hatonyannyan
2026-04-19 23:55:05
1625文字
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彼方の輝き

でしでむにヴくんが実装される前に妄想しておきたかった王召喚IF






青く輝くクリスタル。それを忌々しいと感じるのは、ゴーストたちの中でもどうやらクライヴだけであるらしかった。ヴァリスゼアでも一般的にはマザークリスタルは神聖なものと広く信じられていたし、クライヴ自身もそうであると思っていた。だが実際は大地のエーテルを際限なく吸い取り、黒の一帯を広げ人々から何もかもを奪っていたのだ。
たとえ歴史に大罪人として名が残ろうと、全てのマザークリスタルを破壊する。シドの遺志と名を継ごうと決意したその夜……クライヴはこの世界に喚ばれたのだった。

剣を叩きつけてみても傷ひとつ付かない。ドレイクヘッドで見たコアと同じく、もっと大きな……或いは特別な力でないと駄目なのかもしれない。
「イフリートに顕現出来れば……
シドやジルは覚醒すれば自ずと使えるようになると言っていたが、未だ尻尾すら掴めぬままだ。ましてや力を削がれた今の状態では顕現など夢のまた夢だろう。
この世界のクリスタルとヴァリスゼアのマザークリスタルは違うと頭では分かっているけれど、どうにも嫌な予感がしてならない。そもそも、クリスタルはある日突然姿を現したというではないか。なればこの世界にとってクリスタルとは、自分たちと同様、異物なのではないか───

「これの破壊を望むか」

背後から掛けられた声に、反射で抜刀する。振り返った先には黒髪の壮年の男。その視線の鋭さに確信する。あれは平和を享受してきた者の目ではない。死体を焼いた灰を固めて出来た目だ。
……誰だ」
「お前と同郷の者だ、クライヴ・ロズフィールド」
向こうは武器も持たずただ立っているだけなのに隙が無い。ヴァリスゼアの者で、これほどの手練れ。ドミナントだとすれば、クライヴと面識の無い者は三人いる。まずバハムートのディオン・ルサージュは違う。彼はジョシュアと同じ年頃で金髪の筈だし、岩のような大男と噂のタイタン……フーゴ・クプカも違う。思考を巡らせる中で残った最後の可能性。
「オーディン……バルナバス王とお見受けする」
「いかにも」
「貴方はこの世界やクリスタルについて何かご存知なのか」
「知らぬな。興味も無い」
言い切る様はあまりに平坦で、嘘を吐いている様子は感じられない。文化も生活も根本から何もかも違う世界を興味がないと切って捨てる様はそれはそれで異様だとは思うが。
「だが、お前が望むなら手を貸してやってもいい」
仲間が増えるのは望ましいことのはずで、だからクライヴも礼を言おうとして喉まで出かかったそれを飲み込んだ。完全に無意識のことで、クライヴは不思議そうに喉に手を置いた。
この申し出を、本当に受け入れていいのだろうか?こんな……こんな恐ろしい目をした男を、信じていいのか?
「こちらとしてもお前がこんなところにいるのは都合が悪い。お前にはさっさと戻ってもらわねば。醜悪で愚昧、然れども愛しいヴァリスゼアに」
戸惑うクライヴを気にも留めず、肩を掴んでクリスタルに押し付ける。微かな痛みに顔を顰めて睨むがバルナバスの表情は揺らがない。
「世界を越えて尚クリスタルの輝きは美しいな」
……ッ、あんた、本当にどういう……
「危害を加えるつもりなら、声をかけずに斬っている」
尤もだ。本当に協力してくれようとしているのか?ならばこの、臓腑の底から込み上げてくる嫌な予感は何なのだろう。
「完全に信じたわけじゃない。皆に手を出すようなら──」
「それで良い。今はまだ、な」
ベアラーの刻印が刻まれた左頬をゆっくりとなぞられて思わず手で振り払う。振り払おうとした。やすやすと掴まれて、手首に口付けられる。あまりの嫌悪感に悲鳴を上げそうになったがなんとか耐えた。
「覚えておけ。私はお前をヴァリスゼアに戻すためなら手段は選ばない。文字通り、何でも、だ」
いっそ敵対してくれたならどれだけ良かったことか。真っ直ぐ見つめてくる灰青に、クライヴは天を仰ぎ己の不運を呪った。