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望月 鏡翠
2026-04-19 21:18:42
949文字
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日課
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#2053 THE MEME! その20
#毎日最低800文字のSSを書く/ダーリンランデヴー!
ラダの言葉を聞いて、彼女がその場で反乱を起こしたらどうなるだろうと、内心ひやひやしていた。能力を鑑みるに、ダーリンであるイライジャを確保したまま行動するのは難しい。組織に歯向かうことは、そのままファタールを失い地獄の苦しみに落ちることを意味する。しかし覚悟を決めてしまった人間に対して、未来の痛みなど無意味だ。
彼女はそれを厭わないで行動する活動家だったのだろうし、思想家だった。そうやって世界を壊してしまったのだ。
幸い、ラダは感情的とも言える強い怒りを露わにしたあとはいつもの感情のない人形のような普段の態度に戻ってしまった。
「お前、怒ってたんじゃないのか?」
無粋ともいえる質問をすると、ラダは静かに首を振った。
「怒っています。ですが、怒りをぶつける先がありません。それに、俺の渇望はどれほど望んでも叶わないものだ。それをわかってしまっています」
「言うだけ言ってみたらどうだ」
「故郷に戻りたい」
「すまんが、叶えられない」
イライジャの即答する。そればかりは叶えられない。
ランデヴー現象で蘇ったダーリンは、オルドポルターを出ることは絶対にできない。この現象の原因も理由も範囲もわかっていないし、万が一外にも同じ現象が起きたら手に追えない。
一つの島で起こるからなんとか制御できている事象なのだ。
彼女が故郷に帰ることはない。
「わかっています。そもそも俺の故郷はもうありません。俺が愛した故郷は、いくつかの希少種な生物種とともに永遠に失われました。俺はそれを、この世で手に入れた知識で知っています」
彼の故郷は今や大都会だ。土地が広いから開発しやすかった。かつて湿地だった場所は埋め立てられ、今は雨の多いジメジメした街として、ダウンタウンの象徴みたいな景観を作っている。
確かに、この先に千年人間がいなくなったとして、あの土地がかつての景色に戻ることはもう二度とないのだろう。
ダーリンは、この世に蘇ったときに二つのものを持っている。
一つは絶え間ない痛み、そしてもう一つは渇望だ。
もしその渇望が、二度と戻らないと知っている故郷への郷愁などするのなら、哀れだ。
同時に彼女が。それを意味がないと理解してくれる程度に聡明であることに感謝した。
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