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human_hamster
2026-04-19 21:28:19
1091文字
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4.4ワンライ
🐋夢
※🐋と夢主が破局します
ナマエ
ナマエ
ナマエ
ナマエ
ナマエ
「私の生まれたところは、春になると桜が咲いたの。かわいいハート形の花びらでね
……
」
「あァ。見たことがある。前にな」
「私と出会うより前?」
白ひげの腕に頭をこつんと寄せて、
ナマエ
は恨めしげに顔を見上げた。
「ずっと前だな。拗ねるんじゃねぇ」
嫉妬深い彼女は、白ひげの語る思い出にこうやって度々やきもちをやくところがあった。
ナマエ
はクッションを抱きしめる。彼のための枕は、
ナマエ
にとっては大きすぎる。彼女がこのベッドに持ち込んだクッションには、ピンク色のステッチが施されてある。いかにも女の持ち物であるそれを、白ひげが寝台に置いておくほどを許すほどには、白ひげはこの女のことを愛していた。
「
……
私、あなたと桜が見たいわ。そうしたら、死んでもいい」
「何言いやがる、縁起でもねぇ」
航海に出ていると、植物の彩りに季節を感じられることは、ほぼない。次に目指す島でひとときの陸地を楽しんだとしても、穏やかな気候に恵まれるとも限らない。確かに、桜は良かった。白ひげは、視界いっぱいに広がる薄い花びらを思い出す。風が吹くと、あっけないくらいにその花弁は落ちるのに、不思議と強さを感じさせる樹だった。
「寄りましょう、いつか。桜の咲く島に」
ナマエ
はゆっくりと手をランプの灯りにかざした。一瞬、白ひげは桜の花弁が舞ったのかと錯覚した。それは蝋燭の明かりを受けてちらちらとか輝く、彼女の手入れされた爪の色だった。
「おめェがそうしたいのなら、そうしよう」
白ひげは手をとってキスをした。
「約束よ。かわいい人」
そう言った彼女が船から降りたのは、何年前になるだろうか。
私、普通の女だったみたい。ごめんね。そう言って、白ひげが惚れた微笑みの色香を唇のはしに浮かべてはいたけれど、目の淵は赤く腫れていた。
引き止めることはしなかった。海賊船に乗らずに人生を全うできるのであれば、そうした方がいいに決まっているのだ。彼女の出身の小さな島にモビー・ディック号を寄せて、彼女は小さな鞄ひとつを持ち、皆に別れを惜しまれながら去っていった。女の別れ際というものは、潔い。お世話になりました、と白ひげに礼を言った彼女の瞳を見つめたけれど、かつて愛した男に向ける恋情の色はさっぱり消えていた。とすると、自分が悪いのかもしれないな、と白ひげは一人内省する。
ナマエ
が部屋に残していったクッションを手に取る。ステッチの綻びから、綿に混じって花びらが出てくる。薄桃色のそれは、いつか白ひげが一緒に見ようと約束した花の色だった。
おわり
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