引き気味になっていることに焦って腕を引く。
窓の外でざあっと雨がベランダに打ち付ける音がした。遅れてやってきた梅雨のせいで、ここ最近は毎日が雨続きだった。雨の日だけは盧笙といても、なぜか嫌な思い出が時々頭をよぎる。
キスするために眼鏡を取り上げようと伸ばした手がパチンと払われ、呆然として盧笙の顔を見つめた。困ったように寄せられた眉間の皺に、こちらの呼吸が浅くなる。
「やめろって、今日はちょお、あかんねん」
「さよか、うん、了解。いやーなんぼ性欲旺盛元気な盧笙かてしたない時もあるわな! すまんな、ほな今日はま、一旦帰るわ」
できるだけ湿っぽくならないようにカラリと笑って、盧笙に寄せていた身を離した。
恋人とセックスひとつするだけでも、男の体は手間がかかる。盧笙が帰ってくる前からそわそわ支度をして、飲むのも食べるのもそこそこにしていたのは、盧笙とセックスをするためだ。
せめていつものように帰ってきた時点で明日がオフだと言っておけば、盧笙だってその気になっていたかもしれない。そうしなかったのは正直なところ、サプライズのつもりだった。自分が体を開くことで盧笙が無条件に喜んでくれるだろうと誤解していたのだ。なんて傲慢なことだ。己の驕りは、気づいてしまえばひどく恥ずかしい。
かつて気楽なセックスを楽しんでいた頃、その気にならない日に女から誘われても、俺だって軽くあしらっていた。盧笙だってきっと同じなのだ。
こんなことで別れてしまう気はないが、まあ今日のところは戦略的撤退だ。五年前と今、俺と盧笙の関係は大きく変化しているはずだ。今度は間違わない、嫌われてしまわないように、適度な距離感を忘れないように。
外から聞こえる雨の音は激しさを増し、窓にまでざんざんと打ち付けていた。帰るためのタクシーを呼ぶためにアプリを開いた手は盧笙の大きな手に掴まれ、スマホをラグに落とす。見上げた盧笙の顔は伊達メガネ越しにも怖くなるくらいには怒っていて、その迫力に一瞬喉がひゅっと鳴った。気取られないように笑顔を保って、反対の手でスマホを拾いあげる。
「な、なんやねん、おっそろしいカオして〜! もー気にせんでええってば。当てつけちゃうで、簓ちゃんすっかりその気になっとったから、このままおってお前襲ったらまずいやろ? エッチはまた今度しよな」
「ちゃう、簓、多分お前なんか勘違いしとるから」
「
……
してへんよ、大丈夫やし、つか、手痛いから離してくれん?」
「離したらお前逃げるやろが! 話を聞け、ほんまにそういうことちゃうねん」
「やから、別にええって、何も思うてへんから!」
「ああああっ、もお、わかったわ! 見い! 見たらわかるから!」
握られた手が離れ、盧笙が勢いをつけて立ち上がる。ただでさえデカい男が怖い顔をして仁王立ちになったせいでますますデカく見えて、少しのけぞるように後ずさった。
立ち上がった盧笙は何を思ったのか、履いていたスウェットの腰紐をほどきはじめた。
「わーっ、な、なに急に出そうとしてんねや! おま、なに、やめ
……
や、あ
……
?」
堂々とスウェットのズボンを膝までずり下ろした盧笙の股間には、デカデカと緑と黄色の初心者マークが描かれていた。
「
……
」
「
……
なんか言えや」
「ぶ
……
っ」
一拍おいてやってきた笑いが肺の奥から込み上げる。息が苦しくてラグの上に転がりながら止まらない笑いに身を任せた。
「ひひひ、ひいっ、は、ぶふふふっ、はは、なに、それぇっ、なん、おま、しょ、しょしん、パンツ、ぶはっ」
「お前が買うてきたもんやろが!! 雨続きで洗濯でけへんかってパンツなかってんしゃあないやろ!」
そう言えば初心者マーク付きのボクサーパンツは数ヶ月前、俺が東都での商店街ロケの時に見つけて冗談で盧笙に買ってきたものだった。その時はまさか盧笙とこんな関係になるとも、そしてましてやそのデカチンが未使用だったなんてことも想像もしてなかったのだ。
「ひひっ、はー、ふはははっ、それにしても、ひー、オモロ、初心者、確かに、ぷ、ぶふぉっ、ぴったりすぎて」
「笑うなや! 大体オマエが俺のパンツ勝手に履いて帰るから在庫減ってんねん! ちゃんと洗って返せ!」
「ひ、はー、ふはは、やってそれはお前がもう履けへんレベルまで汚すからやん、いっつもねちっこく弄り倒しよって」
「す、好きな子の体は触りとうなるやろ! そら、すまんとは、思うとるけど
……
」
さっきまで吊り上がっていた盧笙の眉はしゅんと下がり、スウェットを膝まで下ろした情けない姿のままラグに座り込んだ。この様子では初心者マークの中身もさぞやしょんぼりしているのだろう。
「ふ、はは、いや、すまんワロて、なん、もしかしてこれ見られとうなかった? そんなこと?」
「
……
やって、かっこ悪いやん、俺ばっかなんや、いっつもお前にかっこ悪いとこ見せとる気いする」
すっかりいじけてしまった盧笙は俯いてぽつりと呟いた。なんやねんそれ、ほんまにくだらんプライド、そんで落ち込みかけてた俺もほんまにくだらんかった。
「簓さんにかっこええとこ見せたいんや、盧笙センセは」
「先生言うな、当たり前やろ、俺かて男なんやから」
さっきまでの不安も距離もとうに吹き飛んで、全身からこの男への愛しさが込み上げる。やっぱ笑いは一番強いし、そして盧笙とおる時の俺が一番最強や。
「はーー、なんやオモロすぎて勃起してきたわ」
「オモロさでチンコ勃てんなや、芸人としてどうなんやそれは」
「んふふ、盧笙が一番オモロいから、他で勃たへんかったらええやろ」
つん、と初心者マークをつついてやると、しゅんとしてた中身がちょっとだけ元気を取り戻す。可愛いやつ、ほんと可愛い、言うたらまたしょげるから言わんでやるけど。優しいササラさんに感謝してな?
床に置かれた盧笙の手に、そっと指を重ねて小首をかしげる。今度はその手は払いのけられることなく、盧笙の長いまつ毛で縁取られた目がこちらを見た。
「なあ、ろしょお、布団いこ? カッコええとこ、見せてくれるんやろ?」
「
……
極力、努力する」
もつれるように抱き合いながら寝室の襖を開けて、用意してあった布団の上になだれ込む。初心者マークが畳に投げ捨てられた頃、窓を打つ雨の音はもう気にならなくなっていた。
END
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