ortensia
2026-04-21 01:39:57
421文字
Public 創作
 

ファンタジーな何か


 森の精霊は人間のことはよく知らない。けれど森のことなら知っている。
 その時精霊は、頭を押さえた人間を、森で見た。
 どこか怪我をしたのかと問えば、額に枝が掠って、出血したようだと言う。
 精霊は人間に待っているよう言い、森の薬草を取りにいった。
 戻ってきた精霊が人間に薬草の花を渡すと、人間はそれを喜んで受け取った。そして嬉しそうに髪に花を挿した。
「慰めてくれてありがとう、優しいんだね。どう、似合う?」
「ああ……。」
 幸い、薬草は近くにあるだけでも効果のあるものだったので良かったのだが、精霊はすり潰して傷口に塗るものとして人間に渡したつもりだった。だから人間が慰めの飾りとして受け取ったことに驚いた。
「あなたの優しさで、不思議と痛みも引いてきたよ!」
……ああ。」
 人間がその花を薬草だと分かっていれば、精霊の思った通りの行動を取っただろう。しかしそれでも、人間は嬉しそうだった。それが一番、精霊には不思議だった。


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いつもリアクション絵文字等ありがとうございます。