望月 鏡翠
2026-04-20 09:30:35
976文字
Public 日課
 

#2054 THE MEME! その21

#毎日最低800文字のSSを書く/ダーリンランデヴー!


  実のところバディとしてはなんの成果も残せていないが、今回の件でイライジャはしっかりと自分の評価を獲得していた。
 彼女に対する信用のなさというのは、彼女がなにも明かさないことによる部分が大きかった。本人には隠しているつもりなどないのかもしれないが、言っても仕方がないからあるいは明かすメリットがないから、伏せたままでいる部分である。
 それを本人の口から聞き出すことができたのだ。
 ラダの姿は妻のものである。妻子を深く愛していたらしい。そしてその渇望がなんであるのかを聞き出せた。
 バディとして、ダーリンの存在に首輪をつける立場として、価値を証明できた。
 ラダについてのファイルは空欄がいくつか埋められた。
 今後の運用や御しやすさの評価も変わってくるだろう。
 思ったよりもわかりやすいやつだ。
 しかし、その渇望について書いていてふと、手が止まった。あの渇望の正体はなんだろう。
 家族を奪われた怒り。故郷を奪われたことに対する憎しみ。あるいは、現代の消費社会そのものに対する怒りだろうか。書いていて、分別くさくてあまりにも嘘くさいと思った。
 きっと生前に、反意ありと疑われたのも、似たような理由だったのだろう。
 捻くれているように見えて、意外と真っ直ぐど真ん中を目指している。それが、しでかしたことの狡猾さと隙のなさに見合わないものだ。だからまだ何か隠しているのではないかと周りに思わせてしまう。
 そう見せかけて実は……? とくるわけだが、隠された真実なんてものはないから、最後まで明かされることはない。だからラダを疑う人間はラダを信用できない。
 そう思うと難儀なやつだ。そのせいで家族を殺され、首を切られたのだから。しでかしたことに対する自業自得といえば、その通りだ。その気になれば破壊者になれると証明してしまった上で、今はその気はないですと証明するのは難しい。
 実際、今もAg:47からの評価は、そのようになっている。ダーリンという首輪があるにせよ、今のラダはどうしてテロリストにならないのか。たとえばダーリンだけの国家を作るというような、無鉄砲な夢を抱かないのか。
 それは隠された真実足りえるのかもしれない。
 だが、もうすでにわかりやすく提示してある可能性すらあるというのが、イライジャにとっては面白かった。